
未保有者の7割「始める前により多くの情報が必要」
全米仮想通貨協会(NCA)が発表した最新レポート「2025 Crypto Confidence Pulse」によると、仮想通貨を保有・利用していない米国の成人の約70%が、「仮想通貨を始めるには、より信頼できる情報が必要だ」と感じていることが明らかになりました。
この調査は、仮想通貨を保有・利用していない米国の成人2,000人を対象に実施されました。
調査対象者の約90%が「仮想通貨の購入・利用方法について十分な知識がない」と答え、約70%が「利用を始めるには、より多くの信頼できる情報が必要」と感じていることが明らかになっています。
これらの結果から、知識不足や情報の不透明さが仮想通貨の普及を妨げる大きな要因となっている現状が浮き彫りとなりました。
NCAはRipple(リップル)社の支援により2025年3月に設立された非営利団体であり、会長にはリップル社のCLOであるスチュアート・アルデロティ氏が就任しています。
同協会は、教育活動やユーザー事例の共有を通じて仮想通貨に対する正しい理解と安全な活用の促進を図り、持続可能な社会の構築を目指すとしています。
米国民の5人に1人が仮想通貨を保有
仮想通貨普及を阻む最大の要因は「理解不足」
約半数が仮想通貨の基本を理解できず
NCAの調査結果では、一般消費者の間で仮想通貨リテラシーが不足しており、それが普及の大きな障壁になっている実態が明らかになりました。
回答者の約70%が仮想通貨の購入・使用・取引方法について「十分な知識がない」と認識しており、49%が「仮想通貨の仕組みを理解できていないこと」を参入の最大の障壁として挙げています。
加えて「セキュリティ面への不安」が43%、「仮想通貨プラットフォームに対する不信感」が36%に上っており、全体として理解不足と不信感が浮き彫りになっています。
また、仮想通貨には中央の管理主体が存在しないものが多く、この点が混乱を招く要因の1つとなっています。実際に「何が価値の裏付けとなっているのか分からない」と答えた人は41%に上りました。
このような不安感も影響し「2025年中に仮想通貨を保有・利用する意向がある」と回答した人は全体のわずか18%にとどまっています。
情報の多さが参入のハードルを高める要因に
NCAのスチュアート・アルダロティ会長は「仮想通貨が広く普及しない最大の要因は”理解不足”にある」と述べ、多くの米国人にとって仮想通貨は依然として難解な存在だと指摘しました。
実際、全体の55%以上が仮想通貨について調べること自体を「圧倒されるほど大変」と回答しており、情報収集の難しさが利用意欲を低下させている要因として挙げられています。
また、仮想通貨に対して「詐欺のように感じる」と回答した人は14%、「一時的な流行に過ぎない」とする回答は10%にとどまっています。
34%は「仮想通貨をもっと学びたい」と前向きな姿勢
一方で、回答者の約34%は「仮想通貨についてもっと学びたい」と考えており、その“好奇層”のうち約80%が仮想通貨を「正当な金融資産」と認識しています。
さらに、42%の回答者が2025年中に仮想通貨を取得・利用する可能性があるとし、関心の高まりがうかがえます。
ただし、この層の68%が「何から始めれば良いか分からない」と回答しており、半数近くが「仮想通貨ブームに乗り遅れた」と感じていることも明らかされています。
NCA指摘「決済可能であることが知られていない」
仮想通貨の利用に前向きになるために必要な条件として「より多くの知識を身につけること」が37%、「仮想通貨ごとの違いを理解すること」が31%を占めています。
また、4人に1人にあたる23%が「仮想通貨で日常の支払いができるなら利用したい」と回答しており、利便性に対する期待の高さも浮き彫りとなっています。
こうした結果を受けてNCAは、約4分の1の非保有者が「仮想通貨で支払いができるなら使いたい」と考えているにもかかわらず、実際にはすでに多くの場所で決済が可能であることが知られていないと指摘しています。
実際、米国の仮想通貨保有者の約39%が、オンラインや実店舗での支払いに仮想通貨を日常的に利用しているという調査結果も報告されています。
こうした認識のギャップを解消するため、NCAは一般消費者向けに仮想通貨に関する疑問や誤解を解説する動画シリーズの配信を開始しました。正確でわかりやすい情報提供を通じて、理解の促進と信頼の構築を進めています。
「ビットコインは未来の資産」
普及に向けて動き出した米国の仮想通貨政策
米国政府も仮想通貨の信頼向上に向けた取り組みを進めています。
ステーブルコイン規制法で信頼性向上へ
2025年7月18日、米国で初となる包括的なステーブルコイン規制法案「GENIUS法」が正式に成立しました。
この法律は、ドルに連動するステーブルコインに対し、準備資産による完全担保の確保や毎月の資産内訳の開示義務を定め、透明性の強化を図る内容となっています。
署名式に出席したトランプ大統領は「この新法の成立は皆さんの努力と先見の明を大いに評価するものであり、ドルにも国家にも有益だ」と述べ、業界成長を後押しする姿勢を明確にしました。
米財務省もこの法律の導入により、デジタルドル経済へのアクセス拡大や米国債の需要増が期待できるとし、金融当局としても積極的に取り組む意向を示しています。
仮想通貨の普及へ環境整備進む
この動きに対し、仮想通貨企業からも歓迎の声が上がっています。ステーブルコイン「USDT」の発行企業であるテザー社は、本法に完全準拠する方針を示し、米国市場での事業展開を加速させる意向を表明しました。
スタンダード・チャータード銀行は、新法の施行によってステーブルコイン市場が2028年までに約2兆ドル(約292兆円)に達する可能性があると予測し、規制が市場拡大の契機になるとの見解を示しています。
こうした規制整備に対しては投資家からも好意的な反応が見られ、ある調査では米国の仮想通貨投資家の”73%”がトランプ政権の仮想通貨政策を支持していることが明らかになりました。
業界の有識者からは「明確なルールの整備は仮想通貨への信頼を高め、大衆採用(マスアダプション)につながる」との声も上がっており、教育体制の充実と併せて普及への期待が高まっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=146.24 円)
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Source:NCAレポート
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