
生前メールから判明した仮想通貨規制への深い関与
未成年者人身売買などの罪で起訴され、2019年に獄中で死亡したジェフリー・エプスタイン氏は、生前にビットコイン(BTC)など仮想通貨の税制や規制に強い懸念を抱いていたことが明らかになりました。
エプスタイン氏の公開されたメールから、トランプ大統領の元側近スティーブ・バノン氏に米財務省への仮想通貨政策に関する助言を求め、バノン氏を通じて政策に影響を及ぼそうとしていた形跡があると報じられています。
「オープンバンキング規則」策定を要求
エプスタイン氏のメールが示す仮想通貨税制へ問題意識
米財務省への提案に示された税制強化への意図
Decryptによれば、エプスタイン氏は2018年当時、仮想通貨を巡る問題を「米国における税制や規制、開示に関する課題」と捉え、同時に「世界規模では全く別の問題があり、非常に深刻な事態だ」と指摘しています。
2018年9月のメッセージで同氏は「仮想通貨はインターネットと同様に捉える必要がある」と述べ、各国が国際的な協調体制で対応すべきだとの見解を示し、「そうでなければ仮想通貨は法律の枠外にあるポンジ・スキームだ」と強く警鐘を鳴らしました。
こうした言動から、エプスタイン氏が当時トランプ政権下で仮想通貨の規制推進を意図していたことがうかがえます。
加えて同氏はバノン氏との通信で、仮想通貨取引の利益を自主的に申告する制度を財務省に設け、「悪党どもを一網打尽にするべきだ」と提案してたと伝えられています。
通信記録が示す仮想通貨政策への深い関与
実際、米下院監視委員会が先週公開した約2万通に及ぶエプスタイン氏関連の通信記録の中でも、仮想通貨に関する言及が多数確認されています。
これらの記録から、エプスタイン氏が初期の仮想通貨政策議論に積極的に関与し、その行方を案じていた姿が浮かび上がっています。
なおWSJ紙の報道によれば、同氏は生前、自らを「米財務省で仮想通貨とハッキング対策に携わっている」と周囲に語っていたとも伝えられています。
エプスタイン氏は仮想通貨に関する持論を周囲に展開し、2019年6月にはMeta社(旧Facebook)の仮想通貨プロジェクトDiem(旧Libra)を「悪人の手に渡れば金融システムを破壊しかねない」と激しく非難しました。
同氏は「だから私は関与しなかったのだ」と述べ、これが同プロジェクトへの投資を見送った理由であると示唆しています。
「脅迫があった」崩壊の経緯告白
米国が進める仮想通貨税制強化とCARF参加の動き
仮想通貨税逃れ対策へ動くCARF導入議論
こうした過去の動きから数年を経た2025年11月現在、米国政府は仮想通貨取引に対する課税強化の取り組みを本格化させています。
ホワイトハウスは先週、米財務省が提案した「CARF(仮想通貨報告フレームワーク)」への参加に関する規則案の審査を開始しました。
CARFは経済協力開発機構(OECD)が2022年に策定した国際的な情報共有枠組みで、加盟各国が自国民の海外仮想通貨口座情報を自動的に交換し合うことで、オフショアでの税逃れを防ぐ狙いがあります。
日本やドイツなど主要7か国(G7)に加え、アラブ首長国連邦(UAE)やシンガポール、バハマといった仮想通貨ハブとなっている国々など、既に数十か国がCARFに署名済みです。
仮想通貨の「抜け穴」封じを狙う米国税務当局
トランプ第2次政権の仮想通貨政策顧問団もこの枠組みへの参加を支持しており、米国民による仮想通貨資産の国外移転による課税回避行為を抑止できるとしています。
提案中の規則が正式に導入されれば、IRS(米税務当局)は海外に保有された仮想通貨口座の情報を入手可能となり、エプスタイン氏が懸念していた「法律の抜け穴」を利用した仮想通貨取引の抑制に寄与すると期待されています。
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Source:Decrypt報道
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