エルサルバドル、IMF融資条件下で21 BTCを追加取得|ビットコイン積立姿勢が鮮明に

エルサルバドル、ビットコイン準備資産6,313 BTCに拡大

エルサルバドルのナジブ・ブケレ大統領は2025年9月8日、ビットコイン法施行4周年を記念し、21BTC(約235万ドル/約3.5億円)を取得したとX(旧Twitter)で発表しました。

今回の取得によって同国のビットコイン準備資産は合計6,313 BTCとなり、その評価額は約7億ドル(約1,040億円)に達しています。

エルサルバドル政府は2024年12月、IMF(国際通貨基金)と14億ドル(約2,080億円)の融資契約を締結し、公的資金によるビットコインの追加購入を停止する義務を負いました。しかし、その後も同国は制約と相反する形で積立を継続しています。

今回の21 BTCの追加取得もIMF合意の条件に抵触する動きであり、エルサルバドル政府がビットコイン戦略を維持する姿勢を改めて示す形となりました。

ビットコインデーのために21 BTCを購入。

IMF条件下でも進むエルサルバドルのBTC戦略

ブケレ大統領が示す積立継続の強い意思

エルサルバドル政府は2021年9月に世界で初めてビットコインを法定通貨に採用して以降、国家戦略としてビットコインの定期的な積み増しを続けてきました。

ナジブ・ブケレ大統領が設置した国家ビットコイン事務局(The Bitcoin Office)は、この4年間の取り組みを「ビットコインデー」に合わせて報告しています。

事務局はXへの投稿で「エルサルバドルはこの4年のうち3年間、ビットコイン国家の構築に邁進してきた」と強調し、政府のモットー「Excellence Only(常に卓越を)」に基づき多くのプロジェクトを進めてきたと述べています。

その一環として政府は、ビットコインの最大供給量(2,100万枚)にちなんだ象徴的な数量である21 BTCを追加取得し、ビットコイン法施行4周年を祝いました。

実際、同国政府は財務戦略として「1日1BTC」の定期購入を継続しており、昨年以降はほぼ毎日買い増しを実施していることがデータで示されています。

BTC保有数の画像画像:The Bitcoin Office

2025年3月時点の保有量は約6,101 BTCで、ブケレ大統領は「今も止めないし、今後も止めることはない」と継続方針を明言していました。

IMF融資合意で課されたBTC購入停止義務

ただし、エルサルバドルは2024年末にIMFと合意した融資プログラムの下で、ビットコインに関する方針転換を余儀なくされています。

同国議会は今年、ビットコイン法を改正し、事業者に受け入れを義務付ける規定を撤廃しました(法定通貨としての地位は維持しつつ、利用は任意へ変更)。

さらに政府は、Chivo電子ウォレットへの公的支援を縮小し、信託基金(Fidebitcoin)の清算にも同意しています。

また、IMFは融資条件として、プログラム期間中の公的部門によるビットコインの新規取得上限を「0」とするようエルサルバドル政府に求めており、政府の追加購入を事実上禁止する姿勢を明確にしています。

IMFとの融資枠合意は40カ月間にわたる長期プログラムであり、遵守状況は今後も定期的に審査される予定です。ただし、エルサルバドル政府は積立方針を断念しない姿勢を明確に示しています。

エルサルバドル、BTC準備金分散と制度改革を推進

国家BTC準備金を14アドレスへ移動、透明性を強化

エルサルバドルの国家ビットコイン事務局は8月30日、当時同国が保有していた約6,284BTCの準備資産を14の新しいビットコインアドレスに分散したと報告しました。

これまでの単一ウォレットで管理していた準備金を複数アドレスに分散するのは、量子コンピューターによる解読リスクなど将来的なセキュリティ上の脅威に備えるためだと説明しています。

各アドレスには500 BTC未満を保管する方針で、事務局は新規ウォレットアドレスを公開し、保有状況の透明性を高めています。

この措置はIMFプログラムで求められる情報開示の一環とも位置付けられ、エルサルバドル政府はビットコイン政策の安全性と信頼性の向上に取り組んでいるとしています。

投資銀行法可決、BTC関連業務を正式認可

エルサルバドル立法議会は8月8日に「投資銀行法」を可決し、ビットコイン関連サービスを正式に取り扱える銀行の枠組みを整備しています。

この法律により、要件を満たした投資銀行は中央準備銀行(BCR)と金融システム監督庁(SSF)の監督下で、ビットコインのカストディ(預かり)や発行、デジタル資産の管理業務などを公式に行えるようになっています。

同国ではすでに2023年に「デジタル資産法」が施行され、ビットコインやトークンを活用した債券発行(いわゆるボルケーノ債)やブロックチェーン事業の推進が続いてきました。

投資銀行法の整備により、金融機関は暗号資産サービスを提供しやすくなると見込まれます。これにより同国のビットコインエコノミーは一段と拡大し、国際的な資金調達や投資誘致にもつながると予測されています。

こうした取り組みは、ビットコイン採用による経済的自立と金融包摂の実現を目指す同国の戦略を象徴する動きとして評価されています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=148.40 円)

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Source:The Bitcoin Office公式X
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

参照元:ニュース – 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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