米ドル/円をしっかり押し目買い。今の相場は カオス状態だが、目先の動きに動揺しないで

この1週間はますますわかりにくい相場展開に ここのところ、理屈に合わない相場展開が続いていて、なかなか理解が難しいと皆さんに説明してきましたが、この1週間はその流れを引き継いでいるばかりでなく、ますますわかりにくい相場展開となっています。
【参考記事】
●ドル買いを基本にしながらも、細かいトレードのほうが上手くいきそう。市場は米国の本格的な景気回復を、完全には信用していない(7月15日、今井雅人)
●ドル/円、110円台半ばから前半を押し目買い。クロス円下落も株はしっかり。これはリスクオフなのか?(7月8日、今井雅人)
●米雇用統計は100万人増との見方も。今回は希望を持てるかも…と考えるワケは?(7月2日、今井雅人)
●市場はFOMCの結果に悪乗り! しっぺ返しを食らった! 今後は強い米指標で米ドル優位へ(6月24日、今井雅人)
 私は、基本的には米国の景気回復から米長期金利(米10年物国債利回り)上昇、米ドル高という流れがいずれやってくるという考えで見てきましたが、ここのところの相場展開を見ると、まったくそういう気配すら感じない相場展開になってきています。
 そこで、今回は少し最近の動きについて、いったいどういう状況になっているのか、頭を整理してみたいと思います。
6月ぐらいまでは株価やクロス円が堅調だった ワクチン接種の広がりによる早期景気回復期待が高まった一方で、金融政策については当面緩和的なものを各国とも維持していくであろうという見通しだったことから、6月ぐらいまでは世界的に株価は堅調に推移していました。
NYダウ 日足(出所:TradingView)
 それに合わせる形で、FX市場では多少通貨によって時間差はあったものの、ユーロ/円、英ポンド/円、豪ドル/円、ニュージーランドドル/円をはじめとして、主要通貨では全体的にクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が上昇、あるいは堅調に推移していました。
世界の通貨VS円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
クロス円は崩れたものの、NYダウはどちらかと言えば強い しかし、その後、クロス円が崩れ始めます。途中、リバンウンドしてやや戻している局面もありましたが、長い目で見てみると、下落傾向が鮮明になっているのがわかります。
世界の通貨VS円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
 この下落のきっかけがどうもしっくりこない。
 市場の中で言われているのが、新型コロナウイルスの感染が再び拡大傾向に向かったことで、リスクオフの動きが出て、それまでクロス円を買っていた人たちが投げ売りをしているという説明です。
 とはいうものの、たとえばNYダウの動きを見てみると、そんなに大きく崩れているわけではありません。
 むしろ、直近1か月を見ると、ここ2日間ぐらいは乱高下しているものの、どちらかと言えば強くなってきています。
NYダウ 日足(出所:TradingView)
米CPIが13年ぶりの上昇も、米長期金利は低下し、米ドル高の展開に また、直近の米国の長期金利の動きを見ると、今月(7月)発表された米国の消費者物価指数(CPI)が13年ぶりの上昇を見せたにもかかわらず、米長期金利の反応は鈍く、むしろ低下傾向が鮮明になってきています。
【参考記事】
●ドル買いを基本にしながらも、細かいトレードのほうが上手くいきそう。市場は米国の本格的な景気回復を、完全には信用していない(7月15日、今井雅人)
 足元の米国の長期金利は一時1.2%を割り込んで低下しました。
米長期金利(米10年物国債利回り) 日足(出所:TradingView)
 そうなると、米ドル安かと考えてしまうのですが、クロス円の下落の影響などで、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドル、あるいは豪ドル/米ドルなどではむしろ米ドル高の展開になっています。
米ドルVS世界の通貨 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
 さらに、原油市場や金(ゴールド)の市場なども、投機マネーが入りすぎていることが原因となって非常に不安的になっています。
WTI原油先物 日足(出所:TradingView)
NY金先物 日足(出所:TradingView)
今の相場はカオス状態。目先の動きに動揺せず、米ドル/円などをしっかり押し目買い 結局、今の相場は何を指針にしていいのかがわからなくなってきたことで、カオス状態になってしまっているということだろうと思います。
 そうなると、ポジション調整が起きやすくなりますし、相場が乱高下しやすくなってきます。今がまさにそういう相場ではないでしょうか。
 ただ、それでも私は、米ドルは基本的に強くなっていくと考えています。
 目先の動きに動揺せず、米ドル/円などで米ドルが売られたところをしっかり買っていくのがいいのではないでしょうか。
米ドル/円 日足(出所:TradingView)
 個人的にはユーロ/米ドルのショートを持ち続けています。
ユーロ/米ドル 日足(出所:TradingView)

参照元:ザイFX! 今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

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