ソラナ創設者、L2の分散性に疑問。「イーサリアムのセキュリティ継承は誤り」と指摘

L2の分散性についてX上で議論

ソラナ(Solana)の共同創設者アナトリー・ヤコベンコ(Anatoly Yakovenko)氏が、イーサリアム(Ethereum)のレイヤー2(L2)ネットワークの分散性および安全性について懸念を示した。10月27日にX上で多くの開発者や業界関係者を巻き込んで議論は行われた。

ヤコベンコ氏は、L2がイーサリアムのセキュリティをそのまま継承しているとする一般的な主張に異議を唱えた。まず同氏は、L2が独自の実装コードを大量に抱えており、その結果として監査が困難になっている点を指摘している。これによりソフトウェア上の欠陥や攻撃リスクがL1とは独立して存在すると述べた。さらに、L2上の資産管理がマルチシグ(複数署名)に依存していることから、少数の管理者の判断で資金が移動可能となる構造的リスクがあると批判した。

そのうえで同氏は、「L2ロードマップが始まって5年が経過したが、ソラナ上のワームホール(Wormhole)を介したETHと、ベース(Base)上のETHは最悪のケースでは同じリスクを持っている」と指摘した。つまり、L2上のETHもブリッジ経由のETHも管理者リスクという点では構造的に変わらないという見解を示している。

これに対し、イーサリアムの法務・技術コミュニティを代表する開発者ガブリエル・シャピロ(Gabriel Shapiro)氏らは、L2のマルチシグ構造は単なる中央集権的管理ではな意図反論した。重要なのは法的責任やオンチェーンガバナンスを含む多層的な仕組みとして設計されるべきであるとの見解を示した。これはブロックチェーンの「分散性」は単に技術的な要素に限らず、社会的および制度的な側面も含めて考慮すべきだとの考え方に基づくものだ。

今回の議論が平行線をたどったのは、両者が「分散性」を異なる観点から捉えているためだ。ヤコベンコ氏は、「構造的分散性」を重視する立場に立つ。すなわちプロトコルの仕様変更や資産移動の権限が一部の主体に集中している時点で、それは分散的ではないという考え方だ。

一方で、シャピロ氏らは、法的拘束、DAO、オンチェーンガバナンスを組み合わせた「社会的分散性」を重視する。彼らは完全な無権限構造は現実的ではなく、「どのような透明性と責任構造のもとで権限を管理しているか」も技術的分散性と同等に評価するべきという立場を取っている。

この議論は、L2の位置付けをめぐる根本的な問いを浮き彫りにしている。すなわち分散化の理想を「構造的な問題」に求めるか、「制度的な問題」に求めるかというのがこの議論の根本にある。

画像:PIXTA

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参照元:ニュース – あたらしい経済

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