
カナダ中央銀行らがトークン化債券実証完了
カナダの中央銀行バンクオブカナダ(Bank of Canada:BoC)が、トークン化とDLT(分散型台帳技術)による債券発行・決済の効率化や高度化を検証した共同実証「プロジェクトサマラ(Project Samara)」の完了を3月5日に発表した。
同実証には、ロイヤルバンクオブカナダ(Royal Bank of Canada:RBC)傘下の投資銀行部門RBCキャピタルマーケッツ(RBC Capital Markets)、同じくRBC傘下で資産管理会社や機関投資家向けに資産サービスを提供するRBCインベスターサービシーズ(RBC Investor Services)、北米の銀行グループでホールセール(金融機関など大口取引向け)銀行業務を手がけるTDバンクグループ(TD Bank Group:TD)、そしてカナダの輸出信用機関エクスポートデベロップメントカナダ(Export Development Canada:EDC)が参加したとのこと。
プロジェクトサマラの実験では、EDCがDLTを用いたカナダ初のトークン化債券を今回の発表の週に発行し、支払いはホールセール中央銀行デジタルマネー(W-CAD)で決済されたとのこと。この債券は売却と取引が行われ、ライフサイクル全体を通じてサマラプラットフォーム上で管理される予定だという。
サマラプラットフォームは、今回の実験のために設計された基盤で、現金と債券の発行、入札、クーポン支払い、償還、流通市場での取引まで、債券のライフサイクル全体にわたる一連の処理をDLTインフラ上で一体的に処理するよう設計されたという。
同プラットフォームには、ンタープライズ向け許可型DLT基盤「ハイパーレジャーファブリック(Hyperledger Fabric)」が採用されたとのこと。同チェーンの採用により、債券台帳と現金台帳の統合に加え、トークン化債券の流通市場取引と決済のオンチェーン実行、即時決済が可能になったという。
なおハイパーレジャーファブリックは、非営利団体リナックス財団(Linux Foundation)傘下の非営利団体であるLFディセントララズド・トラスト(LF Decentralized Trust)がホストするハイパーレジャー(Hyperledger)系プロジェクトの1つだ。
プロジェクトサマラは、バンクオブカナダが2016年から進めてきたDLT検証「ジャスパープロジェクト(Jasper projects)」の先行実験を踏まえものとされる。同プロジェクトでは、中央銀行マネーで資金供給・取引される実際の債券を用いて、資本市場向けDLT基盤の実現可能性を検証したとのこと。実験は、3カ月未満の1億カナダドル建て債券1本を、限定された投資家グループに発行する形で構成されたという。
プロジェクトサマラの参加機関は、今回の実験を通じて、業務効率やデータ完全性の改善、ワークフローの簡素化といった効果が見られたとしている。一方で、システムの複雑化や流動性コスト、新たなガバナンス体制の必要性、調整や報告、監督に関する負担の増加も明らかになったという。取引相手の信用リスクと決済リスクは低減したが、技術、監査可能性、フォールバック手段に関わる新たな運用リスクも生じたという。
また、マーケットプレイス運営者、カストディアン(保管機関)、オフプラットフォーム取引報告といった一部の中央集権的な役割を通じて、現行の規制枠組みとDLTの原則との間に隔たりがあることも確認されたとのことだ。
参考:バンクオブカナダ
画像:PIXTA
関連ニュース
- カナダ投資規制当局、暗号資産カストディ新枠組み公表
- カナダ、ステーブルコイン規制に本腰も市場影響は限定的か=レポート
- カナダ、ステーブルコイン規制を含む予算案が辛勝。包括的デジタル資産政策が前進へ
- カナダ年金運用のCPPIB、ストラテジー株を新規組み入れ
- カナダ政府、ステーブルコイン規制法案を導入へ
参照元:ニュース – あたらしい経済

コメント