
「Lightning Agent Tools」をオープンソース化
ビットコイン(Bitcoin/BTC)の高速・少額決済を可能にするライトニングネットワーク(Lightning Network)の開発を主導している「Lightning Labs」は2026年2月11日に、AIエージェントが自律的にビットコインを送受信し、経済活動を行うためのオープンソースツールセット「Lightning Agent Tools」をオープンソース化して公開したことを発表しました。
このツールセットは、AIエージェントが従来の金融システム(銀行口座やクレジットカード)に依存することなく、インターネットネイティブな決済レールを通じて、API利用料の支払いやリソースの売買を行えるように設計されています。
ここ最近では「OpenClaw」や「Moltbook」といった自律型AIエージェントが急速に普及し、複雑なタスクをこなすようになっていますが、「支払い能力の欠如」が大きな障壁となっていました。AIエージェントは身分証明書を持たず、銀行口座を開設することもできないため、クレジットカード決済などを利用することが困難です。
今回発表されたツール群は、こうした課題を解決し、AIエージェントがIDやAPIキーの登録フローを経ることなく、プログラムによる小額決済(マイクロペイメント)を即座に実行できる環境を提供します。
Lightning Labsの製品責任者であるマイケル・レビン氏は、AIエージェントの能力が拡大する一方で、それを支える決済手段が追いついていない現状を指摘し、ビットコイン(BTC)とライトニングネットワークこそが、この「機械間取引(Machine-to-Machine Commerce)」の基盤になると強調しています。
AI agents can write code, send emails, and make phone calls. But they still can't transact.
Today we're fixing that. Releasing a new set of tools that give agents native access to the Lightning Network: lnget for automatic L402 payments, MCP for node operations, remote signing…
— Lightning Labs
(@lightning) February 11, 2026
AIエージェントはコードを書き、メールを送り、電話をかけることができます。しかし、彼らにはまだ「決済」ができませんでした。
本日、私たちはその問題を解決します。エージェントにライトニングネットワークへのネイティブアクセスを付与する、新しいツール群をリリースしました:自動L402支払いのための「lnget」、ノード運用のための「MCP」、鍵を分離する「リモート署名」、そして支出を管理するための「スコープ付き資格情報」です。
マシンが自ら支払うウェブ(The machine-payable web)がいよいよ始まります。そして、ビットコインがそれを可能にします。
L402プロトコルと「lnget」による自律決済の仕組み
今回公開されたツールの中核となるのが、「lnget」と呼ばれるコマンドラインツールです。これは、インターネット上のデータを取得する際によく使われる「w get」や「c url」に似た機能を持ちますが、最大の特徴としては「L402」プロトコルに対応している点があげられます。
L402は、インターネット初期にHTTPステータスコードとして定義されながらも長らく使われていなかった「402 Payment Required(支払いが必要)」を、ライトニングネットワークと組み合わせることで実用化した規格です。
従来、AI(人工知能)が有料APIにアクセスするには、人間が事前にクレジットカードを登録し、APIキーを取得してコードに埋め込む必要がありましたが、しかし「lnget」を使用するエージェントは、アクセス先から「402」エラーと請求書(インボイス)が返されると、自動的にライトニングネットワークを通じて支払いを完了し、認証トークン(Macaroon)を取得してデータにアクセスします。
これにより、エージェントは事前の契約や登録なしに、必要なリソースに対して都度払い(Pay-per-use)でアクセスすることが可能になります。
また、自律的に活動するAIに資金を扱わせる際のリスクを管理するため、高度なセキュリティ機能も実装されています。「Remote Signer(リモート署名者)」アーキテクチャを採用することで、秘密鍵をAIが稼働するマシンとは物理的に分離された安全な場所に保管し、AIには必要最小限の権限(例:支払いのみ可能、予算上限あり)を与えた認証トークンを持たせることが可能です。
これにより、万が一AIエージェントがハッキングされたとしても、資金の流出を防ぐことができます。
Lightning Agent Toolsの主な機能と特徴
- lnget
L402プロトコルに対応したHTTPクライアント。有料APIへのアクセス時に、自動でライトニング決済と認証トークンの取得・管理を行う。 - Macaroon Bakery
権限範囲を限定した認証トークン(Macaroon)を発行する機能。「支払い専用」「請求書作成専用」など、エージェントの役割に応じた権限付与が可能。 - Remote Signer
秘密鍵をエージェントから分離して管理するセキュリティ設計。AIには署名権限のみを委任し、直接的な資金操作を防ぐ。 - Aperture
L402対応のリバースプロキシ。開発者はこれを導入することで、既存のAPIを簡単に「ビットコイン都度払い」対応の有料サービスへ変換できる。 - Model Context Protocol (MCP) 対応
AIアシスタント向けの標準ツールレイヤーであるMCPに対応しており、Claude CodeやCodexなどの主要なAIフレームワークから直接ノードの状態を照会可能。
「AIが支払いを行う時代」の到来
今回のリリースは、単なる決済ツールの提供にとどまらず、「AI経済圏」の本格的な始動を意味しています。
Lightning Labsは、AIエージェントが単に情報を処理するだけでなく、計算リソースの購入、プレミアムデータへのアクセス、さらには自身が生成した成果物の販売までを自律的に行う未来を描いています。
これは「Machine-Payable Web(機械が支払い可能なウェブ)」と呼ばれるもので、ブロックチェーン技術がその基盤インフラとして機能することを実証しようとしています。
例えば、あるAIエージェントが複雑なコードを書くために、別の特化型AIエージェントの有料APIを利用し、その対価をライトニングネットワークで即座に支払うといった連携が、人間を介さずに高速で行われるようになります。
従来の金融システムでは手数料や処理速度の問題で不可能だった極小額の取引(マイクロペイメント)も、ライトニングネットワークであれば数秒で完了するため、AI同士の秒単位のサービス売買も現実的になります。
また、開発者にとっては、自身のAPIやサービスをL402に対応させることで、世界中のAIエージェントを潜在的な顧客として迎え入れることが可能になります。サブスクリプションモデルのような登録の壁を取り払い、APIコール1回ごとの課金モデルを容易に導入できるため、新たな収益化の機会が生まれることが期待されます。
Lightning Labsは、このオープンソースツールを通じて、開発者やAIエンジニアに対し、次世代の「エージェント・コマース」への参加を呼びかけています。
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source:Lightning Labs
サムネイル:AIによる生成画像

(@lightning) 



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