ユーロ/米ドルの1.08ドル台は、絶好の買い チャンスだった。豪ドル/米ドルは0.75ドル 付近を上抜ければ、0.80ドルを目指す展開へ

金融市場はウクライナ情勢により乱高下。ヘッジファンドは、ユーロ/米ドルを買うチャンスを狙っていた みなさん、こんにちは
 金融市場は引き続き、ウクライナに関するヘッドラインで乱高下する展開が続いています。
 2月24日(木)のロシアによるウクライナ侵攻により、為替市場ではユーロ/米ドル、ユーロクロス(ユーロと米ドル以外の通貨との通貨ペア)が急落。
 ただ、筆者の知り合いのいくつかのヘッジファンドのユーロに対する見方は違っていました。
 ウクライナの地政学的リスクにも関わらず、彼らのスタンスはずっとユーロ/米ドルを買うチャンスを狙っているといった展開。
 そして、ユーロ/米ドルが1.0800ドル台に急落した局面で、彼らは少しずつ買っています。
ユーロ/米ドル 日足(出所:TradingView)
 筆者のメルマガ「トレード戦略指令!」でも配信しましたが、1.0800ドル台では、ユーロ/米ドルを少しだけロング(買い)にしたものの、ウクライナの地政学的リスクが高まっている環境下では、豪ドルと違い大きくリスクを取れませんでした。
 ただ、1.0800ドル台でユーロ/米ドルをロングできたのは、ユーロ/スイスフランの動きを見ていたからでした。
 ユーロクロスが急落する中、欧米の投資家はずっとユーロ/スイスフランのパリティ(=1.0000フラン)をブレイクするかどうかを注視していました。
 そのユーロ/スイスフランは、週明けのアジア市場でパリティを割り込み、一時0.9972フランまで急落。しかし、パリティ割れは一瞬の出来事となり、欧州市場に入ると、すぐパリティを回復しました。
ユーロ/スイスフラン 4時間足(出所:TradingView)
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ヘッジファンドの見立てどおり、ユーロ/米ドルの1.08ドル台はロングする絶好のチャンスだった ユーロ/スイスフランのパリティ回復の裏には「SNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])が介入」しているからだと個人的には推測していますが、今回はSNBが介入しているかどうか確認できませんでした。
 ともあれ、3月9日(水)の欧米市場では「ウクライナがロシアと一定の妥協をする可能性がある」との報道を受け、マーケットはリスクオンとなり、ナスダック総合指数は3.6%も急騰しました。
ナスダック総合指数 日足(出所:TradingView)
 1.0000フラン台を回復していたユーロ/スイスフランは、本稿執筆時点で1.0200フラン台ミドルと250pips以上急騰しています。
 当然、ユーロ/米ドル、ユーロクロスは軒並み反発。
 ユーロ/米ドルは節目の1.1000ドルをあっさり上抜け、本稿執筆時点で1.1050ドルレベルで推移。ユーロ/円は128.40円、ユーロ/英ポンドは0.8400ポンド、そして今月(3月)1000pips以上急落していたユーロ/豪ドルは1.5100豪ドルレベルに反発しています。
 3月7日(月)のユーロ/豪ドルの安値は1.5462豪ドルですので、あっという間に600pips急騰しているといったところ。
ユーロ/豪ドル 日足(出所:TradingView)
 ウクライナ情勢に関わらず、ヘッジファンドの見立てどおり、ユーロ/米ドルの1.08ドル台はロングする絶好のチャンスだったともいえます。
ウクライナ情勢が予断を許さない中、南半球に位置している豪ドルの優位性は変わらない 一方、米10年国債利回りは、一気に1.93%に急騰。呼応して、米ドル/円も久しぶりに116円台を回復しており、本稿執筆時点で116.15円と年初来高値をうかがう展開。
 結果、総じてクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が反発しており、筆者の注目している豪ドル/円も再び85円台に乗せています。
世界の通貨VS円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
 ただ、メルマガ「トレード戦略指令!」の読者からよくご質問をいただいているのが、「ユーロ/豪ドルの急落で豪ドルが上昇していたわけなので、ユーロ/豪ドルの急騰により豪ドルは急落しませんか?」といったもの。
 いただいた質問のように、今週(3月7日~)は「ユーロクロスの反発、そして原油の急落」というポジションの巻き戻しが起こっているため、豪ドルの上値は一時的に抑えられるかもしれません。
 しかし、「ウクライナ情勢が予断を許さない」中、南半球に位置している豪州(豪ドル)の優位性は変わりません。
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豪中銀の年内利上げ確率は高まったまま。豪ドル/米ドルは0.8000ドルを目指す展開になるか 次に、仮にウクライナ情勢が沈静化したとしても、世界中を襲っているコモディティ(商品)価格の急騰が落ち着くのかといえば、答えは「ノー」です。
 商品価格が底堅く推移している限り、米国を中心とした世界的なインフレ傾向は変わりません。
 RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])のロウ総裁の意見も変わらず。
豪中銀総裁、年内利上げ「妥当に思われる」
オーストラリア準備銀行(中央銀行)のロウ総裁は9日、ロシア軍のウクライナ侵攻で生じる新たな供給ショックが、高インフレを長引かせるとの見通しを示し、政策金利であるオフィシャル・キャッシュレート誘導目標の年内引き上げは「妥当なように思われる」との認識を明らかにした。  
出所:Bloomberg
 記事にあるように「ロシア軍のウクライナ侵攻で生じる新たな供給ショックが、高インフレを長引かせるとの見通し」とのことなので、RBAの年内利上げ確率は高まったまま。
 これは「ロシア軍のウクライナ侵攻」により、利上げ期待が急速に後退したFRB(米連邦準備制度理事会)やECB(欧州中央銀行)とは大きくスタンスが違っています。
 結果、豪ドル/米ドルの上昇トレンドは変わらず。節目である0.7500ドルレベルをクリアにブレイクすれば、0.8000ドルを目指す展開になるのではないかと想定しています。
豪ドル/米ドル 週足(出所:TradingView)
 今週(3月7日~)のユーロ/豪ドルの大きな踏み上げの中にあっても底堅く推移している豪ドル/米ドル。
 0.8000ドルに向けて、じわじわと値を上げている豪ドル/米ドルの行方に注目です。

参照元:ザイFX! 西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

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