米6月FOMCレビュー

昨夜の米FOMCは、利上げは想定どおりとはいえ、B/S縮小計画の開示と年内開始宣言を盛り込んだ点がややサプライズ。経済見通しや金利見通しについても目立った下方修正はなく「概ね3月見通しを維持」、さらにはイエレン議長のインフレ鈍化は「ノイズ」発言もあり、市場の目には総じて「ややタカ派的」と映った模様。今回のFOMCの主なポイントは以下のとおり。
 
1)政策金利であるFF金利誘導目標レンジを0.75%-1.00%から1.00-1.25%に引き上げ
・Fed Wacthによると96.8%織り込み済みであった
 
2)声明で楽観姿勢を維持
・「5月FOMC以降に入手した情報は、労働市場が引き締まり続け、経済活動が今年ここまで緩やかに拡大していることを示している」「金融政策の運営姿勢の緩やかな調整により、経済活動が緩やかなペースで拡大し、労働市場の状況はさらにいくらか力強さを増すと引き続き予測している」 
 
3)4.5兆ドルに膨らんだB/S(バランスシート)の正常化計画を正式にアナウンス
・年内に月100億ドル規模で圧縮を開始、その後3ヵ月ごとに100億ドルずつ上積みし、圧縮額を月500億ドル規模へ

 
4)経済見通しは大きく変えず
・17年見通しで、GDPと失業率を上方修正一方、インフレ率を下方修正、その他は失業率見通しを全期間で上方修正したくらいで概ね3月予想を維持
  
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5)金利見通しもほぼ3月を踏襲
・年末時点の予想中央値を1.375%に(1.25-1.50%)据え置いて年内あと1回の追加利上げシナリオ維持
 
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6)イエレン議長「インフレ指標はノイズが付き物」
・質疑応答で「一部のインフレ指標に過剰反応しないことが重要であり、指標はノイズ伴う可能性」と述べて、足元のCPIの鈍化などを重視しない考えを示した
 
 
米5月消費者物価指数と米5月小売売上高の弱い結果を受けて108.787円まで売られていたドル円は、FOMC後に109.862円まで反発。2.10%近傍まで低下した10年債利回りも2.15%程度まで戻したが、いずれも指標前の水準(110.30円前後、2.22%前後)を回復する事はできなかった。FOMCが年内あと一回の利上げとB/S縮小の方針を示したとはいえ、その「実際の道筋は経済データ次第」としているためだろう。市場は、FOMCの見通しとそれに沿った金融正常化スタンスを懐疑的に見ている事になる。FOMCが市場の信頼を取り戻せるかどうかも「経済データ次第」という事になるのだろう。 

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参照元:外為どっとコム総合研究所

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