
内閣承認、正式な資産クラスとして位置付け
タイ政府が、暗号資産(仮想通貨)をデリバティブ市場の原資産として正式に位置付ける方針を決定した。内閣が財務省の提案を2月10日に承認し、ビットコイン(BTC)などの暗号資産をデリバティブおよび資本市場における参照資産(reference assets)として利用可能にするための法改正を進める方針だと現地紙「バンコク・ポスト(Bangkok Post)」が2月11日に報じた。
今回の措置は、タイのデリバティブ市場を国際基準に沿って近代化するとともに、規制監督と投資家保護を強化することが目的とされる。
改正法では、デリバティブ取引法(Derivatives Act)を修正し、暗号資産やデジタルトークンを新たな参照資産として追加する。これにより暗号資産は、従来の投機的商品という位置付けから、資本市場を構成する一資産クラスとして制度的に認識されることになる。
タイ証券取引委員会(SEC)のポーンナノン・ブッサラトラグーン(Pornanong Budsaratragoon)事務局長は、今回の拡張は新興資産クラスへの対応を目的としたものだと説明。「暗号資産をデリバティブ市場の原資産として活用可能にすることで、資産クラスとしての認知を強化し、ポートフォリオ分散やリスク管理の向上につなげる」と述べている。
またデジタル資産事業者は、適切なライセンスおよび監督体制のもとで、暗号資産を参照するデリバティブ契約を提供できるようになる。SECは現在、デリバティブ・ブローカー、取引所、清算機関に関するライセンス枠組みの見直しを進めている。
さらにSECは、タイ先物取引所と連携し、暗号資産連動型デリバティブの契約仕様を策定中だ。商品設計が暗号資産の価格変動特性や市場実務に適合するよう整備する。
今回の法改正では、カーボンクレジットの分類も見直される。従来は「変数(variables)」として扱われていたが、「商品(goods)」へ再分類されることで、現物受渡型のカーボンクレジット先物の導入が可能になる。これは、現金決済型契約と並行して提供される見通しだ。
この方針は、現在検討中の気候変動法案とも整合し、タイの長期的なカーボンニュートラル目標を後押しする狙いがある。
今回の規制見直しは、タイ証券取引所(SET)が2026年の事業計画で示したビットコイン先物やビットコインETFの導入方針とも軌を一にする。これらの商品導入には法改正が前提条件となる。
市場関係者は、今回の動きを暗号資産を主流金融システムへ統合する重要な一歩と評価する。
大手暗号資産取引所バイナンス(Binance)のタイ法人であるバイナンスTH(Binance TH/ガルフ・バイナンス傘下)のCEO、ニルン・フワッタナヌクル(Nirun Fuwattananukul)氏は、「今回の決定はタイ資本市場にとって画期的な転換点だ。タイが東南アジアのデジタル経済における先進的リーダーとしての地位を確立する強いシグナルとなる」と述べた。
同氏は、暗号資産がもはや単なる投機的手段ではなく、資本市場の基盤を再構築し得る新たな資産クラスとして認識されつつあると指摘。今後、SECが詳細な規則やライセンス要件を策定する段階に入るとしたうえで、「革新と市場成長をリスク管理および投資家保護と両立させる枠組み作りを支援していく」と語っている。
タイではデジタル資産規制整備が迅速に進められている。1月には、タイSECが暗号資産投資の急速な拡大に対応するため、デジタル資産に関する新たな規制枠組みを2026年初頭に導入する方針を示したと報じられ、暗号資産ETF(上場投資信託)や暗号資産先物取引、トークン化投資商品の制度整備を進める姿勢が示された。
なお2025年にタイではデジタル資産事業者によって47,692件の不正利用が疑われる口座が停止されており、規制執行も強化されていることが明らかにされた。
参考:報道
画像:iStock/seungyeon-kim
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参照元:ニュース – あたらしい経済


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