
この記事の要点
- 米ホワイトハウスは2026年2月3日、仮想通貨企業と銀行業界の会合を開催
- CLARITY法案の最大争点であるステーブルコイン報酬規定を初めて公式協議
- 利息・リワード提供の可否を巡り、業界間の対立点を整理
- 仮想通貨業界と銀行業界は2月末までに妥協策を模索する方針で一致
- 合意次第で上院で停滞するCLARITY法案審議再開の可能性
CLARITY法案停滞、ホワイトハウス調整会合
米ホワイトハウスは2026年2月3日、仮想通貨企業と銀行業界の代表者を招き、米国の仮想通貨市場構造法案「CLARITY(クラリティ)法案」を巡るステーブルコイン報酬(利息・リワード)規定について協議を行いました。
この会議では、同法案の最大の争点である「ステーブルコイン預かり資産への利息提供の可否」が議題となり、仮想通貨業界側と銀行業界側の立場の違いが整理されました。
The Block報道によると、協議は約2時間にわたって実施され、ステーブルコイン利回りに関するリスクと利点の双方について意見交換が行われたといいます。
出席者にはCoinbase(コインベース)、Kraken(クラーケン)、Ripple(リップル)、Tether(テザー)、Paypal(ペイパル)、フィデリティなどの主要仮想通貨関連企業のほか、米銀行協会や銀行政策研究所などの銀行業界団体が名を連ねました。
今回の会議では合意に至らなかったものの、両業界はステーブルコイン報酬を巡る規制上の対立を2月末までに解消するため、妥協策を見出す方針で一致しており、今後も協議を継続する計画です。
CLARITY法案関連条項、上院農業委で可決
ステーブルコイン報酬規定とCLARITY法案を巡る攻防
CLARITY法案の進展妨げる報酬規定問題
ホワイトハウスが仲介に乗り出した背景には、仮想通貨市場構造整備法案(CLARITY法案)の進展が、ステーブルコイン報酬問題によって停滞している現状があります。
CLARITY法案は仮想通貨に連邦規則を設ける包括的な法案で、下院では2025年7月に可決済みですが、上院では今年1月に予定されていた委員会採決が直前で延期されるなど難航していました。
ホワイトハウスのクリプト評議会が主導した今回の会議は、トランプ政権が同法案の推進に強い意欲を示していることを反映したものとみられています。
GENIUS法が規定した利息禁止の範囲
問題となっているのは、ドル連動型のステーブルコイン預かり資産に利息やリワードを付与できるかどうかという点です。
2025年7月にトランプ大統領が署名して成立したステーブルコイン規制法「GENIUS法」では、ステーブルコイン発行体による利息提供が明確に禁止されました。
一方で、仮想通貨取引所など発行体以外の第三者によるリワード(報酬)提供は依然として認められており、銀行業界はこれを制度上の抜け穴とみなして閉鎖に向けたロビー活動を強めています。
銀行業界が警戒する預金流出リスク
銀行側は、取引所などが高利のリワードを提供すれば預金が銀行から流出し、地域金融機関の融資原資が減少して金融システムの安定が損なわれる恐れがあると警鐘を鳴らしています。
英スタンダードチャータード銀行の分析によると、今後ステーブルコイン利回り提供が自由化された場合、2028年までに米銀から約5,000億ドル(約77.8兆円)規模の預金流出が起こり得ると試算されています。
仮想通貨業界が報酬規制に強く反発
一方、仮想通貨業界は銀行側の主張に真っ向から反発しています。
仮想通貨企業にとって利息・リワード提供はユーザー獲得やサービス普及に不可欠であり、これを一律禁止すれば競争環境が銀行に有利に傾き、イノベーションを阻害する不公正な措置になるとしています。
実際、コインベースなど一部企業はこの問題への懸念から上院銀行委員会の公聴会参加を見送る動きも見せており、市場では法案の内容次第で事業環境が大きく変わるとの見方が広がっています。
ホワイトハウス会議が見せた協調の兆し
ホワイトハウス主導で行われた今回の協議は、対立する両陣営に歩み寄りの機会を提供しました。
会議には米国経済政策の中枢である国家経済会議(NEC)や財務省の高官も同席し、政府として建設的対話を促したと報じられています。
仮想通貨業界団体Blockchain Associationのサマー・マーシンガーCEOは、会議開催を歓迎し「超党派で市場構造法案を前進させ、米国が世界の仮想通貨の中心地であり続けられるよう政策立案者と協働したい」と述べました。
デジタル商工会議所(Digital Chamber)のコーディ・カーボンCEOも、ホワイトハウスが「全ての当事者を交渉のテーブルに呼び集めた」ことを評価しています。
会議には、銀行側から米銀行家協会(ABA)や独立系コミュニティ銀行家協会などの主要団体が、仮想通貨側からは前述の企業に加えて、ステーブルコイン発行企業のCircle(サークル)やパクソス(USDP発行体)も参加しました。
会議後、カーボン氏は「市場構造法案の次のステップを阻んでいた最大の論点を解決するために、まさに必要とされていた前進だ」と語りました。
ホワイトハウスのクリプト評議会のパトリック・ウィット事務局長も「事実に基づく解決志向の対話が行われた」と述べています。
銀行側の参加団体5行は共同声明を発表し「最終的な立法では地域社会への融資を維持し、金融システムの安定と持続的経済成長が損なわれないようにすべきだ」との立場を示しました。
上院農業委員会は1月末、CLARITY法案の所管部分を賛成12対反対11で可決しましたが、民主党議員の支持を欠く現状では、上院全体での可決に向けた超党派合意には至っていません。
「年金に仮想通貨導入の時期が来た」
CLARITY法案と報酬制度、規制設計の焦点に
ホワイトハウス主導で行われた今回の業界間協議は、ステーブルコイン報酬を巡る対立点を整理し、CLARITY法案の審議再開を見据えた調整の場と位置づけられています。
関係者によると、仮想通貨業界と銀行業界は、ステーブルコイン報酬を巡る規制上の論点について、2月末までに一定の整理を進める方針で一致しています。
妥協案がまとまれば、上院銀行委員会で停止しているCLARITY法案の審議が再開される見通しです。一方、合意に至らなければ、審議が長期化する恐れもあります。
ホワイトハウスのクリプト評議会には財務省や金融当局も加わっており、今後の調整の行方が、米国におけるステーブルコイン規制の枠組みに影響を与える見通しです。
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Source:The Block報道
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用





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