「仮想通貨4年サイクル説」は終焉?ETF・RWA・ステーブルコインが市場を再定義

この記事の要点

  • Ignas氏「4年周期説はETF・RWA・ステーブルコインで終焉」
  • BTC・ETH現物ETFに340億ドル超流入し市場構造が変化
  • 資金は個人から機関投資家へ移行、価格下支え要因に
  • アルトコインシーズンも終焉、実需や文化基盤が重視
  • RWAとステーブルコインが市場基盤を再構築する動き

仮想通貨4年周期説の終焉を示すETFとRWAの台頭

仮想通貨アナリストのIgnas(イグナス)氏は2025年9月24日、ビットコイン(BTC)イーサリアム(ETH)の現物ETFや、RWA(現実資産)のトークン化、ステーブルコインの普及によって、従来言われてきた「4年周期」の市場サイクルやアルトコインシーズンが終焉を迎えつつあるとの見解を示しました。

同氏は、この構造変化を「ザ・グレート・クリプト・ローテーション(偉大なる仮想通貨の循環)」と呼び、これまで個人投資家中心だった市場の所有構造が長期志向の機関投資家へ移行しつつあると指摘しています。

その具体例として、2024年4月以降の現物仮想通貨ETFへの資金流入額は約340億ドル(約5兆円)と全ETFカテゴリでトップとなり、ビットコインETFは現在ビットコイン総供給量の6%以上にあたる1,500億ドル超(約22兆円)相当を保有する規模に達した点を挙げました。

Ignas氏レポートの画像画像:Ignas氏レポート

イグナス氏は、こうした資金の受け皿となるETFの登場やトークン化市場の成長によって、従来の投機的なサイクルではなく新たな資金循環メカニズムが市場を再定義していると述べています。

ETF・RWA・ステーブルコインが再定義する仮想通貨市場

BTC・ETH現物ETFが市場にもたらした構造変化

イグナス氏のレポートによると、2024年に入ってから相次いで承認・上場されたビットコイン現物ETFやイーサリアム現物ETFは、弱含む市況下にもかかわらず資金を集め続け、市場に大きな構造変化をもたらしました。

同氏は「ビットコイン現物ETFは史上最も成功したローンチとなり、イーサリアムETFも当初はゆっくりとしたスタートだったものの現在は数十億ドル(数千億円)規模を保有している」と述べています。

実際、2024年4月8日から9月までに現物型の仮想通貨(暗号資産)ETFが呼び込んだ資金は約340億ドルに上り、これは他のテーマ型ETFや米国債ETF、貴金属ETFへの流入額を上回りました。

背景には、現物ETFという新たな投資商品が年金基金や投資顧問、銀行などの機関投資家に受け入れられたことがあり、仮想通貨がゴールドやナスダック株価指数と並ぶポートフォリオの一部に組み入れられ始めたとイグナス氏は指摘しています。

小口投資家から機関への資金シフトと価格形成

イグナス氏は、この動きを「小口の投機的な個人投資家から、長期運用を志向する機関投資家への所有権移行」と位置付けています。こうした移行により、安値で売却する個人投資家の売りを機関投資家が吸収することで平均取得コストが切り上がり、将来の下落局面でも下値が切り上がっていくと分析しました。

さらに、SEC(米証券取引委員会)が2025年9月に現物コモディティETFの上場基準を簡素化する新ルールを承認したことも、この流れに拍車をかけていると説明しています。

SECの規制緩和によってソラナ(SOL)XRPドージコイン(DOGE)などビットコイン・ETH以外の現物ETFが申請から最短75日で承認可能となり、グレースケールなど複数の運用会社も追加の仮想通貨ETF申請を行いました。

イグナス氏も「今後、SOL・HYPE・XRP・DOGEなど多数のアルトコインETFが登場し、個人投資家に売却機会を提供するだろう」と述べ、2019年に米国株式市場で同様のルール変更がなされた際にETF上場数が3倍に急増した例を引き合いに、仮想通貨市場でも新ETFのラッシュが起こる可能性に言及しています。

アルトコインシーズン終焉と選別相場の到来

こうした新規ETFによる買い需要が個人投資家の売り圧力をどこまで相殺できるかが重要であり、仮に景気や金融環境が安定していれば「今4年周期を想定して売っている人々は、より高値で買い戻すことになるだろう」とイグナス氏は指摘しました。

