市場はFOMCの結果に悪乗り! しっぺ返しを 食らった! 今後は強い米指標で米ドル優位へ

■FOMCを受け、一時、米ドル/円が伸び悩んだワケは? この1週間は、FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果に振り回された1週間となりました。
 FOMCの中身については、前回のコラムでご紹介をしました。
【参考記事】
●FOMCで将来的な利上げの可能性示唆! 徐々に米長期金利や米ドル上昇の流れへ(6月17日、今井雅人)
 その後の展開を振り返ってみますと、まず、発表からしばらく、金融政策が緩和方向から転換になる可能性が出てきたということで、米金利上昇期待から米ドル高という展開が起きました。
米ドルVS世界の通貨 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)
 それと同時に、金融政策が引き締めになると企業業績にはマイナスになるという憶測から、株式市場が軟調となり、そこからリスクオフの連鎖で円全面高という展開にもなりました。
【参考記事】
●突然、ハト派からタカ派になったFRB。米ドル高継続なら、ユーロ/ドルは戻り売りで(6月22日、バカラ村)
●タカ派転換のFRBは「市場との対話」に失敗。鉄鉱石が崩れれば、豪ドルは一段安へ(6月21日、西原宏一&大橋ひろこ)
世界の通貨VS円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)
 この2つのことが同時に起きた結果、米ドル/円は伸び悩む一方で、他の通貨に対して米ドル高が進むことになりました。
米ドルVS世界の通貨 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)
■ウイリアムズ米NY連銀総裁の発言で、円安方向に戻った しかし、米国の長期金利の反応がいまひとつでした。米10年物国債の利回りは、1.5%をしっかりと上に抜けていくことができず、その近辺でうろうろしています。
米10年物国債利回り(米長期金利) 4時間足(出所:TradingView)
 その後、ウイリアムズ米ニューヨーク連銀総裁が米国の経済状況に関して「FRB(米連邦準備制度理事会)が施策を変えるほど進展していない」との見解を表明。
 インフレ率上昇に関しては「経済再開による一時的な影響を反映しているだけで、現在のような高水準の物価上昇は続かない」との見通しを示したことで、株価は反転に転じ、FX市場でも急速に円安方向に戻るという動きが見られました。
世界の通貨VS円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)
■FOMCの結果に少し悪乗りし、しっぺ返しを食らった こうした動きの背景には、市場の過剰期待が影響しています。
 なかなか材料がなく、相場がこう着してしまっている中でFOMCを迎えました。トレードをする人たちにとっては、絶好のチャンスがやってきました。
 ですから、市場は素直に金融政策の期待感に乗ったわけです。
 しかし、FOMCが公表した見通しの中身を見ると、2023年に向けて金利を上げていくという気の長い話をしているわけで、今日明日の話ではありません。
 それに対して少し悪乗りしてしまったということで、その後、しっぺ返しを食らった。そういうことです。
 ウイリアムズ米ニューヨーク連銀総裁の発言にしても、実はFOMCの声明文とそんなに違ったことは言っていないのですが、期待感から過剰反応した人たちからみれば、かなり後退した内容と思ってしまったということです。
 市場がこう着しているときは、特にこうした過剰反応をしてしまうときが、ままありますので、覚えておくとよいと思います。
■強い米経済指標の発表で米ドルが優位になりそう ただ、私は今回のFOMCで、それまでと違った見方が示されたことの意義は大きいと思っています。
 それは、米国の景気が回復していくことの入り口に差し掛かったことを声明文が示していると思うからです。
 つまり、これから米国の景気は確実によくなってくる。そして、それが各種の経済指標に反映してくるのだとすれば、強い指標が発表されるにつれて、景気に対して強気な見方が広がり、米ドルが優位になってくるのではないでしょうか。
 懸念があるとすれば、米国ではここに来て、ワクチンの1日の接種回数が急速に減ってきていることです。
 そんな中、感染力が爆発的に強いインド由来のデルタ変異株が猛威を振るい始めていますので、その影響がどう出るかが心配です。よく注視をしておきたいと思います。
 戦略としては、米ドル/円、ユーロ/米ドルなどでの米ドル買い方針を継続します。
米ドル/円 日足(出所:TradingView)
ユーロ/米ドル 日足(出所:TradingView)

参照元:ザイFX! 今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

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