
この記事の要点
- 金融庁が2026年4月3日、3社の銀行間決済実証実験を支援決定
- ディーカレットDCP、GMOあおぞらネット銀行、アビームコンサル参画
- トークン化預金・ステーブルコインの2方式を3社が実務検証
- 実用化が進めば企業・個人の送金コストと時間が大幅短縮の可能性
金融庁、3社の銀行間決済実証を支援
金融庁は2026年4月3日、FinTech実証実験ハブ内の決済高度化プロジェクト(PIP)の第3弾支援案件として、ディーカレットDCP、GMOあおぞらネット銀行、アビームコンサルティングの3社による銀行間決済の実証実験への支援を発表しました。
今回の実験では、異なる銀行の顧客間でトークン化預金を使った銀行間決済と、ステーブルコインを活用した銀行間決済の2手法について、実務上の有用性と実現可能性を検証するとしています。
金融庁は2025年11月にPIPを設立しており、今回はPIPとして3件目、FinTech実証実験ハブ全体では14件目の支援案件となります。
この実証実験により、銀行間の送金インフラが整備されれば、企業や個人の資金移動にかかるコストと時間の大幅な短縮が期待されています。
新設PIPで共同発行の課題を検証
トークン化預金かステーブルコインか、3社が優劣を検証
金融庁が設けた2つの枠組み、ハブとPIPの違い
FinTech実証実験ハブは、金融庁が2017年9月に設置した制度で、前例のない実証実験を行う企業・金融機関が抱える規制上の懸念を払拭し、イノベーションを後押しするための枠組みとして機能しています。
PIPはそのハブ内に2025年11月に設けられた決済特化型のプロジェクトで、ブロックチェーン技術を活用した決済高度化に特化しており、欧州・アジアの動向を踏まえながら日本の決済インフラのデジタル変革を推進しています。
送金インフラの次世代化、2方式の有用性を検証
トークン化預金は、銀行が管理する預金をブロックチェーン上でデジタルトークンとして表現する手法で、送金の指示から決済の完了までをスマートコントラクトで自動化できるため、現行の銀行間送金システムと比較して大幅な効率化が見込まれます。
ステーブルコインは、既存の銀行口座間決済の代わりにステーブルコインを仲介資産として活用するアプローチで、どちらが実務上の規制対応や運用面で優れているかを今回の実証実験を通じて検証するとしています。
いずれの方式も実装には技術・規制の両面での対応が求められており、3社はそれぞれ該当分野での実績を持ちます。
ディーカレットDCPは国内でデジタル通貨インフラ「DCJPY」の実証・研究を主導してきた企業で、GMOあおぞらネット銀行は銀行APIの先進的活用で知られます。アビームコンサルティングは金融機関向けのIT・業務コンサルティングで実績があり、3社で規制対応と実装の両面をカバーするとしています。
資金決済法の適用関係、実証実験で整理へ
実証実験への支援は、実験内容の明確性・社会的意義・革新性・利用者保護・実験の遂行可能性の5項目を金融庁が審査した上で決定されます。
実験終了後には、コンプライアンスや監督対応上の論点、一般利用者向けサービス提供時の法令解釈に係る実務上の論点を含む結果が金融庁ウェブサイトで公表される予定です。
現状、トークン化預金の銀行間決済をめぐっては資金決済法・銀行法の適用関係が不明確な部分が残っており、金融機関が本格展開を進める上で法的根拠の明確化が不可欠な状況です。
今回の実験でこれらの論点が整理されれば、国内の民間企業や金融機関が商業化に向けた次のステップへ踏み出しやすくなるとみられています。
片山大臣「2026年はデジタル元年」
アジア先進国に続く日本、制度整備と実用化が加速
シンガポールでは金融管理局(MAS)主導の「プロジェクト・ガーディアン」がトークン化資産の商業化フレームワークの整備に移行し、債券・ファンド・外為・銀行負債など複数分野で実用段階に入っています。
日本でも制度整備が加速しており、改正資金決済法のもとでステーブルコインを発行する銀行・信託会社向けのライセンス制度が本格稼働しています。
自民党も「次世代AI・オンチェーン金融構想PT」を通じてステーブルコインとトークン化預金の制度整備を政策課題として推進しており、今回の実証実験が法的論点の整理に成功すれば、民間銀行によるトークン化預金の商業展開に向けた後押しが得られる可能性があります。
実験期間は2026年4月から当面の間とされており、結果の公表時期と法令解釈の整理内容、さらに商業化に向けた制度対応の進展が今後の焦点となっています。
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Source:金融庁発表
サムネイル:AIによる生成画像







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