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今はローリング・ベア相場。追加関税発動後 に出尽くしでリスクオンを期待しすぎてはダメ ブログ

今はローリング・ベア相場。追加関税発動後 に出尽くしでリスクオンを期待しすぎてはダメ

■7月6日の米中追加関税の行方に注目 みなさん、こんにちは。

 今週(7月2日~)の注目は、なんといっても7月6日(金)の米中追加関税の行方。

【参考記事】

●難民問題のドタバタでユーロは乱高下! 対中関税第一弾発動で為替はどう動く?(7月2日、西原宏一&大橋ひろこ)

 米国は中国に対して総額500億ドル規模の輸入関税を課すと発表していて、もし発動されれば、即座に中国も同規模の報復関税を発動すると表明していました。

 以下の表は、その第1弾となる、明日(7月6日)追加関税が発動される予定の対象品目と金額です。

 米国は818品目の中国製品に対して25%の追加関税を発動する予定ですが、それに合わせて、中国も米国から輸入する農産物など545品目に対して、同じく25%の関税を適用する方針です。

 この数字に関しては、米中両国ともGDPを大きく低下させる規模ではないと指摘するエコノミストが少なくありません。

 ただ、中国側のスタンスは明確。

中国が脅しや脅迫に屈することはないだろう=商務省

中国が貿易戦争で最初に発砲することは決してないだろう

中国は米国が関税を課せば反撃せざるを得ない=商務省

出所:Bloomberg

 つまり、中国が自分から仕掛けることはありませんが、米国が輸入関税をかければ、ほぼ間違いなく中国は報復関税を課すということになります。

 そうなれば、また米国は動くことになり、呼応して中国も動くという報復合戦になる可能性が高まっているため、これまでに発表されている以上の負荷がグローバルの株にかかることになります。

■追加関税発動後に出尽くしで株は上がるのか? 本稿執筆時点(7月5日)は、米中追加関税発動前夜。

 この時点になっても、なんら事態の進展が見られないということで、明日(7月6日)に米中の輸入関税が発動される可能性が高まっています。

 結果、株にとって負荷が高まっています。

 マザーズ指数は、1000ポイントを割り込む急落。

マザーズ指数 日足(出所:Bloomberg)

 日経平均は、現時点(7月5日14時現在)で前日比210円安の2万1500円レベルで軟調に推移しています。

日経平均 日足(出所:Bloomberg)

 前回のコラムでご紹介させていただいた上海総合指数は、今週(7月2日~)も続落しており、節目の3000ポイントがかなり遠くなり、2750ポイント近辺で推移。

【参考記事】

●2018年前半の為替相場を振り返ろう! 「ローリング・ベア」で弱気相場が継続する?(6月28日、西原宏一)

上海総合指数 日足(出所:Bloomberg)

 7月6日(金)に、仮に米中両国が追加関税を発動したとすれば、その後、来週(7月9日~)は株のリバウンドを期待する向きもあります。バイ・ザ・ファクトの可能性があるというわけです。

 しかし、今回の追加関税発動で貿易問題がなにも好転するわけでもなく、報復合戦になる可能性のほうが高いため、株のリバウンドがあっても限定的だと想定しています。

 結果、株式市場はじわじわとリスクオフへ。

 今回のリスクオフマーケットで…
中国はトランプ大統領に徹底抗戦の構え! 市場が注目する、その他2つのポイントとは? ブログ

中国はトランプ大統領に徹底抗戦の構え! 市場が注目する、その他2つのポイントとは?

■市場の様子は特に変わらず 直近の市場の状況ですが、先週(6月25日~)から特に、変わったところはありません。

 そこで、過去のコラムと繰り返しになる部分もありますが、もう一度、現在の状況について整理をしてみたいと思います。

■米国の金利は魅力的な水準に まずは金利環境です。

 米国の政策金利にあたるFF(フェデラル・ファンド)レートは2%と、先進国の中では、もっとも高い水準になりました。

 この先も年内(2018年)2回、合わせて0.5%程度の利上げが予想されています。

※FRBのデータを基にザイFX!が作成

 また、米国の長期金利、10年物国債の利回りは、2.8%台近辺で安定してきています。

米長期金利(米10年債利回り) 日足(出所:Bloomberg)

 これも、投資家には魅力的な金利水準です。

【参考記事】

●金利環境を見れば当面、米国が一人勝ち!? 本邦M&A活況で米ドル高・円安相場に!(6月15日、今井雅人)

■米ドルはジリジリと上昇する可能性も こうした環境では、金融市場において2つのことが起きると予想されます。

 1つは米ドル高です。

 米国の国債市場は、世界でもっとも大きなマーケットです。

 その市場が安定していて、さらに金利水準も高いということになれば、一般的には世界中から資金が流入してくるということが起きやすいです。

 また、短期市場においても、金利水準が他の先進国に比べて優位なわけですから、ここにも資金が世界中から流入する可能性が十分に出てきました。

 こうした環境を踏まえると、米ドルがジリジリ上昇する可能性がある、ということが言えると思います。

米ドルVS世界の通貨 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)

