TDコーウェン、クラリティ法案巡る政治環境悪化を警告

年内成立に暗雲

米投資銀行TDコーウェン(TD Cowen)が、米国の暗号資産(仮想通貨)市場構造法案「クラリティ法案(CLARITY Act)」の今年中の成立について悲観的な見方を示しているようだ。「ザ・ブロック(The Block)」が5月26日に報じた。

TDコーウェンのワシントン・リサーチ・グループのマネージング・ディレクターであるジャレット・セイバーグ(Jaret Seiberg)氏は5月26日付のメモで、「クラリティ法案をめぐる政治環境は悪化している。今年中の成立には引き続き悲観的だ」と述べた。

5月14日、上院銀行委員会はクラリティ法案を15対9で可決した。共和党全員に加え民主党2名も賛成したが、民主党側や銀行業界にはなお懸念が残っている。セイバーグ氏はこの結果について、「合意に達したシグナルではなく、戦いの場が上院本会議に移っただけ」と指摘。利益相反条項をめぐる問題など、主要な障壁は依然として残っているとした。

セイバーグ氏は、民主党がクラリティ法案を支持することを政治的に困難にしている最近の動きとして3点を挙げた。

まず、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が米国内国歳入庁(IRS)を相手取った100億ドル(1兆5924億5000万円)の訴訟を取り下げる代わりに、司法省が17億7,600万ドル(2828億2000万8000円)の反武器化基金を設立した件だ。同基金は政府による「武器化」や「法的嫌がらせ」の被害を訴える個人への補償を目的とし、IRSによるトランプ氏本人・家族・関連企業の過去の税務調査も永久に禁止された。セイバーグ氏は「納税者の資金によるこのような基金は前例がなく、大統領の支持者への報酬に使われているように見える」と批判した。

次に、予測市場や暗号資産業界が商品先物取引委員会(CFTC)に対して影響力を行使し、懸念を示したベテラン規制当局者が排除されたとする「ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)」の調査報道だ。セイバーグ氏は内容はまだ確認されていないと断った上で、トランプ一族と複数の暗号資産・予測市場企業との関係が議会交渉においてますます重要な問題になりつつあると指摘した。

さらに、今月公開された政府の財務開示書類により、2026年第1四半期にトランプ大統領名義で約3,600件の株取引が執行されていたことが判明した件も取り上げた。一部の取引はトランプ氏が関連企業や政策について公言した時期と重なっていたとされる。ホワイトハウスは「トランプ大統領や家族は関与していない」と説明しているが、セイバーグ氏はこれが民主党に対するさらなる圧力材料になると分析した。

セイバーグ氏は、こうした状況が民主党だけでなく共和党にとっても悩ましい問題だと指摘する。利益相反修正案への反対票を強いられる可能性があるため、共和党議員も法案を前進させることに消極的になりかねないという。

「大統領に適用される利益相反基準を含まない暗号資産法案を民主党議員が支持することは、政治的に非常に困難だ」とセイバーグ氏は述べた。

その結果として、議員たちは政治的な混乱が収まるのを待ちながら行動を先送りするという展開を同氏は予想。議員たちは、現在の騒動が落ち着くまで様子見を続けているが、2026年11月の中間選挙が近づけば、法案審議に使える時間はさらに限られてくるとセイバーグ氏は指摘している。

セイバーグ氏は以前から、法案を通す時間的な窓は8月の議会休会前までだと指摘しており、今年を逃せば成立は2027年以降にずれ込み、最終的な規制の施行は2029年になる可能性があると警告している。

参考:報道 
画像:PIXTA

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参照元:ニュース – あたらしい経済

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