市場を膠着させている4つの「摩擦」とは? 英ポンドはブレグジット後の最安値更新も!?

■米中協議決裂なら米ドル/円は105円割れへ!? 金融市場は一時的に、こう着状態に入ってしまいました。これは、各地域での摩擦の行方が、不透明であることが原因でしょう。
 まず、米中貿易交渉です。
 9月1日(日)に、米国政府は中国からの輸入品への追加関税を実施する予定です。米国の消費への影響が大きいものに関しては、年末(12月15日)まで延期するという変更をしたものの、その他に関しては、今のところ予定どおり実施することになります。
 それ以降、9月の上旬に、米中の閣僚級会議が開催される予定となっています。私は、合意に達するのはかなり困難だと思っていますが、まだ、よくわかりません。推移を見守りたいと思います。
【参考記事】
●円高はあっても、米ドル安にはならない!? 荒れ相場で勝者になるためのトレードは?(8月16日、今井雅人)
米中閣僚級会議は9月に再開される予定だが、合意に達するのはかなり困難だろうと今井氏は推測している。写真は2019年6月に開催された大阪G20時のもの (C)Visual China Group/Getty Images
 完全に決裂してしまった場合は、米ドル/円は105円を割り込んでくるだろうと考えています。
米ドル/円 日足(出所:TradingView)
■日米貿易交渉の争点はどこに…? 2つ目は、日米貿易交渉です。
 これに関しては、水面下で協議が続いているほか、今週(8月19日~)に入って、ワシントンで閣僚級会議が行われています。今のところ、その進捗状況は、よくわからないままです。
 ポイントは、農業と自動車ですが、農業の方はTPP(環太平洋パートナーシップ協定)と同水準ということで、何とかまとまるのではないかと考えていますが、問題は自動車の方です。
 日本は、米国からの自動車の輸入には関税をかけているわけではないので、日本側としては、本来は特別な措置は必要ありません。しかし、それでも米国側は満足しないと思うので、どういう妥協点があるのか、難しい判断を迫られると思います。
今井氏は日米通商交渉のポイントが自動車問題になりそうだと指摘。本来なら特別な措置は必要ないはずだが、米国側が満足するとは思えず、日本は難しい判断を迫られることになりそうだとも… 写真は2018年4月の日米首脳会談時のもの (C)Joe Raedle/Getty Images
 輸入割り当てなどは、とても日本としては呑めるものではないので、その他にどういう交渉ができるのか、今のところ不透明です。
■日韓貿易摩擦は韓国へのダメージが大きい!? 3つ目は、日韓貿易摩擦です。
 これに関しては、当事者である日本と韓国は国内世論を考えると、一歩も退けない状況にあるので、第三国の仲介が必須だと思います。
 それは、本来、米国が担うべき役目であると思うのですが、肝心のトランプ米大統領には、まったくそんな気はなく、むしろ両国に対して批判を続けています。
 そういう状況を考えると、事態の打開にはかなりの時間がかかると思います。
 すでに、韓国では不買運動や日本への旅行自粛が広がっていますが、全体的に見て、日本経済に対する直接的な影響は、それほどでもないと思います。ただ、韓国側は、基幹産業である半導体での売り上げに影響するわけですから、かなり打撃になる可能性があります。
韓国総合株価指数(KOSPI) 日足(出所:Bloomberg)
 そうなると、局地的とはいえ、新興市場に多少の影響が出てくる可能性はあるでしょう。しかしながら、私は韓国内での金融市場への影響を除けば、全体的にはあまり気にすることはないかなと考えています。
 こうした問題を抱えているので…

参照元:ザイFX! 今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

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