米ドル/円は120円へ、ユーロ/米ドルは 1.05~1.06ドルへ向かう動きに! 米ドル 買いのポジションを維持する方針は継続

バイデン米大統領は、継続性を重視して、パウエルFRB議長の再任を選択し、ブレイナード氏を次期FRB副議長に指名 今週(11月22日~)の一番のニュースは、何と言ってもFRB(米連邦準備制度理事会)の次期議長人事でした。
 候補者は、パウエル現FRB議長と、ブレイナード現FRB理事の2人に絞られていました。
 ブレイナードさんは、パウエルさんよりもハト派、つまり金融引き締めに対して慎重だと言われていましたので、ブレイナードさんが新しいFRB議長に選ばれれば、米ドルは下落するのではないかと言われていました。
 しかし、バイデン米大統領は、継続性を重視して、パウエルさんの再任を選択しました。そして、ブレイナードさんを副議長に指名しました。
バイデン米大統領は、継続性を重視して、パウエルFRB議長の再任を選択した (C)Bloomberg/Getty Images News
バイデン米大統領は、ブレイナード現FRB理事を次期FRB副議長に指名した (C)Bloomberg
金融を引き締めてインフレを抑制するとの発言を受けて、米長期金利が上昇し、米ドルが全面高に さらに、その後の記者会見で、パウエルFRB議長は、「高インフレが家計に大きな打撃を与えることは承知している。特に食品や住宅、交通手段といった生活に欠かせない部分でのコスト上昇への対応能力が相対的に低い人々には厳しい状況だ」と指摘し、「われわれは、経済と力強い労働市場を支援するとともに、インフレ高進が定着しないようツールを活用していく」と発言しました。
 簡単に言えば、インフレは特に低所得者に対して大きな打撃なので、金融を引き締めて、インフレが進まないように努力するということを言っているわけです。
 この発表を受けて、米国の長期金利(米10年債利回り)も上昇し、FX市場においても、米ドルが全面高となっています。
米長期金利(米10年債利回り) 4時間足(出所:TradingView)
ドルインデックス 4時間足(出所:TradingView)
米ドル/円は120円に向かう動きの中に入ってきている その他にも、米ドル高に追い風となるようなニュースがありました。
 FRBが11月24日(水)に発表した11月2日(火)、11月3日(水)開催分のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録要旨では、「高インフレが続けば、債券買い入れプログラムの縮小ペースを加速させ、より迅速に利上げを実施することに複数の政策当局者が前向きな姿勢を見せている」ことが分かりました。
 米国の経済指標も、個人消費支出や新規失業保険申請件数など、予想より強い好調な結果となっています。
 こうしたことを背景に、米ドル/円はとうとう115円を上に抜けてきました。
 一気にというほどの勢いはありませんが、徐々に値上がりをしている感じです。
 以前からお話ししている通り、120円に向かう動きの中に入ってきていると私は考えています。
【参考記事】●米ドル/円、時間はかかるが120円へ向かう展開へ。米国の物価は約31年ぶりの高水準、ユーロ/米ドルは1.05ドルあたりを目指しそう(11月11日、今井雅人)
米ドル/円 月足(出所:TradingView)
ユーロ/米ドルは1.05~1.06ドルの方向に向かっている動きの中にある また、ユーロ/米ドルにおいても、とうとう1.11ドル台にまで下落をしています。
 特に、ユーロ/米ドルに関しては、米ドル高の影響だけではなく、ドイツを中心に欧州大陸の各国で、新型コロナウイルスの感染拡大が再び爆発的に広がっていることも、ユーロの押し下げ要因となっています。
【参考記事】●米ドル/円は、近いうちに115円を突破して118円を目指す。米ドル/円・ユーロ/米ドルなどでの米ドル買い方針を今後も継続(11月18日、今井雅人)
 こちらも1.05~1.06ドルの方向に向かっている動きの中にあると考えています。
ユーロ/米ドル 月足(出所:TradingView)
 引き続き、米ドル買いポジションをキープする方針でトレードを続けていきます。
今後も、FX市場は各国の金融政策を中心に動いていくことになりそう 最後に、米ドル以外の話に少し触れたいと思います。
 RBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])は11月24日(水)、政策金利のオフィシャルキャシュレートを0.25%引き上げましたが、市場では0.5%の引き上げを期待していた向きも多かったこともあり、かえってニュージーランドドルは下落するという動きとなりました。
ニュージーランドドル/円 1時間足(出所:TradingView)
 現在のFX市場は、各国で、通貨の動きが金利動向から大きな影響を受けるということが分かりやすい例でした。
 今後も、FX市場は各国の金融政策を中心に動いていくことになりそうです。

参照元:ザイFX! 今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

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