
この記事の要点
- 米司法省がエプスタイン関連文書を公開
- 公開資料は約300万ページ規模に拡大
- 仮想通貨企業・関係者名の記載を確認
- 投資・寄付・通信履歴の記録が含まれる
- 業界の透明性と説明責任が再び焦点に
エプスタイン文書で浮かぶ仮想通貨業界の足跡
米司法省が公開したエプスタイン関連文書の中に、仮想通貨業界に関係する複数の人物や企業名が含まれていることが明らかになっています。公開資料は約300万ページに及び、既存分を含めると約300万ページ規模に達します。
膨大な資料には電子メールや投資検討、寄付、紹介に関する記録が含まれており、ビットコイン(BTC)黎明期の起業家や主要取引所の関係者の名前も確認されています。
未成立に終わった投資提案や、第三者を経由した転送メールに名前が記載されているケースも含まれています。
これらは当時の接点や通信履歴を示すものであり、違法行為を立証する趣旨の記載ではないと整理されています。一方で、どの企業や人物がどのような文脈で登場しているのかに注目が集まっており、公開後もその背景にある関係性の検証が続いています。
生前メールで判明した規制への深い関与
エプスタイン文書と仮想通貨企業・人物の接点
コインベース
Coinbase(コインベース)は米国最大級の仮想通貨取引所で、公開文書には2014年のシリーズC資金調達ラウンドで300万ドル(約4.6億円)の投資が行われた旨が記録されています。
文書には同社に関する言及が265回確認されており、当該投資持分の少なくとも半分が2018年までに売却された可能性が示唆されています。また、投資は直接ではなく、バージン諸島に設立された法人を通じて実行されたと伝えられています。
文書は当時の未上場段階における資金参加の経緯を示しており、後年の上場や企業成長とは切り分けて理解されるべきものとされています。
ブロックストリーム
Blockstream(ブロックストリーム)はビットコイン関連のインフラ開発を手がける企業で、公開資料には44回の記録が含まれています。初期段階で50万ドル(約7,700万円)規模の投資が行われたことが記録されています。
投資は共同ファンドを通じて実施されたとされており、直接的な出資関係ではなかった可能性が伝えられています。
文書には創業者との通信や面会提案に関する記録も残され、その後ファンドは持分を手放したとする説明も確認されています。
ビットメイン
Bitmain(ビットメイン)はビットコイン採掘向けASICマシンを製造する世界的企業です。文書内では54件の記載が確認されており、2018年に300万ドル(約4.6億円)規模の投資配分が議論されたことが記録されています。
当該投資提案は電子メール上で検討されていたことが締めされており、仲介者が存在した可能性が示唆されています。
ただし、実際に投資が成立したことを裏付ける記録は確認されておらず、文書はあくまで検討過程を示すものと整理されています。
リップル
Ripple(リップル)は分散型台帳技術を活用した国際送金ネットワークを開発する企業で、XRP Ledgerの基盤技術を提供しています。文書内では172回言及され、2013年にカリブ地域でのゲートウェイ設立構想が提案された経緯があったと報じられています。
提案では関連法人が地域における基盤的役割を担う可能性が議論されたとされています。
また、XRPを用いた国際口座間の資金移動構想も検討されたと記録されていますが、最終的に実現には至らなかったと伝えられています。
「XRPとXLMはエプスタイン関与せず」
ステラ
Stellar(ステラ)はオープンソースの分散型ブロックチェーンネットワークで、国際送金やトークン発行を目的としています。文書では2014年にどのプロジェクトを支援するかを巡る通信が含まれていることが記録されています。
ステラとリップルの比較に関する助言が求められた電子メールが存在するとされています。
一部の記録には、非営利構造が資金移動の観点で言及された内容も含まれているとされ、名称の混同が生じ得る点も指摘されています。
グラティチュード・アメリカ
Gratitude America Ltd.(グラティチュード・アメリカ)は関連慈善団体として文書に登場し、2,929件の記載が確認されています。同団体はビットコイン開発者への定期的な支払いを行ったと報じられています。
これらの支払いは慈善的資金の名目で処理されたと説明されており、記録は資金の流れを示すもので、違法性を示す趣旨のものではないと整理されています。
ブロック・ピアース氏
ブロック・ピアース氏は仮想通貨業界の起業家であり、ステーブルコイン発行企業Tether(テザー)やベンチャー投資会社Blockchain Capital(ブロックチェーン・キャピタル)の共同創業者としても知られています。
文書内では1,794件の記載が確認され、資金調達ラウンドの配分提案や紹介活動に関与したと報じられています。
電子メールには投資機会の割当を提示する内容や、経営陣への接触を試みた経緯が含まれていたとされています。
2018年まで連絡が継続していたと示唆する記録も存在し、当時の投資ネットワークにおける橋渡し役としての役割が指摘されています。
フレッド・アーサム氏
フレッド・アーサム氏はコインベース共同創業者で、米国仮想通貨市場の初期拡大に関与した人物です。
