シティ、非上場株向け「デジタル預託証券」開始。SIX基盤でトークン化

プレIPO株へのアクセス拡大へ

米大手金融機関のシティ(Citi)が、非上場企業株を対象とした「デジタル預託証券(Digital Depositary Receipts)」を開始したと6月11日に発表した。

同商品は、非上場企業株へのエクスポージャーを、トークン化された預託証券を通じて投資家へ提供する。シティによると、IPO(新規株式公開)までの期間が長期化する中、非公開企業や投資家向けに新たな流動性手段を提供することを目的としているという。

シティは、スイスの金融市場インフラ企業シックス(SIX)が運営する規制下のブロックチェーン基盤を活用し、非上場株を対象としたトークン化預託証券を発行する。シティは同基盤上でカストディアンとしても機能し、トークン化された預託証券の決済および保管を担う。

なお、シティは2025年にシックス傘下の「シックス・デジタル・エクスチェンジ(SIX Digital Exchange:SDX)」と提携し、レイトステージのプレIPO企業株式のトークン化構想を発表していた。今回のデジタル預託証券は、その取り組みを実際のサービスとして展開したものと位置付けられる。

同社は、この仕組みにおいてトークン化預託証券の発行体およびカストディアン(保管機関)の両方を担うという。同社によると、グローバルな金融サービス企業が、非上場企業を対象としたトークン化預託証券について、発行体とカストディアンの双方を務めるのは初の事例だという。

同社は、近年の非公開市場では、IPOまでの期間が長期化する一方で、既存の流通市場は複雑な取引構造や複数の仲介者、不透明な手数料などの課題を抱えているとの認識を示した。今回のデジタル預託証券は、こうした課題に対応するための効率的かつコスト効率の高いソリューションとして設計されたとのことだ。

また同社は、従来の第三者SPV(特別目的会社)などを利用する仕組みと比較し、同社が単一の発行体およびカストディアンとして機能することで、複雑さや潜在的なコストを軽減できるとしている。

初回案件としては、シティの投資先企業である機関投資家向けトークン化・デジタル資産プラットフォーム「カレイド(Kaleido)」の非上場株を対象としたデジタル預託証券を発行した。

なお近年は、未上場企業への投資機会を提供するトークン化商品の取り組みが広がっている。暗号資産取引所クラーケン(Kraken)は今月、xStocksを通じたSpaceX IPOへの参加意向受付を開始し、割当を受けた対象利用者にSpaceX株式を1対1で裏付けるトークン化商品「SPCXx」を付与する仕組みを示していた。またロビンフッド(Robinhood)やリパブリック(Republic)なども、未上場企業株そのものではなく、その経済的価値へのエクスポージャーを提供する取り組みを進めている。

今回シティが発表したデジタル預託証券も、こうした未上場株市場のデジタル化の流れに位置付けられる。一方で、同商品は、預託証券という伝統金融の枠組みを活用し、シティ自身が発行体およびカストディアンを担う点が特徴だ。

シティは今後、同商品の提供をデジタル市場インフラと伝統的金融市場インフラの双方へ拡大することや、複数のブロックチェーンネットワークへの対応も検討していくとしている。

参考:シティ
画像:Reuters

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参照元:ニュース – あたらしい経済

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