■新興国には大きなダメージが… もう1つは、新興国にマイナスの影響が出ることです。

 新興国は、財政状況が押しなべて脆弱で、多くの資金を海外からの投資資金に依存しています。

 海外の投資家にとって、新興国の最大の魅力は高金利です。

 しかし、それは相対的なものであって、他にもっと魅力的な市場があれば、そちらに資金は流れてしまいます。

 そこで、一番安定していて最大の米ドルで金利が上昇してくると、どうしても、そちらの方に資金が流れやすくなります。

 そして、その結果、新興国通貨が大きく売られてしまうということが起きてきます。

トルコリラ/円 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:トルコリラ/円 週足)

 次が、トランプ米大統領の通商交渉です。いよいよ、中国への…
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FX積立2018年7月 1000万円までの通過点700万円が見えてきた。

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人民元急落でも市場が落ち着いているのは 米中貿易戦争が幕開けにすぎないから!? ブログ

人民元急落でも市場が落ち着いているのは 米中貿易戦争が幕開けにすぎないから!?

■米国の対中政策に対抗すべく、禁じ手の人民元安!? 金融市場関係者たちは、固唾を呑んで米中貿易戦争の行方を見守っている。今のところ、米中ともに強硬姿勢を崩しておらず、7月6日(金)から実施発動される米国の対中制裁第一弾は避けられない情勢だ。

 それに対して、多額の対米貿易黒字を有する中国側からの対抗策は少ないと言われる中、中国はつい禁じ手を使ってしまった感がある。それは人民元安だ。オフショア市場で、米ドル/中国人民元(USD/CNH)は11日連続で続伸し、2010年のオフショア市場開設以来の記録を更新した。

米ドル/中国人民元(USD/CNH) 日足(出所:IG証券)

 3月末安値6.2354人民元から計算すれば、目先の高値まで人民元は実に4000pips超も切り下げており、3カ月程度の期間にしてこのような変動率はやはり尋常ではない。

 他国なら、通貨危機と呼ばれてもおかしくないが、中国、すなわち、あのすべてをコントロールしている共産党政権だけに、このような「危機」は他ならぬ、中国政府自らの「演出」であるに違いない。

 換言すれば、いくら米ドル高トレンドとはいえ、中国政府はそもそも通貨市場を厳しく管理してきたから、中国政府の意図なしではここまでの人民元安はあり得ない。人民元の急落は、中国政府のコントロール放棄、さらには誘導した結果だと言っても過言ではなかろう。

■人民元安戦術は、中国にとって諸刃の剣 中国政府は明らかに人民元安を武器とし、米国に対し、牽制や対抗策を仕掛けていくつもりである、もしくは、少なくともそのような意図を見せ、米国の改心を促す戦術を取っていると思われる。

 ちなみに、このような戦術は、中国にとって明らかな諸刃の剣だ。人民元は管理されている通貨だからこそ、今まで過大評価され、また、資本の海外逃避(キャピタルフライト)を防いでいるとされてきた。

 人民元管理を放棄、また、人民元安を誘導するような事態が長く続けば、今度こそキャピタルフライトが本格化し、すでに大きく膨らみ、かなり危険な状況である中国資産バブルの崩壊を招くのも不思議ではないから、当局にとって今も薄氷の上を歩いている状況であろう。

■2015年の人民元切り下げ後、必死に先安感を消した ところで、足元の人民元の急落は、値幅やスピードが凄まじいものの、水準として2015年年末と同様のレベルにあり、2016年高値より600pips近く距離がある。となると、2015年の人民元切り下げや、その後の大幅人民元安がいったん是正されていたことがわかる。

 実際、2018年3月安値(米ドルの安値・人民元の高値)で測ると、2014年の米ドル/人民元相場の安値を起点とした全上昇幅の78.6%反落も果たしているから、その是正の度合いも大きかったことがわかる。

米ドル/中国人民元(USD/CNH) 日足(出所:IG証券)

 それは他ならぬ、中国当局が人民元先安感を消すのに躍起になっていたという経緯があったからだ。

 2015年の人民元切り下げ以降、人民元先安の観測が急速に高まり、厳しい資本規制があったにもかかわらず、中国から大規模な資金逃避、すなわちキャピタルフライトがみられ、中国外貨準備高はなんと1兆ドル超も減少した。そのため、中国当局はあわてて人民元高の政策を取り、意図的に人民元のショート筋を踏み上げさせたのだ。

 それが功を奏したからこそ、キャピタルフライトの流れを食い止めたわけだから、足元、再度人民元安の路線に走れば、また、同じ危機を招く可能性が大きいかと思う。

 中国人民銀行(中銀)が預金準備率の引き下げを決定したにもかかわらず、上海総合指数は続落が続き、昨日(6月28日)、再度安値を更新してきたことはその前兆であり、また、結果であると思われる。

 テクニカル上、中国株はもう完全にベア(下落)トレンドに突入したから、これから事態がますます悪化していく可能性を否定できない。

上海総合指数 日足(出所:Bloomberg)

 注意していただきたいのは、米中貿易戦争は…