さらにイグナス氏は、アルトコイン市場のこれまでの典型であった「広範な銘柄が一斉に高騰するアルトシーズン」は終わりつつある可能性を示唆しています。

過去の強気相場ではビットコインに続いてETH、その後に大型アルト、草コインへと資金が波及して市場全体が連動高となる傾向がありましたが、現在は日々生まれる膨大な新規トークンで流動性が分散し、投資家の目線も厳しくなっているといいます。

イグナス氏は「流通量が少なく完全希薄化時価総額(FDV)が高いトークンは、かつてエアドロップ狙いで人気化しましたが、今や投資家は実需に裏付けられた価値を還元するトークン、もしくは強いカルチャーを持つトークン以外には飛びつかなくなった」と指摘しました。

収益を生むプロジェクトが評価される時代へ

実際、分散型取引所Uniswapのガバナンストークン$UNIは高い取引高にもかかわらず価格が上昇しておらず、明確な収益モデルがないプロジェクトに資金が集まりにくくなっている例として挙げています。

イグナス氏は、著名アナリストのAnsem(アンセム)氏の分析を引用し「投機主体による無秩序なバブルはピークに達した。持続可能な収益を上げるプロジェクトが台頭する新たな局面に入っている」と述べました。

さらに元ゴールドマンサックスのトレーダーであるMurad(ムラッド)氏の見解として「今なお急騰するアルトの多くは、新規性があり理解されていないが強力なコミュニティに支えられたトークンだ」とも紹介し、単なる流行ではなく文化的な支援基盤を持つ銘柄が生き残る傾向を指摘しています。

RWAとステーブルコインが市場基盤を再構築

イグナス氏は「今回の局面は2017年のカジノでも2021年の狂乱でもなく、従来の投機循環から脱し、文化や信念に支えられつつも伝統金融と融合し始めた新たな採用の時代だ」と述べました。

また同氏は「金融環境への適応力とコミュニティの熱量を兼ね備えた一部のプロジェクトこそが真の勝者になるだろう」と指摘しています。

その裏付けとして、米資産運用大手ブラックロックCEOラリー・フィンク氏がかつて言及した「証券化された資本市場のオンチェーン移行」も現実味を帯びつつあります。

レポートではさらに、ステーブルコインRWA(現実資産)の台頭が仮想通貨市場の基盤を大きく変えつつある点にも触れています。

イグナス氏は「かつてトレーダーはBTCやアルト購入のためにUSDTUSDCを保持していたが、新規マネー流入がそのまま現物買い需要に直結する時代は終わった」と指摘しました。

半減期に依存しない仮想通貨市場の新構造

XRP・DOGE現物ETFローンチが示す市場転換

2025年9月現在、イグナス氏の指摘を裏付ける動きが各所で見られます。18日には米国でXRPとドージコインの現物ETFが同時にローンチされ、初日に合計約5,500万ドル(約81億円)の出来高を記録しました。

従来のアルトシーズンのように幅広い銘柄が一斉に上昇するのではなく、特定銘柄に資金が集中する局所的な展開は、同氏が述べた「次の勝者は選別される」という見解を反映しています。

規制整備が促すステーブルコインの利用拡大

ステーブルコイン分野では、2025年7月に成立した「GENIUS法」に基づき、テザー社が米国向けの新ステーブルコイン「USAT」を年内にも発行予定です。同社は既存のUSDTで時価総額1,700億ドル(約25兆円)超を誇り、米国債の大量購入を通じて金融市場での存在感も一段と高めています。

規制の明確化は利用拡大と信用強化を促しており、米国債の有力な買い手となる可能性も指摘されています。こうした動きとあわせ、ETF・RWAの拡大やステーブルコインの制度整備は従来の「半減期に基づく4年周期説」とは異なる市場サイクルを生み出しています

イグナス氏が指摘する新たな潮流は、マクロ経済政策や機関投資家の資金流入と結びつき、仮想通貨市場を再定義しつつある状況です。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=148.67 円)

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Source:Ignas氏レポート
サムネイル:AIによる生成画像

参照元:ニュース – 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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