
プライバシー領域の強化に本腰
イーサリアム(Ethereum)の共同創業者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が、プライバシー重視のメッセージアプリ「Session」と「SimpleX」に、それぞれ128ETHずつ寄付したと11月27日にXにて発表した。
ブテリン氏はポストの中で、暗号化メッセージングアプリのシグナル(Signal)を例に挙げ、暗号化メッセージングがデジタルプライバシーを守る上で不可欠だとした。
また、この分野における次の重要なステップは、「許可不要なアカウント作成」と 「メタデータプライバシー」であるとし、「Session」と「SimpleX」はこれらの方向性を推進していると評価している。
ただし、両アプリが「真に理想的なユーザー体験とセキュリティ」を実現するには至っておらず、マルチデバイス対応や Sybil/DoS 耐性、分散化を維持しつつメタデータ保護を行うことは「まだ道のりが長い」とブテリン氏は述べている。
なお「Session」は、中央サーバーや電話番号依存を避け、分散型のノードネットワークを用いてメタデータ漏洩を極力減らす設計のメッセージングアプリ。
「SimpleX Chat」も同様に、識別子やサーバー依存を排し、ユーザーのプライバシーを重視する分散型メッセージングアプリとして知られている。
近年ブテリン氏は、プライバシーを基本的人権として認めるべきだと繰り返し主張しており、イーサリアム財団もプライバシー関連の研究開発を強化している。10月には、研究者・エンジニア・暗号学者47人から成る「プライバシークラスター(Privacy Cluster)」を立ち上げ、プライバシーをイーサリアムの「第一級のプロパティ」とすることに重点を置いている。また9月には、イーサリアム財団の「プライバシー・スケーリング・エクスプローレーションズ(Privacy & Scaling Explorations:PSE)」チームが「プライバシー・スチュワーズ・オブ・イーサリアム(Privacy Stewards of Ethereum)」へとリブランドし、新技術の探索から具体的な課題解決に軸足を移す姿勢を示した。
11月16日には、イーサリアムエコシステムのプライバシーとセキュリティを強化する暗号ツール群「Kohaku(コハク)」を発表。
Kohakuは、オンチェーンのプライバシーとセキュリティを高めることを目的としたオープンソースのイニシアチブだ。開発者が中央集権的な第三者に依存せず、安全でプライバシーに配慮したウォレットを構築できるようにするための「暗号プリミティブのモジュラーフレームワーク」を提供する。将来的には、ネットワークレベルの匿名性を実現するミックスネット(mixnets)や、ZK(ゼロ知識証明)技術を活用したブラウザなどのツールも取り込む可能性があるとのことだ。
Encrypted messaging, like @signalapp, is critical for preserving our digital privacy. Two important next steps for the space are (i) permissionless account creation and (ii) metadata privacy.@session_app and @SimpleXChat are two messaging apps pushing these directions forward.…
— vitalik.eth (@VitalikButerin) November 26, 2025
画像:あたらしい経済
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参照元:ニュース – あたらしい経済


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