米SEC、仮想通貨取引・発行・保管に明確ルール導入|2025年規制アジェンダを発表

アトキンス委員長、仮想通貨規制計画の方向性を提示

SEC(米国証券取引委員会)のポール・アトキンス委員長は2025年9月4日、仮想通貨分野を含む2025年春季の規制計画(規制アジェンダ)を発表しました。

同アジェンダでは、仮想通貨の発行・カストディ(保管)・取引に関する明確なルールの整備が示されました。さらに、仮想通貨をナショナル証券取引所や代替取引システム(ATS)で取引可能とする規則改正の検討にも言及しています。

この規制計画により、SECは従来の執行重視の姿勢から、ルール策定を通じた明確な規制整備へと軸足を移す方針です。

業界関係者の間では、今回の方針転換により仮想通貨と伝統的金融市場の融合が進み、資金調達や決済インフラの革新が加速するとの期待が高まっています。

米SECが描く仮想通貨規制計画と新ルールの意義

アトキンス委員長が掲げる規制の最優先課題

4月に就任したアトキンス委員長は上院の承認公聴会で、仮想通貨市場に合理的で一貫性のある規制体制の構築を最優先課題に掲げ「SECにとって新たな時代の始まりだ」と述べました。

こうした基本姿勢は今回公表された規制アジェンダにも反映され、イノベーションと投資家保護の両立を図る包括的な方針が打ち出されています。

特に仮想通貨分野では、デジタル資産の提供・販売に関するルール策定(一定の免除規定やセーフハーバーの検討を含む)に加え、証券ブローカー規則における仮想通貨の適用範囲を明確化する措置が盛り込まれました。

さらに、SECは、特定の仮想通貨資産が証券とみなされた場合でも、他のトークンと同一市場で取引可能とする枠組みの検討についても触れています。

これらの取り組みは、7月に発足したSECの「プロジェクト・クリプト」と呼ばれる新戦略の下で進行しており、ブロックチェーン技術に即した証券規制の近代化を目指す動きの一環とされています。

ゲンスラー前体制との違いが示す規制転換点

今回の規制アジェンダ策定は、長年不透明だった米国の仮想通貨規制において、大きな転換点となりました。

前政権下のゲンスラー前委員長が率いたSECは、「未登録証券」を理由に仮想通貨関連企業への訴訟を相次いで提起し、大手仮想通貨取引所Coinbase(コインベース)Binance(バイナンス)などにも強硬姿勢を示していました。

一方、アトキンス委員長の就任後は、そうした訴訟の多くが取り下げられ、規制当局の姿勢は明確なルール作りを重視する事前予防型へと移行しつつあります。

実際に同委員長は職員に「仮想通貨の発行・流通・保管に関する簡潔で明確なガイドライン」を作成するよう指示しました。正式な規則が整うまでの間は、解釈指針や適用除外を活用して柔軟に対応する考えも示しています。

業界はこれまで「現行の証券規制は仮想通貨に適合しない」と主張し、トークンが証券かコモディティかを判別する明確な基準の提示を求めてきました。

業界の要望に応えるルール策定方針

今回のルール策定方針は、こうした業界の要望に応える内容であり、主要な要望事項の多くが実現に向かうとの見方が広がっています。

今後はパブリックコメントを経て具体的な規則案が形成される見通しであり、SECは「スマートで効果的、法の範囲内で適切に調整された規制」の実現を目指すと強調しています。

米SECが目指す仮想通貨と資本市場の橋渡し

今回の規制アジェンダは、仮想通貨市場を制度面から取り込み、投資家と事業者に明確な枠組みを提供する重要な第一歩となります。

新たなルールが施行されれば、仮想通貨と従来型の金融市場の橋渡しが進み、上場・開示・カストディの各面で信頼性と透明性の向上が期待されます。

今後はパブリックコメントを経て最終規則が確定し、順次実務に反映される見込みです。こうした進展は米国市場にとどまらず、国際的な規制議論にも影響を及ぼす可能性があります。

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Source:ポール・アトキンス委員長声明 / 規制アジェンダ
サムネイル:AIによる生成画像

参照元:ニュース – 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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