
中国テック大手がステーブルコイン計画を一時停止
中国のテック大手であるアリババ(Alibaba)傘下のアント・グループ(Ant Group)やEC大手のJDドットコム(JD.com)などが、民間が管理する通貨の台頭に対する政府の懸念を受け、香港での「ステーブルコイン」発行計画を停止したと、「フィナンシャル・タイムズ(Financial Times:FT)」が10月18日に報じた。
事情に詳しい関係者の話としてFTが伝えたところによると、各社は中国人民銀行(PBOC)や国家インターネット情報弁公室(CAC)など中国当局から「計画を前進させないように」との指示を受け、ステーブルコイン事業を見送ったという。
香港議会は5月、法定通貨連動型ステーブルコイン発行業者向けのライセンス制度を定める法案を可決し、将来の市場参加者に対する規制の明確化を図った。
この新制度の下では、香港でステーブルコインを発行する者、または香港内外を問わず香港ドルで裏付けられたステーブルコインを発行する者は、香港金融管理局(HKMA)からライセンスを取得しなければならない。
アント・グループは6月にパイロットのステーブルコイン・プログラムへ参加すると表明していた。FTによれば、JDドットコムも同パイロットへの参加意思を示していた。
FTの報道によるとPBOC当局者は、テック企業や証券会社にいかなる種類の通貨も発行させることへの懸念から、ステーブルコインの初期ローンチへの参加を控えるよう助言したという。
なおロイター(Reuters)はこの報道を直ちに確認できていない。アント・グループ、JDドットコム、PBOC、CACはいずれもコメント要請に応じていない。
HKMAの広報担当者は10月19日にロイターに対し、市場の噂にはコメントしないとメールで伝えた。
ステーブルコインは、主にドルなどの法定通貨の価値に連動するように設計された、ブロックチェーン上で発行・移転されるトークンの一種。法定通貨以外の金(ゴールド)や暗号資産(仮想通貨)に裏付けられるものや、需要調整で価格安定を図るアルゴリズム型も存在する。現在ステーブルコインは、低コストで効率的な国境を越えた決済ツールとして、また伝統的な金融とデジタル資産をつなぐ架け橋として注目されている。
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Chinese tech giants pause stablecoin plans after Beijing steps in, FT reports
(Reporting by Chandni Shah in Bengaluru; Additional reporting by Liz Lee in Beijing; Editing by Franklin Paul, Michael Perry and Christian Schmollinger)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters
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参照元:ニュース – あたらしい経済


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