
ドレイパー氏「革新は最終的にBTCに集約」
2025年8月26日、シリコンバレーの著名投資家ティム・ドレイパー氏が米経済番組「CNBC」のインタビューで、小規模な仮想通貨(暗号資産)プロジェクトの多くがビットコイン(BTC)に移行される可能性があるとの見解を示しました。
同氏は、仮想通貨市場におけるビットコインの存在感が一段と強まっており「他のアルトコインが生み出す革新的な技術も最終的にはビットコインに取り込まれていく」という流れが形成されつつあると述べています。
実際、ビットコインの時価総額シェアは2022年の40%台から直近では約60%超まで拡大しており、市場支配力の強まりが明確になっていると指摘しました。
同氏はこの現象を「ビットコインへの重力的な引力」に例え、小規模なアルトコインプロジェクトが次々とビットコインのネットワークに引き寄せられていると述べています。
さらに同氏は「有望なアルトコインプロジェクトは数多く存在するものの、市場に適合した製品を持つプロジェクトでさえ、最終的にはビットコイン上に移行せざるを得ない」との見方を示しました。
こうした流れによって、ビットコインは仮想通貨市場における絶対的な地位をさらに強めると見込まれており、ドレイパー氏は「全体としてビットコインへの大きな潮流が生じている」と強調しました。
ビットコイン崩壊説は間違いだった
アルトコイン統合で進むビットコイン支配の未来
ドレイパー氏が注目するBTCシェア拡大
今回のインタビューで同氏は、ビットコイン以外の仮想通貨が台頭する状況自体は「健全な競争」と評価しつつ、ビットコインの市場占有率(ドミナンス)の推移に特に焦点を当てていると述べています。
同氏によれば、ビットコインのシェアは強気相場ごとに上昇しており、2022年頃は約40%、次のサイクルで約50%、現在は約61〜62%まで拡大していると説明しました。
同氏は、時間の経過とともに支配的なプラットフォームがより強固なネットワークを築くとしたうえで、勢力が拡大する過程では開発者の投資先も優勢なネットワークへ集中しやすくなると述べています。
こうした流れの結果、市場のイノベーションがビットコインに集約されやすい構造になるとの見方を示しました。
IT業界の歴史に重なるビットコイン現象
ビットコインの優位性について、ドレイパー氏はIT業界におけるマイクロソフトの事例を引き合いに出し、競争があっても最終的に主要プラットフォームへ機能が集まる構図を示しています。
マイクロソフト台頭期には、多くの開発者が同社のプラットフォーム(Windows)上で製品を構築し、当初は別環境で生まれたアプリケーションも後にWindowsへ移植される事例が相次ぎました。
同氏は、仮想通貨業界でも同様の現象が進んでいるとし「実験的な機能はアルトコインで生まれるものの、優秀なエンジニアが最終的にそれらをビットコインへ移植する動きが見られる」と指摘しました。
その結果「ビットコインには“重力”のように他通貨を引き付ける力が働き、一時的に注目を集める通貨が現れても、長期的にはビットコインへ収束していく」との見解を示しています。
金を超えるビットコインの通貨代替可能性
さらにドレイパー氏は、ビットコインが法定通貨に代わる「将来的な基軸通貨」となり得るとの見解を維持しており、その背景として各国の財政状況を挙げています。
同氏は、各国で政府債務が拡大している点に言及し「米国の累積債務が約100年前の約3,950億ドル(約58.2兆円)から、2025年時点で約37兆2,000億ドル(約5,480兆円)へ増加した」と説明しました。
同氏は「政府の無謀な支出が招く自国通貨価値の毀損に対する唯一のヘッジ手段はビットコインだ」と強調し、ビットコインを「悪政に対するヘッジ手段」と位置付けました。さらに、金(ゴールド)などの従来型資産では十分な対策にならないとの見解を示しています。
ドルを脅かすビットコイン価格の未来展望
価格見通しでもドレイパー氏は強気を崩しておらず、過去から現在に至るまで一貫したスタンスを取っています。
同氏は、以前から示している「1BTC=25万ドル(約3,700万円)」という価格予測について、今回のインタビューでも改めて触れています。
同氏は放送中に「長い間、ビットコインは25万ドルになると予測してきたが、まだ的中していないようだ」と述べ、ユーモアを交えて現状を振り返りました。さらに「現在その半分まで到達しており非常にエキサイティングだ」とも語っています。
ドレイパー氏は「達成時期は後ろ倒しになっているものの、長期的にはビットコインが目標価格に達し、米ドルとの相対的な地位を揺さぶる可能性は変わっていない」との見方を示しています。
「ビットコインは究極の基軸通貨へ」
著名投資家らが示すビットコインへの強気姿勢
ブラックロックCEO「ビットコインはデジタルゴールド」
こうした強気見解は、同時期に他の著名投資家からも相次いで表明されています。
世界最大の資産運用会社ブラックロックのラリー・フィンクCEOは、8月25日のテレビ出演で「投資家がビットコインを購入するのは、自国通貨の価値毀損(通貨安)を懸念しているためだ」と発言しました。
同氏は、ビットコインを「デジタルゴールド」と位置付け、法定通貨の下落局面に対するヘッジ手段としての有用性に言及しています。
約12兆ドル(約1,770兆円)を運用する同氏が「ビットコインの役割を信じるようになった」と語った点は、同資産の地位向上を象徴する発言として受け止められています。
スカイブリッジ創設者「ビットコインは太陽」
また、米スカイブリッジ・キャピタル創設者のアンソニー・スカラムーチ氏は、ドレイパー氏の見解に呼応し、比喩表現を交えたコメントを自身のX(旧Twitter)に投稿しました。
同氏はウィリアム・シェイクスピアの有名な一節をもじり「It is the east, and Bitcoin is the sun(東の空に昇るのは、ビットコインという太陽である)」と綴り、象徴的な比喩で存在感の高まりを表現しています。
スカラムーチ氏はビットコインの存在感を太陽に例えて称賛しており、強気派として知られる著名投資家の発信が相次いだことで、業界全体のビットコイン集中という流れが改めて意識されつつあります。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.33 円)
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Source:CNBCインタビュー
サムネイル:AIによる生成画像





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