2026年4月第1週、暗号資産市場に異変が起きています。
ステーブルコイン大手のCircle社がソラナブロックチェーン上で過去7日間に約32億5,000万ドル(約4,700億円)分のUSDCを新規発行したことが、ブロックチェーン分析プラットフォームSolScanのデータで明らかになりました。
これは2026年における週次ベースで最大の発行額です。
「ソラナに大量の流動性が流れ込んでいる」
この動きは一時的な偶然か、それとも本格的な潮目の変化なのか。
ただし同じ週、ソラナ上の大手DeFiプロトコル「Drift」が286億円規模のハッキング被害を受けるという衝撃的な事件も起きています。
両面の事実をもとに、2026年4月時点のソラナの実態を整理します。
この記事のポイント
・Circle社がソラナ上で週次最大の32.5億ドルUSDCを発行——ソラナのUSDCシェアが全体の約10%に拡大
・発行の背景はDeFi活動の活発化と機関投資家のオンランプ需要。低手数料・高速処理が評価されている
・ただし同週(4月1日)、Drift Protocolが286億円のハッキング被害。北朝鮮関連組織の関与が疑われる
・USDCの急増は「ソラナへの信頼」とも読めるが、直前のハック資金がUSDCに変換された可能性も否定できない
・イーサリアムはまだUSDCシェアの約66%を占有。ソラナの台頭は本物だが、逆転はまだ遠い
何が起きたのか——32.5億ドルUSDC発行の全容
SolScanのオンチェーンデータによると、Circle社は過去7日間(2026年4月第1週)にわたり、ソラナブロックチェーン上で2億5,000万ドル単位の複数回のミント(新規発行)を繰り返す形で合計32.5億ドルのUSDCを発行しました。
これは2026年における週次USDC発行額として最大を記録しています。
この動きを受け、Circle社の上場株(CRCL)はプレ市場取引で一時3.5%上昇。
ソラナの価格も24時間で約3.2%上昇し82ドル前後を推移しました。
専門家からは「ソラナの低手数料と高速処理がDeFi活動の活発化と機関投資家のオンランプ需要を引き寄せている」という分析が出ています。
イーサリアムのような高額ガス代が壁にならないソラナが、ステーブルコインの実用的な決済・運用レイヤーとして選ばれつつあるという見方です。
この数字をそのまま信じてはいけない理由
EDITOR'S ANALYSIS — 同週に起きた「もう一つの事件」
多くのメディアがUSDC急増を「ソラナへの資金流入の兆し」と好意的に報じています。
しかし見落とされがちな文脈があります。
この32.5億ドルUSDC発行と同じ週(2026年4月1日)、ソラナ上の大手DeFiプロトコル「Drift Protocol」が約286億円(2億8,600万ドル)規模のハッキング被害を受けました。
攻撃者は盗んだ各種トークン(JLP・SOLなど)を即座にUSDCへスワップし、Circle社のCross-Chain Transfer Protocol(CCTP)経由で2億3,000万ドル相当のUSDCをイーサリアムへブリッジしています。
つまり、「ソラナ上のUSDC急増」の一部は、盗まれたトークンがUSDCに変換・ブリッジされた動きを含んでいる可能性があります。
オンチェーンデータはそれを「発行増加」として記録します。
32.5億ドルという数字を「純粋な資金流入」と解釈するのは早計かもしれません。
一方で、Circle社がDrift被害のUSDCを凍結しなかったことが強い批判を受けています(オンチェーン調査者のZachXBT氏が業務時間中に対応しなかった点を指摘)。
これはCircleの対応体制への疑問を提起する重要な論点です。
Drift Protocolハック——何が起き、何が問題なのか
事件概要(2026年4月1日)
ソラナ最大の分散型先物取引プロトコル「Drift Protocol」が総額約286億円(2億8,600万ドル)の資産を盗まれました。
「durable nonce(恒久ナンス)」と呼ばれるソラナの正規機能を悪用した手口で、コードのバグではなく人的ミスを突いたソーシャルエンジニアリング攻撃です。
セキュリティ企業EllipticとTRMラボはDPRK(北朝鮮)関連組織の関与を強く疑っており、北朝鮮の仮想通貨窃盗は2025年に世界全体の盗難額の約60%を占めたとされています。
「durable nonce攻撃」とは何か——わかりやすく解説
ソラナではすべての取引に「最近のブロックハッシュ」(60〜90秒で失効するタイムスタンプ)が含まれており、古い取引が後から再実行されることを防いでいます。
しかし「durable nonce(恒久ナンス)」という正規機能を使うと、この有効期限を無効化し、取引を無期限に有効な状態で保存できます。
攻撃者はDriftのセキュリティ評議会メンバーを3週間かけてソーシャルエンジニアリング(人的操作)し、「通常の管理作業」に見せかけた取引への承認署名を騙し取りました。
この署名済み取引を「恒久ナンス」として保存しておき、タイムロック(24〜72時間の待機期間)が撤廃されたタイミングで一気に実行。
12分間で2億8,600万ドルを引き出しました。
それでもUSDC増加は「本物の需要」か——構造的な見方
