結論
数ヶ月にわたりCLARITY法案(米国仮想通貨市場構造規制法案)の成立を阻んできた「ステーブルコインの利回り問題」が、大きな前進を見せました。
2026年3月20日、トム・ティリス上院議員(共和党、ノースカロライナ州)とアンジェラ・アルソブルックス上院議員(民主党、メリーランド州)は、ホワイトハウスの支持を得てステーブルコイン報酬に関する原則合意を確認。
ただしこれは「決着」ではなく、「最大の障壁が取り除かれた」段階です。
法案成立までにはあと4つの立法ステップが残っており、DeFi条項や倫理規定など未解決の論点も複数あります。
銀行業界と仮想通貨企業が数ヶ月にわたり非公開の会合とロビー活動を繰り広げてきたこの対立において、今回の合意が意味するものと、残る課題を整理していきます。
この記事の重要ポイント
- 2026年3月20日、ティリス・アルソブルックス両上院議員がCLARITY法案の最大の障壁だった米国ステーブルコイン利回り規制問題で原則合意
- 合意の骨子:「保有するだけで得る利回り(パッシブ利回り)は禁止、取引・送金・プラットフォーム利用に紐づく利回りは許可」
- ホワイトハウスも合意を支持。予測市場PolymarketではCLARITY法案が2026年中に成立する確率を約72%と評価(記事執筆時点)
- 法案成立まではあと4つの立法ステップが残っており、成立が確定したわけではない
- 上院銀行委員会のマークアップ(改正・採決審議)はイースター休会明けの4月後半が目標
- DeFi条項・倫理規定・コミュニティ銀行規制緩和の抱き合わせなど、未解決の論点も残存
CLARITY法案とは何か
CLARITY法案(Digital Asset Market Clarity Act)は、米国における仮想通貨・デジタル資産の市場構造を包括的に規制する法案です。
どのデジタル資産がSEC(証券取引委員会)の管轄下に置かれ、どれがCFTC(商品先物取引委員会)の管轄下に置かれるかを明確化することを主な目的としており、仮想通貨業界が長年求めてきた「規制の明確化」を実現する法案として位置づけられています。
2025年7月17日に下院で超党派の賛成多数(294対134)で可決されましたが、上院では難航が続きました。
2026年1月14日には上院銀行委員会でのマークアップ(改正・採決審議)が当日にキャンセルされました。
その背景にはCoinbaseがCLARITY法案への支持を撤回したことがあり、これを機に銀行業界と仮想通貨業界の対立が一気に表面化しました。
なお、2025年7月18日に成立した別の法律GENIUS法(ステーブルコイン規制法)では、ステーブルコイン発行体が保有者に直接利息を支払うことが禁止されています。
しかしCoinbaseのような第三者プラットフォームが独自に報酬を提供することは規制されておらず、この「抜け穴」をめぐる対立がCLARITY法案の審議を長期にわたって停滞させていました。
関連記事⇒CLARITY法案が与える市場への影響と規制後のシナリオ
何が対立していたのか—銀行 vs 仮想通貨企業
対立の構図はシンプルです。
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銀行業界の主張:ステーブルコインを保有するだけで利回りが得られるなら、預金者が銀行口座から資金を引き出してステーブルコインに移す「預金流出(deposit flight)」が起きる。地域銀行の融資能力が損なわれ、金融システム全体への悪影響は避けられない。米国銀行協会(ABA)は3月5日にも、ホワイトハウスが数週間かけてまとめた妥協案を正式に拒否しており、銀行業界の強硬姿勢が際立っていました。
仮想通貨業界の主張:ステーブルコインの報酬は銀行預金の利息とは本質的に異なる。これを規制すれば米国の国際競争力が損なわれ、イノベーションが阻害される。Coinbase CEOブライアン・アームストロングは「大手銀行が規制を悪用して競争を制限しようとしている」と公言し、ステーブルコイン関連収益(2025年第3四半期だけで約3億5500万ドル)を守る姿勢を示しました。
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この対立に対し、ホワイトハウスは2026年3月だけで3回の調整会合を開催。
トランプ大統領はTruth Socialへの投稿で「銀行はGENIUS法を骨抜きにしようとしたり、CLARITY法案を人質にしようとしてはならない」と仮想通貨業界を支持する立場を明確にしました。
合意の骨子——何が決まり、何が決まっていないか
決まったこと
複数の報道が一致して伝えているのは以下の原則です。
- パッシブ利回りは禁止:ステーブルコインを「ただ保有するだけ」で得られる利回りは禁止される
- アクティビティ連動型報酬は許可:取引・送金・プラットフォームの利用など、特定の行動に紐づいた報酬は引き続き許可される
アルソブルックス議員はポリティコに対し、この合意は「イノベーションを守りつつ、広範な預金流出を防ぐ機会を与えてくれる」と述べています。
ティリス議員も「良い状態にある」とコメントしつつ、最終テキストを業界関係者と確認したいとしました。
ホワイトハウス暗号資産会議エグゼクティブ・ディレクターのパトリック・ウィットは「CLARITY法案成立に向けた主要なマイルストーン」と評価しています。
まだ決まっていないこと
今回の合意はあくまで「原則合意」であり、立法テキスト(法案の具体的な文言)は執筆時点で業界関係者にも共有されていません。
以下の論点は引き続き未解決です。
- DeFi(分散型金融)条項:民主党内で不正資金対策への懸念が残っている
- 倫理規定:政府高官が個人的に暗号資産から利益を得ることへの制限条項。トランプ大統領や家族が$TRUMPなどのミームコインを発行・保有している状況を背景に、民主党の一部が明記を求めている
- コミュニティ銀行規制緩和の抱き合わせ:共和党内で、CLARITY法案に銀行業界向けの規制緩和条項を住宅法案とセットで盛り込もうとする動きがあり、新たな政治的摩擦の火種になっている。利回り問題とは別の交渉ポイントとして浮上した形だ
法案成立までの残り4ステップ
今回の合意が意味するのは「最大の障壁が取り除かれた」ことであり、法案成立ではありません。
ここから成立までには以下の4つのステップが残っています。
| ステップ | 内容 | 見通し |
|---|---|---|
| ① 上院銀行委員会マークアップ | 委員会での改正・採決審議 | イースター休会明け(4月13日以降)の4月後半が目標 |
| ② 上院農業委員会との調整 | CFTC管轄部分を扱う農業委員会版との一本化 | 時期未定 |
| ③ 上院本会議採決 | フィリバスター阻止に60票が必要。民主党の協力が不可欠 | 5〜6月が現実的な窓とされる |
| ④ 下院可決版との調整・大統領署名 | 下院版との差異を調整後、トランプ大統領が署名 | ホワイトハウスが積極的に関与しているため署名は見込まれる |
上院議員バーニー・モレノは「5月までに上院本会議に上程されなければ、中間選挙に向けた動きの中で仮想通貨立法は再び棚上げになりかねない」と警告しています。
財務長官スコット・ベッセントも2026年春の成立を目標として掲げており、時間的な余裕は少ない状況です。
仮想通貨市場への影響
JPモルガンのアナリストはCLARITY法案の年内成立をデジタル資産市場へのポジティブ・カタリストと位置づけており、規制の明確化・機関投資家の参入拡大・トークン化市場の成長を主な恩恵として挙げています。
予測市場PolymarketではCLARITY法案が2026年中に成立する確率を約72%と評価しています(記事執筆時点。予測市場の数値はリアルタイムで変動します)。
Ripple CEOブラッド・ガーリングハウスは「80〜90%」と強気の見方を示しており、仮想通貨業界への政治資金として約1億5000万ドルを投じたFairshake PACの出資企業も成立を強く期待しています。
また3月25日には下院金融サービス委員会が「トークン化と証券の未来:資本市場の近代化」と題した公聴会を開催予定で、立法の動きに合わせてワシントンの姿勢がより明確になる週となります。
こうした規制の明確化は、短期的な価格だけでなく「どの銘柄に資金が集まるか」「どの市場が主流になるか」にも影響を与えます。
つまり、今後の仮想通貨市場はこれまで以上に“環境の違い”が結果に直結するフェーズに入っているといえます。
そのため、銘柄選びだけでなく、どの取引所を使うかも重要なポイントになります。
国内で選ばれている仮想通貨取引所(タイプ別)
少額から試したい仮想通貨が初めての方
- bitFlyer:1円から取引・積立が可能
手数料を抑えたい人
- SBI VCトレード:入出金・送金手数料が原則無料
アルトコインを幅広く触りたい人
【詳細比較】国内主要仮想通貨取引所5社
SBI VCトレード
大手金融グループ運営|コスト重視派に人気

