
ソラナ政策研究所ら、仮想通貨の明確な規制整備訴え
米国の65以上の仮想通貨関連団体は2025年11月20日、ドナルド・トランプ米大統領に対し、連邦財務省やIRS(内国歳入庁)などを通じて仮想通貨の税制および規制の明確化を迅速に行うよう求める書簡を送付しました。
ソラナ政策研究所が主導したこの書簡には、Uniswap財団をはじめ複数の主要業界団体・企業が名を連ね、議会での立法が進展しない中で規制の明確化を最優先課題として強調しています。
同団体は、議会での立法停滞を踏まえて今年7月のホワイトハウスのデジタル資産ワーキンググループ提言を基礎に、税制や規制の明確化、ステーブルコインやマイニングなどに関する優先課題への対応、デジタル資産の扱いの統一を含む具体策を示しています。
セリグ氏をCFTC新委員長に指名
業界団体が要請する仮想通貨税制・規制の核心
仮想通貨の税制簡素化と少額取引非課税提案
書簡では税制面に関する具体的な措置が複数提示されています。
連邦政府に対し、仮想通貨の少額取引益に対する除外規定の導入(600ドル以下の利益は非課税)や、ステーキングやマイニングで得た仮想通貨報酬を「自己創設財産」とみなし、受け取った時点ではなく売却時に課税するよう明確な指針を示すことなどを求めています。
また、異なるブロックチェーン間でのブリッジやラップによる資産移動を課税対象外の非課税イベントと明確に位置づけることも提言されました。
ブロックチェーン開発者保護の制度整備
規制の明確化に関しては、オープンソースで許可なく利用可能なブロックチェーン・プロトコルの開発者が過度な取り締まりの対象とならないよう保護する措置を要求しています。
具体的には、SEC(米証券取引委員会)やCFTC(米商品先物取引委員会)に対し、関連ルール整備が行われるまでの間、開発者やプロジェクトを対象としたノーアクションレター(不提訴の確認)や一時的なセーフハーバー(免除措置)の発出を促しています。
また、DeFi(分散型金融)分野の健全な発展を支援するため、米金融犯罪取締ネットワークに対しても、カストディ(資産管理)を伴わない非中央集権的なソフトウェアやプロジェクトについては銀行秘密法(BSA)の規制対象外であることを明確化するよう求めました。
トルネードキャッシュ開発者の訴追撤回を要請
さらに米司法省(DOJ)に対しては、仮想通貨ミキサー「トルネードキャッシュ」の開発者ロマン・ストーム氏に対する刑事訴追を取り下げるよう要請しています。
ストーム氏は2023年に資金洗浄や無免許送金業などの罪で起訴され、今年8月の裁判では資金洗浄など一部の罪状で陪審評決が不一致となり、無免許送金業のみ有罪評決が下されていました。
書簡では「本件を取り下げることは開発者を保護するという政権の姿勢を再確認するものになる」と述べており、コード(プログラム)を書く行為が表現の自由として憲法で保障されていることを改めて示す機会になると強調しています。
仮想通貨政策のリーダーシップを再構築へ
なお、今回の書簡ではトランプ政権下で進んだ規制整備にも言及しています。
トランプ政権が内国歳入庁による仮想通貨ブローカー(仲介業者)への報告義務規則を撤回し、ステーブルコイン規制法案である「GENIUS法」を成立させたことを評価しつつ、それでも「米国を仮想通貨の世界的中心地とする」ためには更なる迅速な政策実行が必要だと指摘しています。
同書簡の主導団体であるソラナ政策研究所は公式X(旧Twitter)でも「ロードマップはすでに存在し、今こそ行政機関が行動して米国の仮想通貨リーダーシップを確立すべきだ」と発信し、ホワイトハウスによる早期対応を促しました。
5/ This isn't a wish list. Nearly all of these recommendations come from the @POTUS Working Group Report on Digital Assets.
The roadmap exists. Now agencies must act to cement American leadership in crypto.
— Solana Policy Institute (@SolanaInstitute) November 20, 2025
(前略)ロードマップはすでに示されています。あとは各機関が行動し、アメリカの仮想通貨分野でのリーダーシップを確立する番です。
仮想通貨の分類明確化策定を発表
トランプ政権と業界団体による仮想通貨政策の焦点
仮想通貨規制の遅延と人事・制度改革の兆し
米国議会では仮想通貨の市場構造や証券・商品規制を包括的に整備する法案の成立が難航しており、2025年内の立法は見送られて2026年以降に持ち越される見通しとなっています。
こうした立法の停滞もあり、業界団体からは規制の明確化が遅れていることへの不満が強まっています。実際、米国の仮想通貨業界は議会での議論を待つのではなく、政権による迅速な措置を求める動きを活発化させている状況です。
同時期、米政権内でも規制環境に動きがありました。11月中旬には親仮想通貨派マイク・セリグ氏のCFTC委員就任が上院で承認されるなど、人事面で前進しています。
また、財務省が準備している仮想通貨取引の税務報告ルール(国際的なブローカー報告要件)がホワイトハウスで最終調整段階に入ったと報じられており、行政当局による規制整備も年末にかけて加速する見通しです。
仮想通貨政策で米国リーダーシップを再建へ
トランプ大統領は選挙戦でも米国を「仮想通貨の中心地」にすると公言しており、実際に就任直後から仮想通貨に関する大統領令の発出や規制当局トップの刷新など積極的な措置を講じてきました。
今回の書簡で提示された提言が年末に向けた政策に反映されれば、米国の仮想通貨産業にとって追い風となり、同国のリーダーシップ強化につながると期待されています。
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Source:ソラナ政策研究所書簡
サムネイル:AIによる生成画像





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