ポジティブな視点
DeFiLlamaのデータによると、ソラナ上のUSDC総残高は86.4億ドルに達しており、全体シェアは約10%まで拡大しています。
Driftハック事件の影響を差し引いても、ソラナ上のステーブルコイン需要が構造的に高まっていることは否定できません。
低手数料・高速処理という特性が、高頻度取引やDeFiプロトコルにとって不可欠な環境を提供しているためです。
実際、ソラナのDEX(分散型取引所)市場シェアは2026年1月の33%から3月には42%へ上昇しています。
これはDriftハックの前からのトレンドであり、ソラナ上での経済活動の活発さを示しています。
2026年2月にはFiredancerクライアントがメインネットで本格稼働を開始し、処理速度が飛躍的に向上したことも、この傾向を後押しする要因のひとつです。
イーサリアムのUSDCシェアが依然として約66.5%を占めていることも重要な文脈です。
ソラナが急成長しているのは事実ですが、「ソラナがイーサリアムのステーブルコイン覇権を脅かす」水準にはまだ至っていません。競争は続いており、今後の推移が市場の向かう方向を決定します。
投資家がこのニュースから読み取るべきこと
① SOL価格への短期的な影響は限定的
USDC発行急増のニュースを受けてSOL価格は3.2%上昇しましたが、同日のDriftハック報道で上昇幅は圧縮されました。
市場は「良いニュースと悪いニュースが同時に来た」と混乱しており、方向感を定めにくい状況です。
USDC増加だけを見て即座に「SOL強気」と判断するのはリスクがあります。
② DeFiセキュリティリスクは依然としてソラナの課題
2022年のWormhole bridge攻撃(3.26億ドル)に次ぐ「ソラナ史上2番目の規模」となった今回のDriftハック。
ソラナ上のDeFiに預けている資産がある方は、タイムロック設定・マルチシグ管理・ガバナンス変更への注意がこれまで以上に重要です。
「高速・低コスト」の代償として、ガバナンスの人的リスクが課題として浮き彫りになりました。
③ Circle(USDC)の対応体制への問いかけ
盗まれたUSDCが業務時間内に大量にブリッジされたにもかかわらず、Circleがそれを凍結しなかった点は業界内で大きな議論を呼んでいます。
「中央集権的な発行体だからこそできるはずの資産凍結をしない」という批判と、「一方的な凍結は分散型金融の原則に反する」という擁護が対立しており、ステーブルコインの本質的なジレンマが浮き彫りになりました。
ハックがあっても、エコシステムが成長しているのもソラナの現実です。
「リスクを知った上で備える」——それが唯一の正しい向き合い方です。
SOL・ETH両方を扱える取引所を、今のうちに確保しておきましょう。
口座審査には数日かかることがあります。
【投資判断に関する注意】
本記事はSOL・USDCへの投資を推奨するものではありません。
仮想通貨は価格変動が大きく元本割れのリスクがあります。
DeFiプロトコルへの資産預け入れには、スマートコントラクトリスク・ガバナンスリスク・ハッキングリスクが伴います。投資判断はご自身の責任で行ってください。
まとめ——2026年4月のソラナ、正直な結論
結論:数字の裏を読む3つのポイント
① 32.5億ドルのUSDC急増は本物の需要と盗難資金の混在——「純粋な資金流入」と即断せず、同週のDriftハックの文脈と合わせて読むことが重要です
② ソラナのDeFiエコシステムは成長しているが、セキュリティリスクは現実——Firedancerによる高速化と、ガバナンス面の人的リスクという二面性を持っています
③ イーサリアムはまだ圧倒的なシェアを持つ——ソラナのUSDCシェアは約10%。66.5%のETHと比べれば、追い上げは続くが逆転はまだ先の話です
「ソラナUSDC急増=強気転換」という見出しに踊らされず、同じ週に起きた286億円ハックという現実も直視する必要があります。
ソラナのエコシステムは確かに拡大していますが、成熟には時間と安全性の積み上げが必要です。
まずは取引環境を整え、動向をウォッチし続けることが重要です。
国内主要取引所——SOL・ETHを買うならここ
USDC急増・Driftハック・Firedancer稼働。
今週のソラナは良いニュースも悪いニュースも同時に起きました。
どちらに転んでも動けるよう、SOL・ETH両対応の取引所を今のうちに準備しておくことが重要です。
投資スタイル別のおすすめを先にまとめました。
免責事項
本記事は各種公開情報をもとに独自に解説したものです。
特定の仮想通貨への投資を推奨するものではありません。
仮想通貨の売買には元本割れのリスクがあります。DeFiプロトコルへの資産預け入れにはハッキングリスクが伴います。
投資判断はご自身の責任で行ってください。記載の価格・データは執筆時点のものであり、変動する可能性があります。
The post 【徹底解説】ソラナに4700億円流入の真相―USDC急増と286億円ハックの裏側 first appeared on CoinChoice(コインチョイス).
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