
この記事の要点
- X社がBTC系6アカウントの収益分配不正で英国提訴
- 不正受領の約4,360万円の返還と損害賠償を請求
不正収益でアカウント運営者を提訴
X(旧Twitter)の運営会社であるX Internet Unlimited CompanyとX Corpは2026年9月17日、クリエイター収益分配プログラムを悪用して不正に報酬を得たとして、個人2名と身元不明の協力者をイングランド・ウェールズ高等法院に提訴しました。
訴状によると、被告側はビットコイン(BTC)関連の投稿を含む6件のXアカウントを連携させ、互いの投稿へのいいねやリポストなどでエンゲージメント指標を人為的に押し上げていたとされています。
Xは、こうした操作によって自然な利用者同士の反応があるように見せかけ、収益分配プログラムから本来受け取る権利のない報酬を得ていたと主張しています。
被告側に支払われた金額は少なくとも20万7,384ポンド(約4,360万円)にのぼり、対象となった6アカウントは2026年8月18日に停止されました。
Xは不正に支払われたとする資金の返還に加え、損害賠償や利息、訴訟費用なども求めています。
投稿から仮想通貨の売買が可能に
決済・端末情報が暴いた6アカウントの連携実態
6アカウントを2年半かけて収益分配に順次登録
訴状で実名が挙げられた被告はヴィヴェック・クマール・セン氏とザミャン・シェルパ氏の2名で、いずれも英国ランカシャー州プレストンの在住者だとされています。
訴状によると、被告側は2023年8月から2026年2月にかけて、6件のアカウントをクリエイター収益分配プログラムに順次登録していました。
登録対象には@Vivek4real_、@Bitcoin_Teddy、@saylordocs、@TrendingBitcoin、@Kalshibacktest、@PolyBackTestの6アカウントが含まれています。
同プログラムでは、X Premiumなどへの加入に加え、過去3か月で500万件を超えるオーガニックインプレッションと500人を超える認証済みフォロワーの保有などが参加条件に定められていました。
条件を満たしたアカウントには、エンゲージメント量に応じて広告収益の一部が分配されていたとXは主張しています。
同一投稿と相互反応でエンゲージ操作
Xは、6アカウントが単一の連携ネットワークとして運営され、互いの投稿へのいいねやリポストを繰り返して自然な利用者同士の反応があるように見せていたと主張しています。
複数のアカウントでは、同一またはほぼ同じビットコイン関連の画像や文言が数秒から数分の間隔で投稿されていたことも訴状で指摘されています。
2026年8月5日には@Vivek4real_と@TrendingBitcoinがほぼ同じ内容をわずか11秒以内に投稿した事例が確認されています。
このほか、2025年10月には@TrendingBitcoinと@saylordocsが同じ画像と文言を2分以内に投稿し、同年11月には4アカウントが同一内容を相次いで公開した例も挙げられました。
Xは、こうした連携投稿や相互反応によって、本来受け取る権利のない収益分配を得ていたと主張しています。
Stripe・銀行情報が示すアカウント間の関連性
Xは、6アカウントに結び付いた決済代行サービスStripeの登録情報や銀行口座にも、運営者同士のつながりを示す情報があったとしています。
@Bitcoin_TeddyのStripe口座は「ステファン・マン」名義で登録されていた一方、支払い先の銀行口座と登録メールアドレスはセン氏に結び付いていたと訴状は指摘しました。
@PolyBackTestではStripe口座と銀行口座がシェルパ氏の名義だったのに対し、登録メールアドレスはセン氏に関連するものだったとされています。
さらに@saylordocsと@TrendingBitcoinのX Premium決済には、米国デラウェア州の住所を請求先とするデビットカードが使われており、両被告が居住するプレストンとは異なる住所が登録されていました。
訴状によると、6アカウントはこうした重複する決済情報に加え、同一の端末やソフトウェアクライアント、識別子、デバイストークン、Cookieなどを通じても関連付けられています。
関連3アカウントがいいね・リポストで拡散協力
訴状は主要6アカウントのほか、@BTC_Vibes、@MrSuperBitcoin、@Laserlumpなどのアカウントも一連の行為に関与していたと主張しています。
これらのアカウントは被告側の投稿に繰り返しいいねやリプライ、リポストを行い、自然なユーザー反応が生じているように見せていたとされています。
Xは今後の調査や証拠開示に応じて、ほかの事例や追加アカウントについても訴訟上の根拠として挙げるとしています。
アカウント売買の打診と有料操作サービスも発覚
セン氏については、2025年12月18日に第三者のXアカウントを買い取ろうと接触していた事例も訴状に記されています。
セン氏はその際、暗号化チャットが有効になっていないことを理由に別の連絡手段へ移るよう求め、Xが認めていない行為で問題になりたくないとの趣旨のメッセージを送ったとされています。
Xはセン氏が@Vivek4real_を通じて第三者向けに有料のエンゲージメント操作サービスを提供し、フォロワー数の多い追加アカウントの取得を図っていたとも主張しています。
約4,360万円の返還と訴訟費用を請求
訴状では、被告側の行為について詐欺・欺瞞、違法な手段による共謀、不当利得、契約違反など複数の法的根拠が挙げられています。
Xが収益分配プログラムを通じて支払ったとする金額は少なくとも20万7,384ポンド(約4,360万円)で、訴状には6アカウントごとの支払額も記載されています。
このほか、調査や分析、不正行為への対処などに要した費用についても、現時点で少なくとも7万5,000ポンド(約1,580万円)に達する見込みだとしています。
トラストウォレット、Xと連携か
収益分配プログラム終了と後継制度への移行
Xのクリエイター収益分配プログラムは2026年9月7日ごろ、後継の「Original Content Rewards」プログラムへ置き換えられたと訴状に記されています。
旧制度では、複数アカウントを使って同一または類似する投稿を拡散したり、いいねやリポストなどを交換してエンゲージメントを人為的に膨らませたりする行為が禁止されていました。
収益分配の規約でも、投稿の閲覧数を人工的に増加させたり、プラットフォームを操作したりした場合には、報酬の没収やプログラムからの除外などの措置を取ることが定められていました。
今回の訴状では、6アカウントによる連携投稿や相互反応がこうした禁止行為にあたり、不正な収益分配につながったとXは主張しています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ポンド=210.4 円)
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Source:X訴状
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用







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