
PAO TECH LabsがJPYCのDeFiエコシステム構想を推進
インシュアダオ(InsureDAO)やオレンジファイナンス(Orange Finance)などのDeFi(分散型金融)プロジェクトを手掛けてきたパオテックラボ(PAO TECH Labs)が、日本初の円建てステーブルコイン「JPYC」のDeFiエコシステム構想の推進およびJPYCに特化したキュレーター(Curator)事業への参入を11月27日に発表した。
なおキュレーターとは、トークンをDeFiへ接続するため、対応プラットフォームの選定、各プロトコル上でのパラメータ設定、リスク管理、流動性戦略の設計などを横断的に担う専門的な役割だ。
今回の取り組みでパオテックラボは、長期の運用実績と十分な監査歴を有するオイラーファイナンス(Euler Finance)、モルフォ(Morpho)、IPORフュージョン(IPOR Fusion)、ネイピアファイナンス(Napier Finance)といったDeFiプラットフォーム上で、エコシステム構築を支援するとのこと。
エコシステム構築の内容としては、「JPYCの貸借マーケットの開設」、「JPYCの運用Vault(利回り戦略)の構築」、「JPYCの固定金利マーケット(金利スワップ等)の整備」、そしてこれら各種プロダクトに対する「流動性支援」が挙げられている。
これによりパオテックラボは、JPYCをグローバルなオンチェーン経済圏へ安全かつ効率的に導入することを目指し、円建てステーブルコインの新たなユースケース拡大・発行量の最大化を図っていくとのことだ。
具体的なJPYC DeFiエコシステム構想
構想の第1フェーズとなる「 JPYC貸借マーケットの構築」では、キュレーター型レンディングプラットフォームとして世界最大規模の預かり資産(TVL)を有するモルフォ(約$5B規模 / 同カテゴリ1位)およびオイラーファイナンス(約$1B規模 / 同カテゴリ2位) において、JPYCを担保に暗号資産を借り入れる、または暗号資産を担保にJPYCを借り入れられる「貸借(レンディング)マーケット」の構築を予定しているとのこと。
すでにオイラーファイナンスについては公式キュレーターとしての審査が通過済みだという。今後パオテックラボは、両プロトコル上でのマーケット開設に向けたパラメータ設計を進めていくとのことだ。
この取り組みにより、オンチェーン上で円建ての流動性を創出する新たな金融インフラを提供し、JPYC保有者がDeFi上で資産を活用できる環境を整備するとのこと。さらに貸借需要の拡大に伴い、JPYC発行量の増加も期待されると述べられている。
貸借マーケットの開設の次のフェーズとなる「運用Vaultの展開」では、JPYCを担保にUSDCを借入れ、IPORフュージョン上で多様な運用戦略を実行できるボールトを提供するという。
IPORフュージョンは、利回り最適化・自動取引実行・リスク管理を一元的に統合したDeFi運用インフラであり、複数の運用戦略を安全かつ効率的に実行できる基盤を備えているとのこと。パオテックラボによるボールトでは、「JPYCを担保に組成したポジションから得られるリターンをJPYC建てで還元し、これにより、円建てで利回りを確保できるDeFi運用モデルを実現する仕組み」を採用するとのこと。
このフェーズを通じて、トレジャリー(DAT)企業に適した低リスク・低ボラティリティ戦略から、ポイントファーミングを含むアグレッシブな利回り戦略まで、幅広く対応可能な、日本円建てDeFi運用インフラを構築するとのことだ。
次に「JPYC建て固定金利マーケットの実現」。ここでは、JPYCを起点とした「円建てDeFi市場の完成フェーズ」として、ネイピアファイナンスと連携し、IPORボールトに固定金利レイヤーを付与することで、JPYC建ての固定金利商品の提供を目指すという。なおネイピアファイナンスは、オンチェーンで金利カーブを構築し、固定金利と変動金利のスワップを可能にする金利プロトコルだ。
このフェーズでは、「JPYC を基軸資産とした円建ての固定金利構造の整備(運用開始時点で利回りが確定する、安定性の高い円建て運用モデルの実装)」、「企業・個人が為替変動リスクを抑えつつ安定的なリターンを獲得できる環境の構築(ドル建て運用と異なり、FXヘッジ不要で純粋な円利回り取得が可能)」を実現させるとのこと。
パオテックラボによると、この段階が日本円DeFi金融市場を完成させる重要なマイルストーンになるとのことだ。
そして最後に挙げられているのが「ウォレット連携による法人への拡張」だ。ここではJPYCのDeFi活用を法人・事業者へ広く浸透させるため、ウォレットおよびカストディ事業者との連携を通じたエコシステム拡張を検討しているという。
国内ブロックチェーン関連企業ダブルジャンプトウキョウ(double jump.tokyo)が提供する法人向け分散鍵管理ウォレット「Nスイート(Nsuite)」 との協働可能性を視野に入れ、法人がJPYCを用いてレンディング市場(オイラーファイナンス・モルフォ)や運用基盤(IPORフュージョン)へ安全かつ容易にアクセスできる仕組みについて検討を進めることが一例として挙げられている。
こうした取り組みにより、JPYC を活用した金融インフラが一般企業や Web2 事業者にも開かれ、「JPYC を起点とした円建てオンチェーン経済圏」の社会実装がさらに加速すると述べられている。
パートナーからのコメント
モルフォ 共同創業者 兼 CEO ポール・フランボット(Paul Frambot)氏のコメント
ユニバーサルなレンディングネットワークとしてモルフォは、どこで発行されたものであっても、あらゆる「ステーブルコイン」を生産的(運用可能)にすることにコミットしている。パオテック・ラボがJPYCをオンチェーン化し、モルフォ上のボールトを通じて円流動性を初めて解放する取り組みを支援できることを嬉しく思う。米ドル以外のステーブルコインが拡大し、機関投資家がグローバルなステーブルコインレールを構築するなかで、エコシステムがマルチカレンシー市場へと移行していくことを踏まえれば、これはDeFiにとって自然な一歩である。
ポリゴンラボ(Polygon Labs)CEO マーク・ボワロン(Marc Boiron)氏のコメント
ポリゴン(Polygon)は、パオテックラボが日本円ステーブルコインJPYCをグローバルなDeFiエコシステムへ持ち込む取り組みを支援できることを誇りに思う。本イニシアチブはマルチカレンシーDeFiを前進させ、JPYCが米ドル建て資産と同等の効率性で、レンディング、利回り獲得、投資機会を支えることを可能にする。我々は、ポリゴンのスケーラブルなインフラ上で、日本のデジタル経済をグローバルな流動性につなげていく。
PAO TECH Labs Announces JPYC DeFi Ecosystem plan and Launch of Curator Business, to safely and efficiently onboard JPYC into the global on-chain economy 
— PAO TECH Labs (@PAOTECHLabs) November 27, 2025
Read the full release:https://t.co/CaZKLSQ9fq#JPYC #DeFi pic.twitter.com/8eKJUReNAt
画像:PIXTA
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参照元:ニュース – あたらしい経済

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