文書内では14件の記載が確認されており、投資提案に関する調整が試みられた電子メールが含まれていると報じられています。
ただし、エプスタイン氏との直接的な往復通信は確認されていないとされ、投資は法人経由で実行されたと整理されています。
ブライアン・アームストロング氏
ブライアン・アームストロング氏はコインベース共同創業者兼CEOで、文書では17件の記載が確認されています。
2016年2月に投資家向けに送信されたアップデートメールが転送形式で記録に含まれていると報じられています。
当該メールは定期的な投資家向け報告であり、特定個人宛ての通信ではなかったと説明されています。
伊藤穰一氏
伊藤穰一氏はMIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボ元所長であり、文書内で8,101件の記載が確認されています。
MITに対する80万ドル(約1.2億円)超の寄付が示され、その一部がビットコイン研究支援に関連したと報じられています。
伊藤氏は投資ファンドを通じてブロックストリームへの出資を仲介したとされます。
その後関係が公になり職務を辞任した経緯も知られており、文書は学術機関と民間資本の接点を示す内容を含んでいます。
アダム・バック氏
アダム・バック氏はブロックストリーム共同創業者で、ハッシュキャッシュの発明者としても知られています。
文書内では19件の記載が確認されており、伊藤氏の関与する投資枠組みを通じた出資が示されていると報じられています。
バック氏は当該投資が限定的パートナーによるものであったと説明しており、その後ファンドは持分を売却したとされています。
オースティン・ヒル氏
オースティン・ヒル氏はブロックストリーム共同創業者です。文書内で530件の記載が確認されており、技術や投資に関する連絡の存在が確認されたと報じられています。
面会の打診があった可能性も記録されており、通信は事業説明や技術紹介に関する内容とされています。
ブラッド・スティーブンス氏
ブラッド・スティーブンス氏はブロックチェーン・キャピタルのマネージングパートナーです。
文書内では6件の記載が確認されており、コインベース投資に関する送金手続きのやり取りが含まれています。
通信は主に振込指示など実務的な内容とされ、記録は投資実行プロセスの一端を示すものと整理されています。
マイケル・セイラー氏
マイケル・セイラー氏は米上場企業ストラテジー(旧マイクロストラテジー)創業者で、ビットコイン推進者として知られています。
文書内で10件の記載が確認されていますが、直接的な往復通信は示されていません。
第三者の電子メール内で名前が言及された形にとどまり、関係性を示す趣旨のものではないと整理されています。
ヴィタリック・ブテリン氏
ヴィタリック・ブテリン氏はイーサリアム(ETH)共同創業者です。文書内で5件の間接的な言及が確認されており、電子メール内で他者と比較する文脈で名前が触れられたとされています。
直接の接触は確認されておらず、記録は言及にとどまる内容と整理されています。
ジェイソン・カラカニス氏
ジェイソン・カラカニス氏はエンジェル投資家でポッドキャスト司会者です。
文書内では51件の記載が確認されており、2011年6月にビットコイン関係者への接触希望があった旨が記録されています。
ギャビン・アンドリーセン氏らへの紹介提案が含まれていたと報じられており、最終的に面会は実現しなかったと説明されています。
ギャビン・アンドリーセン氏
ギャビン・アンドリーセン氏はビットコインの元主要開発者です。文書内で31件の記載が確認されており、2011年に面会要請があったものの辞退したと報じられています。
電子メールは第三者経由で送付されたとされ、記録は接触の試みにとどまる内容と整理されています。
ブライアン・ビショップ氏
ブライアン・ビショップ氏はビットコイン開発者として知られています。文書内で66件の記載が確認されており、2018年に投資提案を行ったとされる電子メールが確認されています。
紹介者を通じて接触が行われた可能性が示唆されており、記録は提案段階の通信内容を示すものとされています。
マダーズ・ヴィルザ氏
マダーズ・ヴィルザ氏はZcash関連研究者で、ゼロ知識証明の研究で知られています。
文書内で126件の記載が確認されており、2015年から2016年の電子メール通信が含まれています。
税務関連書類の送付や書籍の贈答に関する記録が伝えられており、文書は研究活動に関連する通信履歴を示す内容とされています。
仮想通貨業界に問われる透明性と説明責任
2026年2月13日現在、公開された文書の精査は続いており、仮想通貨業界と学術・投資ネットワークの関係が改めて検証の俎上に載っています。
ただし、複数の報道は、文書に名前が記載されていること自体が直ちに違法行為や不正関与を示すものではないと明記しています。
一方で、過去の資金関係や接点の経緯が明らかになるにつれ、業界におけるデューデリジェンスやレピュテーション管理の実効性が改めて問われています。
今後は、追加公開の有無や当事者による説明の具体化が焦点となり、業界の透明性を巡る議論が続く見通しです。
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Source:米司法省サイト
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