ニューヨーク市「デジタル資産・ブロックチェーン局」を新設|仮想通貨拠点都市化に向けた一手

仮想通貨産業支援へ、ニューヨーク市が新組織設立

米国ニューヨーク市のエリック・アダムス市長は2025年10月14日、行政命令第57号に署名し、デジタル資産・ブロックチェーン技術局の設立を正式に発表しました。

公式声明によると、同局は仮想通貨(暗号資産)やブロックチェーン技術の利活用の促進と政策助言を担い、ニューヨーク市を仮想通貨産業の拠点都市としての地位を強化することを目的としています。

同局は市長室直轄の新組織として設置され、ブロックチェーン関連施策の統括や業界との連携強化を担います。初代局長(エグゼクティブディレクター)には、市長の政策顧問であるモイセス・レンドン氏が就任する見込みです。

レンドン氏は、有識者による諮問委員会を設立し、市のデジタル資産戦略に民間の知見を取り入れる体制づくりを進めると説明しています。

なお、アダムス氏は9月、11月に実施されるニューヨーク市長選挙への再出馬を見送る意向を示しており、任期は2026年1月1日に終了する予定です。

NY市、デジタル資産とブロックチェーン政策を担う新局設立へ

アダムス市長の仮想通貨推進政策と新局設立の背景

アダムス市長はかねてより仮想通貨に前向きな姿勢を示しており、2022年には自身の給与をビットコイン(BTC)イーサリアム(ETH)受け取るなど話題を集めました。

2025年5月には市長公邸で初の「クリプトサミット」を主催し、業界リーダーとの対話を通じて、市としてテクノロジーを積極的に受け入れる姿勢を改めて示しました。

今回発表された行政命令では、デジタル資産・ブロックチェーン技術局の設立を定めるとともに、局長を市長が任命し、市最高技術責任者(CTO)に直属させることが明記されています。

初代局長には、ニューヨーク市のデジタル資産政策アドバイザーを務めるモイセス・レンドン氏が指名されました。政策立案の実務経験とブロックチェーン分野での専門知識を併せ持つ人物として、その手腕に期待が寄せられています。

ブロックチェーン産業育成を支える新組織の役割

同市の声明によると、デジタル資産・ブロックチェーン技術局の役割として、市政府と業界の橋渡しとなってブロックチェーン産業の発展と責任あるイノベーションを促進すること、また市民への教育・啓発を通じて仮想通貨のリスクを正しく伝え、詐欺や悪質な投資勧誘から保護することが挙げられています。

さらに、銀行サービスを十分に受けられない地域社会への金融包摂(経済的な参加機会の拡大)を支援しつつ、世界中から優秀な人材と投資を呼び込み、ニューヨークの競争力を高めることも目標に掲げています。

アダムス市長「デジタル資産時代の到来を確信」

アダムス市長は「デジタル資産の時代は既に到来しており、これによって経済を成長させ、世界中から人材を惹きつけ、銀行サービスが行き届かないコミュニティに機会を広げ、行政をより便利にできる機会がもたらされる」と述べ、ニューヨーク市が革新的技術を率先して取り入れていく姿勢を強調しました。

市の最高技術責任者(CTO)マット・フレイザー氏も「今回の発表は、ニューヨーク市が技術革新の最前線に立っていることを示すものだ。本局を通じて、約850万人の市民にブロックチェーンの変革力をもたらしたい」とコメントしています。

全米で広がる州レベルの仮想通貨法整備と保護強化

カリフォルニア州、休眠仮想通貨を自動売却から保護

米国では州政府レベルでも仮想通貨に関する取り組みが進んでいます。

カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は2025年10月、休眠状態の仮想通貨資産が州に移管される際に自動的に売却されるのを防ぐ全国初の法律に署名しました。

この法律により、長期間取引のないビットコインやイーサリアムなどのデジタル資産は自動的に売却されず保管されます。所有者が正式に請求すれば、元の仮想通貨を取り戻せるようになります。

イリノイ州、仮想通貨取引とATM規制の新法を施行

一方、イリノイ州では8月に、仮想通貨取引プラットフォームに対する州独自の規制と、キオスク型ATMにおける詐欺対策を柱とした2つの消費者保護法が成立しました。

仮想通貨消費者保護法は州金融当局に仮想通貨取引事業者の監督権限を与え、従来の金融業と同等の顧客資産保護や情報開示を義務付けています。

また仮想通貨キオスク法では、仮想通貨ATM事業者に対し州への登録と取引報告を義務付け、詐欺被害に遭った新規利用者への返金保証や取引手数料の上限設定などを求めています。

このように州ごとにアプローチは異なるものの、全米で少なくとも40州が仮想通貨関連の法整備やプロジェクトに着手しており、イノベーション推進と投資家保護の両面で州レベルの動きが活発化しています。

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Source:ニューヨーク市公式声明
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

参照元:ニュース – 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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