
Google Cloud Universal Ledger(GCUL)を開発
Google Cloud(グーグルクラウド)が新たな金融インフラとして機能する独自のレイヤー1ブロックチェーンである「Google Cloud Universal Ledger(GCUL)」を開発していることが明らかになりました。
Google Cloud Universal Ledger(GCUL)は、”革新的な決済サービスと金融市場商品を作成するための新しいプラットフォーム”として紹介されており、現在はGoogle CloudのWeb3戦略責任者であるリッチ・ウィドマン氏がSNS上でGCULを紹介している他、Google Cloudの公式サイトでも情報を公開、現在はウェイティングリストの登録受付も開始されています。
リッチ・ウィドマン氏はGCULの特徴として「高性能・信頼性のある中立性・Pythonベースのスマートコントラクト」を挙げており、「世界最大級の商品取引所のひとつであるCMEグループもトークン化や決済の可能性を探るためにGCULを選んだ」と報告しています。
Google dropping some details on its L1 blockchain (GCUL) over on LI
Chain will feature python based smart contracts. Aims to be neutral infra built for finance w/ “native commercial bank money on-chain”, 24/7 cap markets infra, payments and agentic capabilities. Looks like they… pic.twitter.com/cB1vlq3Oyv
— Omar (@TheOneandOmsy) August 26, 2025
GoogleがLinkedIn上で、自社のL1ブロックチェーン(GCUL)に関する情報を公開しました。
このチェーンはPythonベースのスマートコントラクトを備え、金融向けに設計された中立的なインフラを目指しています。具体的には「ネイティブな商業銀行マネーのオンチェーン化、24時間365日稼働する資本市場インフラ、決済、エージェント機能」などを想定しています。さらに、数十億人規模のユーザーと数百の金融機関パートナーを抱えるGoogleネットワーク全体に展開する計画のようです。
現在はプライベートテストネット段階で、今年初めにはCMEとの間でトークン化資産の試験運用を発表済み。今後数か月以内にさらなる技術的詳細が公開されていく予定です。
Google Cloud Universal Ledger(GCUL)とは?
Google Cloud Universal Ledger(GCUL)は、Google Cloudが提供する金融市場向けの独自レイヤー1ブロックチェーンであり、金融機関や大規模利用を前提としたインフラとして設計されています。
GCULはステーブルコイン市場の急拡大とそれに伴う規制や非効率性の課題を解決することを目的とした大規模プロジェクトでもあり、今後の金融業界やブロックチェーン業界に大きな影響を与える可能性があると注目されています。
VisaやArtemisのデータによると「2024年のステーブルコイン取引量は5兆ドル、総取引額は30兆ドルに達した」と報告されていますが、その一方では「各国の規制対応、ネットワークの断片化、手数料の高さ、送金速度の遅延」など実用上の問題が依然として残されています。
GCULはこのような課題を解決するために構築されたL1ブロックチェーン・プラットフォームであり、金融機関や仲介業者はこのソリューションを活用することによって顧客の要求に応え、効果的に競争できるようになると説明されています。
GCULの主な特徴
Universal Ledger(GCUL)の主な特徴としては以下のようなものが挙げられます。
- Pythonベースのスマートコントラクト
Pythonベースのスマートコントラクトを採用することによって、開発者にとって扱いやすく、柔軟なプログラミング環境を提供。 - 24時間365日稼働の資本市場インフラ
従来の銀行の営業時間に縛られない24時間365日稼働可能なリアルタイムの金融取引を実現。 - 商業銀行マネーのオンチェーン対応
金融機関が保有する資金をブロックチェーン上で直接取り扱うことが可能。GCULは比類のないパフォーマンスを提供し、あらゆるユースケースにスケーリングできる。ウォレットは任意のウォレットと統合可能。 - シンプルな利用形態
GCULには単一のAPIでアクセスできるため、複数の通貨やアセットの統合が簡素化される。インフラの構築とメンテナンスが不要。 - 月額課金モデルでガス代問題に対処
月額課金モデルを採用しているため、トランザクション料金は安定していて透明性がある。(変動の激しさが問題となっている一般的な仮想通貨の”ガス代”とは異なる仕組み) - セキュリティとコンプライアンス
KYC対応アカウント、金融規制を遵守しながらGoogleのセキュリティ基盤を活用。
GCULと他ブロックチェーンの比較(画像:Omar氏のX投稿から引用)
GCULのメリット・開発状況・今後の展開
GCULを導入することによって、国際送金はほぼ即時に実行可能となり、従来発生していた数日間の遅延や高額な手数料が大幅に削減されると期待されます。また、支払いの自動化・照合作業の効率化・エラー削減など金融機関の大きな業務改善効果が見込まれており、流動性効率化による新たな資本市場の活性化も期待されています。
現時点でGCULはプライベート・テストネットが稼働している段階となっていますが、リッチ・ウィドマン氏の報告にもあるようにすでにCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)との間でトークン化資産に関するパイロットプログラムも進行中で、数か月以内にはさらなる技術情報や開発ロードマップが公開される予定です。
また、将来的にはGoogleの膨大なユーザーネットワークや数百に及ぶ既存の金融機関パートナーと連携してグローバル規模での普及を目指すとされているため、GCULは今後Web2からWeb3への移行を支えるインフラとして“誰でも使えるグローバル金融基盤”になっていく可能性があると注目されています。
Universal Ledger(GCUL)は、ステーブルコインや既存の分散型金融(DeFi)プロトコルを凌駕する規模感で設計されており、金融システムそのものを変革する可能性を秘めているため、「今後GCULがどのように普及し、世界の資本市場にどのような影響を与えるのか」には注目が集まっています。
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source:Google Cloud
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