ホワイトハウス「ステーブルコイン利回り禁止は効果薄」CLARITY審議に一石

この記事の要点

  • 米CEAが2026年4月8日、ステーブルコイン利回り禁止の影響試算を公表
  • 銀行融資増加は年21億ドル、家計損失は年8億ドル
  • 利回り禁止は「銀行保護効果が限定的で逆効果」
  • CLARITY法案では間接的な利回り規制強化が焦点

米CEA「利回り禁止で家計損失8億ドル」

ホワイトハウスの経済諮問委員会(CEA)は2026年4月8日、ステーブルコインの利回り禁止が銀行融資と家計に与える影響を分析したレポートを公表しました。

レポートでは、利回り禁止によって年間21億ドル(約3,330億円)の銀行融資増加が見込まれる一方、家計や消費者側には年間8億ドル(約1,270億円)の厚生損失(経済全体の純コスト)が発生すると試算されています。

この試算の前提には、2025年7月に成立したGENIUS法があります。同法はステーブルコイン発行体に対し、残高と同額以上の準備資産の保有を義務付けるとともに、保有者への利息や利回りの提供を一切禁じています。

禁止の主な根拠は「ステーブルコインが銀行預金から資金を吸い上げ、銀行融資を減らす」という懸念でしたが、CEAは独自モデルでこの前提を検証し「利回り禁止は銀行融資の保護にほとんど寄与しないまま、家計から運用機会を奪っている」と指摘しました。

さらにCEAは、GENIUS法の規制範囲そのものにも論点があると付記しています。同法は発行体による直接的な利回り提供を禁じる一方、系列会社や第三者を通じた間接的な利回り商品は明示的な規制対象外となっており、抜け穴が残されたままになっています。

この抜け穴に対しては、CLARITY法案の新草案が間接的な利回り経路まで含めて規制対象に取り込む方向で調整を進めており、ステーブルコイン規制のあり方が改めて注目を集めています。

CEAモデルが示した「利回り禁止」3つの限界

銀行融資の保護効果がほぼない

利回り禁止の根拠として挙げられてきたのは、ステーブルコインが競争力ある利回りを提供すれば、家計が銀行預金をトークンへ移し替え、銀行の融資原資が減少するという懸念です。

この前提を支持する分析の中には、融資への影響が数兆ドル規模に及ぶと試算するものもあり、業界内外で引用されてきました。CEAはこうした既存試算を踏まえたうえで、独自のモデルを構築して検証に臨んでいます。

CEAの基本シナリオでは、利回り禁止による融資増加は総融資残高の0.02%にすぎず、大手銀行がその76%を占め、資産100億ドル(約1.6兆円)未満のコミュニティバンクによる増加分は5億ドル(約790億円)にとどまる計算です。

あらゆる最悪ケースを重ね合わせた場合でも、融資増加は5,310億ドル(約84.2兆円)、2025年第4四半期の銀行融資残高比で4.4%増が上限だとCEAは試算しました。

この上限値を達成するには、ステーブルコインの市場規模が預金比で現在の約6倍に拡大し、準備資産がすべて現金で保有され、FRB(米連邦準備制度理事会)が現在の金融政策の枠組みを放棄するという、現実的ではない条件が同時に成立する必要があるとCEAは付記しています。

条文に抜け穴

CEAは、こうした融資効果の小ささに加え、現行のGENIUS法の条文そのものにも論点があると指摘しました。

同法はステーブルコイン発行体からの直接の利回り提供を禁じる一方、系列会社や第三者による間接的な利回り付与は明示的に規制対象外に置かれています。

こうした抜け穴を象徴する事例として、CEAは大手仮想通貨取引所Coinbase(コインベース)がUSDC保有者に提供している「USDC Rewards」を挙げ、これがCircleとの収益分配契約によって支えられていると説明しています。

実態としてステーブルコイン保有者は引き続き利回りを得ており、その水準は高利回り預金口座と同程度になっているといいます。

この間接経路に対しては、CLARITY(クラリティ)法案の新草案が利回り提供を全面的に遮断する条項を盛り込む方向で調整を進めています。

ただしCEAは、間接経路を含む全面禁止が実現しても、福祉的な効果が生じる条件は同様に非現実的だと付記しており、家計の損失なしに銀行融資を有意に増やせる状況は想定し難いとの見方を示しました。

コスト負担が家計に偏る

CEA分析は、利回り禁止が誰にどう作用するかについても具体的な内訳を示しました。

基本シナリオでは年間の厚生損失が8億ドルに達する一方、銀行融資の増加額は21億ドルにとどまります。家計が利回り運用機会を失うコストは、銀行が融資増分から得る経済効果をおよそ4倍上回ると試算しています。

コミュニティバンクへの効果に限れば、融資増加は最悪ケースでも1,290億ドル(約20.5兆円)・6.7%増が天井となり、地域金融機関の保護という観点でも利回り禁止の効果は限定的だとCEAは結論付けています。

銀行側の便益が小さい一方で、ステーブルコイン保有者にとっては、利回りが付かない状態での保有が機会費用を伴うことになり、競争的な金融商品への選好が強まる可能性があります。

法改正の行方次第では、利回り付き商品の提供主体が発行体から第三者へとシフトしていく動きも出てくるとみられています。

CEA試算がCLARITY法案審議に投じる一石

CLARITY法案の審議は現在、間接的な利回り経路まで規制対象に取り込むかどうかという論点で詰めの段階に入っています。

今回公表されたCEA分析は、規制強化を支持してきた「銀行融資保護」という根拠そのものを数値で否定する内容となりました。立法側がコスト便益比6.6という結論をどう扱うかが、間接経路規制の強度を直接左右するとみられています。

仮想通貨利用者にとっては、この立法判断の行方によって、ステーブルコインが「決済手段」のままでいるのか「運用商品」としての性格を失うのかが分かれることになります。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=158.68 円)

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Source:ホワイトハウスCEAレポート
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

参照元:仮想通貨ニュース最新一覧【毎日更新】 - 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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