タイ当局、「World」の虹彩スキャン停止と120万件のデータ削除を命令=報道

タイの個人データ保護委員会がWorldに命令

タイの個人データ保護委員会(PDPC)が、暗号資産(仮想通貨)プロジェクト「ワールド(World)」のタイ法人に対し、同国における虹彩スキャン認証サービスの停止と、120万件以上の虹彩データの削除を命じた。タイメディア「バンコクポスト(Bangkok Post)」が11月25日に報じた。

PDPCによる命令は、タイの個人データ保護法(PDPA)に基づいて発出されたとのこと。PDPCは、虹彩などの機密性が高い生体認証データと引き換えにワールドのネイティブトークンのワールドコイン(WLD)を提供していたことが、PDPAに反すると判断した。また虹彩データの削除命令は、違法な海外データ移転を防ぐためのものだという。

さらにPDPCは、一部の利用者が虹彩スキャンによって取得したWLDを他者に譲渡していた事例も発見したとしており、この件については特別捜査局がさらなる調査を行う予定だという。

ワールドは、球体型デバイス「オーブ(Orb)」で虹彩などを撮像・処理して重複登録がないことを検証し、その結果として「ワールドアプリ(World App)」に保存されるデジタルID「ワールドID(World ID)」を利用できるようにする。対象地域の要件を満たす利用者は、検証済みの「ワールドID」に基づき「WLD」を請求できる。ワールドIDは、個人情報を開示せずに「一人の人間であること」を示す仕組みだ。

ワールドのタイ法人は11月24日、PDPCからの命令を受けてタイでの虹彩スキャンを一時停止したとXで公表した。同社はこの声明の中で、「今回の命令は、当社が現地の法律および規制を遵守し、規制当局に対して情報をオープンかつ透明に提示してきたにもかかわらず出されたものです」と説明した。

また「虹彩スキャンの一時停止は、日々直面する詐欺、なりすまし、AIを悪用した不正から身を守るためにこの技術を採用した数百万人のタイの人々に悪影響を及ぼしています。(中略)当社はタイ当局と建設的に協議を続け、今後の道筋を共に模索していきます」とワールドのタイ法人は述べた。

参考:バンコクポスト
画像:PIXTA

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参照元:ニュース – あたらしい経済

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