Coincheck(コインチェック)
初心者に人気のアプリ重視型取引所

bitbank(ビットバンク)
アルトコイン取引に強い本格派

OKJ
取扱銘柄数が多く、新興銘柄にも対応

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よくある質問(Q&A)
Q. CLARITY法案とGENIUS法は別物ですか?
はい、別の法律です。GENIUS法は2025年7月18日にトランプ大統領が署名して成立済みの「ステーブルコイン規制法」です。ステーブルコイン発行体が保有者に直接利息を払うことを禁じています。CLARITY法案はより広い「仮想通貨市場構造全体」を規制する法案で、現在も上院での審議が続いています。
Q. 「パッシブ利回りの禁止」は日本のユーザーにも影響しますか?
直接的な影響はありません。これは米国の法律であり、米国内の事業者・ユーザーが対象です。ただし、米国で規制が固まれば世界のステーブルコイン市場の設計に影響し、日本の仮想通貨取引所が提供するサービスにも間接的に波及する可能性はあります。
Q. 今回の合意で仮想通貨の価格は上がりますか?
短期的な価格への影響は限定的とみられますが、法案成立に近づくほど「規制の明確化」として機関投資家の参入を促す中長期的なポジティブ材料になりえます。ただし投資判断はご自身の責任で行ってください。
Q. Coinbaseはなぜ1月に支持を撤回したのですか?
主な理由は2つです。①ステーブルコイン報酬プログラムへの制限(Coinbaseの収益の約20%を占めるUSDC関連収益への影響)、②大手銀行が規制を利用して仮想通貨業界との競争を制限しようとしている点への反発です。Coinbase CEO ブライアン・アームストロングは「銀行による規制の悪用を感じた」と公言し、マークアップ当日にSNSで支持撤回を発表。これがマークアップキャンセルの直接の引き金となりました。
まとめ
- 2026年3月20日、ティリス・アルソブルックス両議員がCLARITY法案の最大障壁だったステーブルコイン利回り規制問題で原則合意
- 「保有するだけの利回りは禁止、行動連動型報酬は許可」というのが合意の骨子
- 法案テキストは未公開で、DeFi条項・倫理規定・銀行規制緩和の抱き合わせなど未解決の論点が残る
- 上院銀行委員会マークアップは4月後半目標、本会議採決は5〜6月が現実的な窓
- 法案成立の確率は予測市場で約72%(執筆時点)。成立すれば規制の明確化による機関投資家の参入拡大が期待される
- 5月までに上院本会議に上程できなければ、中間選挙サイクルで立法が再び止まるリスクがある
今回の原則合意は確かに重要な前進だが、「CLARITY法案が成立した」わけではない。今後数週間の動きが正念場となる。
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