米国株が割安? イールドスプレッド逆転現象が意味するもの 2019年8月
2019-08-30
2019年8月現在、一般的には米国株は天井感がでてきたとみている投資家が多いです。でも、指標の中には「米国株は割安だ」というものもでてきています。それが今回紹介する「イールドスプレッド逆転現象」です。その「イールドスプレッド逆転現象」が、いかなるもので、どういう影響があるのかをまとめました。ここからの米国株は波乱必死です。イールドスプレッド逆転が意味するものイールドスプレッド逆転というのは、「株式配当利回り」が「米国長期債利回り」よりも高くなる現象のことです。現在、米国で実際に起きています。米国債利回り 2019年8月30日NYダウ 配当利回り推移上図をみて頂くと、米国債30年の長期債の利回りは1.98%です。これに対して、NYダウ平均の配当利回りは2.28%です。債券の利回りは株式の配当利回りよりも高くなるのが普通の状態です。それが、逆転して株式配当利回り>債券利回りという状況になっています。これがイールドスプレッド逆転現象と言われるものです。これと似たような状況は、過去に3度あります。19650年代の日本リーマンショック後の世界経済2019年現在、日本のゼロ金利時代最初の2つの時は、その後に株価も大きく上昇しています。日本は1999年以降ゼロ金利が続いています。日経225の配当利回りは1%以上ある状況が続いているので、もう20年以上「イールドスプレッド逆転現象」となっています。こんな状況なので、参考として良いのかどうかはわかりませんが、実は株価は上昇しています。このイールドスプレッド逆縁現象は、投資理論上は大きな意味があります。投資理論上のイールドスプレッド逆転現象イールドスプレッド逆転現象は、投資理論上は「株価は割安である」という目安として使われます。高リスク・高リターンである株式は、値上がり期待による株価上昇とともに配当利回りは低目になる傾向があります。これに対して、債券は大きな上昇が期待できない代わりに、株式に比べて高目の利息が得られるというものだからです。例えば、100万円を持っていたとしましょう。配当利回りが2%あって、元本保証はないものの値上がり可能性もある株式利息は1.8%で、元本保証がある債券この状況でどちらを選ぶでしょう。元本保証を重視して債権を選ぶ方も多いでしょう。一般的には「配当が高くて、値上がりも益も狙えるんだったら株にする」という方が多目になります。イールドスプレッド逆転という地点は、「株を選ぶ人が大きく増えるポイント」とされています。実は、私もそうなんです。先日、保有している米国債の半分を売却しました。保有していた米国債は、金利低下とともに上昇していて利益が出ている状況でした。長期米国債利回りは、現在1.8%まで低下しています。このまま長期保有するよりも「配当利回りの高い株式を購入」した方が良いと判断したので売却に踏み切っています。その売却資金で昨日米国株式を買っています。購入した株式の配当利回りは、2.1%です。業績も悪くなく、値上がりも期待できる株です。現在は、米中摩擦など懸念材料があるため米国株は上昇を抑えられています。でも、それが緩和されるような状況がでてくる可能性もあります。懸念材料が減って、冷静になったときに投資家は、手元資金をどこで運用するか考えるはずです。「債券」か「株式」か、この2つの中で選ぶのであれば、かなりの方が「株式」を選ぶことになるかもしれません。現在の米国長期債は、10年・20年預けても金利2%弱では魅力薄いです。株式市場をみれば、配当利回り4%や6%の大型優良株が沢山あります。「下げたら売らなきゃ損しない」この認識は、米国人投資家も同じです。損きりなんかしません。上がるまで保有するのが世界中の投資家の基本スタイルです。だから、多くの方が債券よりも高配当の株式に走りやすいということになります。イールドスプレツド逆転現象が起きている一方、景気後退の兆候となると言われている逆イールドカーブ(長気金利と短期金利の逆転現象)も起きています。難しい時代ですね。私自身は、今の時期に保有米国株を増やしておきます。少しでも、参考になれば幸いです。
参照元:お気楽FX 相場生活入門編