
ヘイズ氏「FRBがYCC導入するならBTC急騰の可能性」
仮想通貨取引所BitMEX(ビットメックス)の共同創設者アーサー・ヘイズ氏は2025年9月23日、「FRB(米連邦準備制度理事会)がイールドカーブ・コントロール(YCC)を導入した場合、2028年にビットコイン(BTC)価格が最大340万ドル(約5億円)に達する可能性がある」との見解を示しました。
このヘイズ氏の予測は、FRBが将来的にYCC政策を実施し、国債利回りを直接コントロールしながら大規模な金融緩和を行うことを前提としています。
なお、イールドカーブ・コントロール(YCC)は、中央銀行が特定の年限の国債利回りを一定水準に抑えるために、国債を必要に応じて売買して市場金利を誘導する仕組みです。
ヘイズ氏は、こうした政策により巨額の債務発行と資金供給が進むことで、ビットコイン需要が飛躍的に増加すると指摘しており、2028年までの数年間で価格が数百万ドル規模まで高騰する可能性があると主張しました。
ただし、同氏は「この340万ドルという数値はあくまで理論上の試算であり、実際には達しない可能性が高い」とも述べ、重要なのは”価格の方向性”であり、細かな予測値そのものではないと強調しています。
FRB利下げ発表で強気転換なるか
ヘイズ氏が示すYCC論とビットコイン340万ドル試算の根拠
トランプ政権下で進むYCC導入シナリオ
ヘイズ氏のブログ記事では、この強気な予測の背景として、米国の財政・金融政策に関する大胆なシナリオが示されています。
同氏は、スコット・ベッセント財務長官の主導で「第二次世界大戦以来の試み」とされるYCC政策が進められる可能性があると指摘しました。
実際、第二次世界大戦中の米国では財務省がFRBに介入し、短期金利を0.675%、長期金利を2.5%程度に固定するYCC政策を実施した歴史がありました。
ヘイズ氏によれば、トランプ政権下では戦時ではなく国内産業の再興を大義名分として、この「利回り固定」を現代版として復活させる計画が進められる可能性があるとしています。
同氏はこれを「貧者のための量的緩和」と表現しており、政府が中央銀行を従属させて大量の国債を発行・買い入れすることで市場に潤沢な資金を供給し、低金利での融資拡大によって米国経済を再工業化しようとするシナリオと説明しています。
2028年までに累積15兆ドル超の国債発行見通し
ヘイズ氏は、米国の財政状況がこのような極端な金融緩和策を「必要とする」段階に来つつあるという点を強調しています。
こうした状況を踏まえ、同氏の分析では、2028年まで米国は年間約2兆ドル(約295兆円)規模の財政赤字を計上し続け、その間に新規発行される国債の総額は15兆ドル(約2,200兆円)を超える可能性があるとしています。
トランプ政権下ではこれほど巨額の国債を消化するため、海外投資家に頼るのは難しいとし、結果的にFRBがその半分以上(50%以上)を買い取らざるを得なくなるとヘイズ氏は予想しています。
その結果、FRBは事実上、巨額のドルを市場に供給(通貨の新規発行)することになり、その規模はCOVID-19危機時に市場安定化のため国債を大量購入した状況(当時は政府債務の約40%をFRBが吸収)をも上回る可能性があるとしています。
独自モデルによるビットコイン340万ドル試算
ヘイズ氏はこうした信用創造(クレジット)の爆発的拡大がビットコイン市場に与える影響を独自のモデルで試算しました。
同氏の試算モデルでは、「信用供与1ドルあたりビットコイン価格が約0.19ドル上昇する」という過去の相関データを基礎としています。
この前提をもとに、2028年までに新規に供給される可能性がある数十兆ドル規模の資金によって、ビットコイン価格は理論上約340万ドルに達する計算になるとヘイズ氏は試算しました。
ただし、ヘイズ氏自身もこの数字はあくまで想定シナリオ上の最大値であると認めています。
そのうえで同氏は「現在約11万2,000ドル前後で推移している価格は、その頃には間違いなく今よりはるかに高い水準になっているだろう」と述べ、長期的な方向性としてビットコイン価格が大幅に上昇基調をたどるとの自信を示しました。
ヘイズ氏は一貫して、ビットコインの強気相場を決定づける最大要因は4年周期の半減期ではなく世界的な金融環境(流動性)であると主張しており、各国の中央銀行が引き締めから緩和に転じるタイミングこそが「次の強力な上昇トリガー」になると見ています。
BTCは唯一の救命ボート
FRB政策転換で注目されるビットコイン価格動向
直近のビットコイン価格は112,000〜113,000ドル台で推移しており、8月中旬に記録した約124,000ドル(約1,830万円)の過去最高値からは依然として下回る水準にとどまっています。
FRBによる利下げ開始という材料は織り込まれつつあるものの、今後の追加利下げペースや景気動向を見極めたいとの慎重姿勢も残っており、市場には依然として「様子見ムード」が漂っている状況です。
一部の専門家は、現在の緩やかな金融緩和が継続すれば、ビットコインは今後1年程度で15万ドル(約2,220万円)を突破する可能性があると指摘しています。また、米大手証券会社バーンスタインも、強気シナリオとして「2025年末までに20万ドル(約2,960万円)に達する可能性がある」と予想しています。
ただし、これらの予測値はいずれもヘイズ氏が示した340万ドルという極めて強気な予測とは大きくかけ離れています。ビットコインがそこまで上昇するには「前例のない金融政策の展開と市場環境の大きな変化が不可欠だ」という認識が市場で共有されています。
ヘイズ氏の描くシナリオが現実となるかは未知数ですが、金融当局の政策次第で仮想通貨市場の地殻変動が起こり得るという視点は、多くの投資家にとって改めて意識されるところとなっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.78 円)
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Source:アーサー・ヘイズ氏ブログ
サムネイル:AIによる生成画像






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