ビットコイン基盤Bitcoin Core、16年の歴史で初のセキュリティ監査「重大脆弱性なし」と評価

ビットコイン基盤ソフトに初のセキュリティ監査

2025年11月19日、ビットコインの基盤ソフト「Bitcoin Core(ビットコイン・コア)」に対する第三者セキュリティ監査の結果が、16年の歴史で初めて公開されました。

Bitcoin Coreは、ビットコインネットワークを支えるオープンソースの基本ソフトウェアで、ビットコインという数兆ドル(数百兆円)規模の価値を支える中核システムです。

今回の監査は、ビッtコインプロトコル開発支援の米非営利団体Brinkの資金提供のもと、セキュリティ企業Quarkslab(クオークスラボ)が実施し、Open Source Technology Improvement Fund(OSTIF)が調整役を務めました。

監査期間は2025年5月から9月までの約4か月間で、Bitcoin Coreのピア・ツー・ピア(P2P)ネットワーク層、メモリプール、ブロック管理、コンセンサス(合意形成)ロジックなど、セキュリティ上クリティカルな部分を集中的なレビューが行われています。

その結果、重大(クリティカル)・高(ハイ)・中(ミディアム)レベルの脆弱性は一切確認されず、指摘事項は低(ロー)レベルの問題2件と情報提供目的の改善提案13件のみとなりました。

これらはいずれもBitcoin Coreが定義するセキュリティ脆弱性には該当せず、ネットワーク全体に影響を及ぼす深刻なリスクは存在しないことが確認されています。

Bitcoin Core監査から見えたコード品質と改善点

Bitcoin Core初の外部監査に踏み切ったBrinkの狙い

Brinkは「Bitcoin Coreは強固なセキュリティ実績を持つものの、これまで外部のセキュリティ評価を受けたことがなく、関係者にさらなる安心を提供する必要があった」と説明しています。

監査の目的はお墨付きの取得ではなく、潜在的な脆弱性の洗い出しやテスト手法の改良を通じてコードベースの安全性を強化することにありました。

監査は約100人日の工数をかけて実施され、複数のエンジニアがBitcoin Coreのコードを手動で精査するとともに、動的解析やCIに組み込まれたファズテストなどの高度な手法を駆使して包括的に検証されました。

特に攻撃の入り口となりやすいP2Pネットワーク関連のコンポーネントに焦点を当て、必要に応じて差分テスト(異なる実装結果の比較)などの新たなアプローチも実施されています。

軽微な所見と13件の改善提案の内訳

監査の結果判明した2件の軽微な問題はいずれも影響範囲が限定的で、13件の改善提案はコードの可読性向上や将来的なバグ検出能力を高めることを目的としたものでした。

さらに、従来テストされていなかったブロック接続やチェーン再編成といったシナリオを網羅するファズテスト・ハーネスの新規開発、ファズテスト高速化のための仮想ファイルシステム導入、スレッド安全性注釈の改善などにより、Bitcoin Coreのテスト環境そのものも強化されています。

これらの成果の一部は、すでにBitcoin Core本体への統合に向けて準備が進められていると報告されています。

Bitcoin Core信頼強化へBrinkの新たな方針

Brinkは「今回の結果は、Bitcoin Coreが成熟して保守的に設計された極めて入念にテストされたコードベースであることを裏付けており、独立監査によってその信頼性がさらに強化された」とコメントしています。

Brinkは、この監査結果をビットコインのセキュリティ向上に向けた通過点と位置付けており、今後も新機能の審査時などに第三者監査を活用する可能性を示唆しました。

同団体は、独立機関によるレビュー支援を通じて「ビットコインの基盤を今後数十年にわたり安全に維持する」ことに貢献していく方針も表明しています。

量子リスクとBitcoin Core監査結果の市場への影響

今回の第三者監査の完了により、ビットコインの長期的な安全性に対する信頼が一段と高まる重要な出来事として大きな関心が寄せられています。

こうした中、将来的に量子コンピューターがビットコインの暗号技術を突破するリスクへの懸念が再燃し、著名投資家レイ・ダリオ氏もその脅威に警鐘を鳴らしました。

一方、専門家からは「ビットコインで使われているSHA-256は銀行で一般的なRSAより堅牢だ」と指摘されており、現時点では実務上の影響は限定的だとされています。

量子計算への不安からビットコイン価格が一時急落した際には、一部の米機関投資家がこれを押し目買いの好機と捉え、約7,500万ドル(約118億円)規模の資金がビットコイン関連ETFに流入したことも確認されました。

今回の監査で重大な欠陥が確認されなかったことは、量子リスクへの懸念を和らげ、ビットコイン基盤ソフトの安全性に対する市場の信頼を支える要因になるとみられています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.46 円)

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Source:Brink / Quarkslab
サムネイル:AIによる生成画像

参照元:ニュース – 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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