
暗号資産からステーブルコインへの交換を課税対象に
フランス国民議会(下院)が、暗号資産(仮想通貨)から法定通貨連動型ステーブルコインへの交換で生じる利益を課税対象とする修正案を10月16日に可決した。
今回可決されたのは、2027年度予算法案(PLF 2027)に対する修正案「I-3898」。採決結果は賛成38票、反対37票、棄権25票で、1票差での可決となった。
同修正案は、共産党系会派「民主共和左派(GDR)」に所属するニコラ・サンスュ(Nicolas Sansu)議員ら17人が10月10日付で提出したものだ。
フランスでは現在、個人が暗号資産を法定通貨に交換して得た利益は原則として課税対象となる一方、暗号資産同士の交換については一定の条件下で課税が繰り延べられる。
今回の修正案は、個人の暗号資産譲渡益を定める一般租税法典150 VH bis条を改正し、EU(欧州連合)の暗号資産市場規則(MiCA)で定義される電子マネートークン(EMT)やその関連権利を受け取る交換取引を、課税繰り延べの対象から除外するものだ。
EMTは単一の法定通貨に価値を連動させる暗号資産で、米ドル連動型の「USDC」やユーロ連動型の「EURC」などが該当する。なお、修正案の対象はMiCA上のEMTとその関連権利であり、すべてのステーブルコインが対象となるわけではない。
修正案の提案理由では、法定通貨への換金で得た利益には課税される一方、ステーブルコインへの交換では課税されない現行制度を問題視。ステーブルコインは支払いや他の暗号資産の購入にも利用できることから、今回の変更は新たな税負担を設けるものではなく、既存の税制を適用するものだと主張している。
取得価額の計算方法も変更へ
修正案では、暗号資産の譲渡益を算出する際の取得価額の計算方法についても変更が提案されている。
現行のポートフォリオ全体の取得価額を基にした按分方式に代わり、同じ種類の暗号資産を異なる価格で取得した場合には、加重平均取得価額を用いる方式を導入する。
これらの規定は、2027年1月1日以降の譲渡および交換取引への適用が予定されている。
それ以前に取得した暗号資産については経過措置が設けられ、納税者は実際の取得価額を用いる方法と、2026年末時点のポートフォリオ全体の取得総額を各資産の時価に応じて按分する方法を選択できる。後者の選択は撤回できない。
なお、フランス税務当局によると、個人の暗号資産譲渡益に適用される一律課税(PFU)の税率は現在31.4%で、所得税12.8%と社会保障関連負担18.6%で構成される。ただし、条件に応じて累進所得税率による課税を選択することもできる。
政府は反対、今後の審議で変更の可能性も
今回の修正案と同内容の規定は、10月7日に国民議会の財政委員会でも可決されていた。
一方、政府側は修正案に反対している。10月16日の本会議では、ダビッド・アミエル(David Amiel)行政・公会計相が、制度の実施に伴う複雑さなどを問題視し、撤回を求めた。
今後、2027年度予算法案は10月20日に第1部、11月17日に法案全体の採決が予定されており、その後、上院での審議に進む見通しだ。
ただし、今回の可決は下院での審議途中のもので、法案が成立したわけではない。今後の審議や政府による手続きを通じて、修正案が変更・削除される可能性もある。
暗号資産メディア「Bitcoin.com」は、修正案が成立すれば、暗号資産をステーブルコインに交換して課税を繰り延べる手段が制限されるとして、暗号資産投資プラットフォームMeriaの創業者兼CEOであるオーウェン・シモナン(Owen Simonin)氏などから懸念が出ていると報じている。
参考:フランス国民議会・修正案I-3898・フランス国民議会・採決結果・フランス国民議会・財政委員会修正案I-CF1826・フランス税務当局・暗号資産譲渡益の課税・Bitcoin.com
画像:PIXTA
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参照元:ニュース – あたらしい経済

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