Block Earner、オーストラリア初のビットコイン担保住宅ローン提供へ|仮想通貨活用ニーズに対応

オーストラリア初のビットコイン担保住宅ローン承認

オーストラリアのフィンテック企業Block Earner(ブロックアーナー)は2025年7月17日、同国初となるビットコイン(BTC)担保型の住宅ローン商品を正式に提供開始すると発表しました。

ブロックアーナー社は、2年以上続いた規制当局との法廷闘争の末、今年4月に連邦裁判所で有利な判決を受け、新たなサービスの提供が可能となりました。

同社は声明で「仮想通貨保有者がビットコインの保有と住宅購入のいずれかを選択する必要はない」と述べた上で、仮想通貨と不動産の両立を可能にする革新的な選択肢を提示すると強調しています。

この住宅ローンでは、担保となるビットコインの時価の最大50%相当額までを頭金として借り入れることができ、残りの資金は従来型の住宅ローンで補う仕組みとなっています。

ビットコインの価格上昇による含み益を維持したまま住宅購入資金を確保できることから、不動産市場への新たなアプローチ手段として注目されています。

豪ブロックアーナー社、BTC活用の住宅ローンを始動

金融商品認定を巡る裁判で勝訴

ブロックアーナー社が住宅ローン事業に至るまでには、オーストラリア金融当局との法的対立が背景にありました。2022年には、無許可で利回り型仮想通貨サービスを提供したとして、オーストラリア証券投資委員会(ASIC)から提訴されています。

一審では、当該サービスを「金融商品」とみなし認可が必要と判断されました。しかし、2025年4月22日の控訴審で連邦裁判所はこれを覆し、同社の提供する仮想通貨サービスは金融商品には該当しないとの結論が下されました。

裁判所は、固定利回り商品「Earner」について、資金のプールや投資運用の仕組みではなく、単なる貸付契約であると説明し、金融商品取引ライセンスは不要との見解を示しました。

この判決により、Block Earner社はビットコインを活用した住宅ローン提供に必要な法的課題を解消し、正式なサービス開始に至っています。

最大約4億9,000万円まで借入可能な仕組み

同社は、ビットコイン担保住宅ローンの詳細についても明らかにしています。借入上限は最大500万豪ドル(約4億9,000万円)で、担保となるビットコインのLTV(ローン・トゥ・バリュー)は最大60%設定されています。

金利は借入額やLTV比率によって異なり、たとえばLTVが40%の場合には年利9.5%からスタートします。加えて、借入から最初の4年間は利息のみの返済も可能で、繰上げ返済手数料は発生しない設計となっています。

担保となるビットコインは、仮想通貨管理に特化した大手カストディ企業Fireblocks社が保管を担当します。預かった資産については、第三者への貸出や再運用には使われない方針も明示されました。

この仕組みにより、借入者が住宅ローン保険(LMI)を回避できる可能性もあり、効率的な資産活用を実現する新たな手段として関心が高まっています。

若年層中心に強まる仮想通貨ニーズ

ブロックアーナー社の発表によると、オーストラリアの成人のおよそ32.5%にあたる600万人以上が仮想通貨(暗号資産)を保有しています。なかでも25〜34歳の層では過半数が保有経験を持ち、若年層を中心に仮想通貨の普及が進んでいます。

今回の発表後、同社には約1億1,000万豪ドル相当の住宅ローン需要が寄せられており、仮想通貨を担保とするローンは、特に若年層やデジタルネイティブ層から強い支持を集めていると分析されています。

こうした状況について、同社は「富裕層だけでなく、デジタル世代にとっても資産活用の手段として必然的に登場した商品である」とコメントしました。

業界関係者からは「仮想通貨担保ローンは投資家にとって融資機会を根本から変える可能性がある」との指摘も出ており、今回の動きは新たな金融インフラの転換点となる可能性が示唆されています。

オーストラリアが進める仮想通貨規制改革

オーストラリアでは、政府や規制当局による制度整備が進められており、2025年は新法施行に向けた重要な節目とされています。

ライセンス義務化など仮想通貨法案が前進

政府は現在、仮想通貨取引所やカストディ業者に対して金融サービスライセンスの取得を義務付けるとともに、最低資本要件を含む新たな規制パッケージの導入を進めています。加えて、決済用ステーブルコインも「価値保存型施設」として法制度に組み込む方針です。

ジム・チャルマーズ財務相は、2025年第3四半期までに仮想通貨規制に関する新法案の草案を公表し、パブリックコメントを経て立法プロセスへ移行する計画を明らかにしています。

2025年4月には、大手仮想通貨取引所Coinbase(コインベース)社のオーストラリア現地責任者が「規制整備の遅れが国内の起業家や投資家の足かせになっている」と指摘しました。こうした声を受け、政府は総選挙を控えたタイミングで政策対応を加速させています。

マネロン対策で仮想通貨監視を強化

一方で、仮想通貨を悪用した金融犯罪に対する監視や取り締まりも本格化しています。

7月17日、オーストラリア金融取引報告分析センター(AUSTRAC)は、仮想通貨をマネーロンダリングやテロ資金調達における「重大な脅威」と認定し、監督体制の強化に乗り出す方針を示しました。

AUSTRACのブレンダン・トーマスCEOは「今年は形式的な遵守チェックから、実質的なリスクと被害に焦点を当てた監督へと移行する年になる」とコメントし、金融業界の透明性と健全性向上に向けた方針を打ち出しています。

さらに政府は、2026年までに不動産仲介業者や法律事務所など約8万の事業者をAML(マネーロンダリング対策)法の報告対象に追加する計画を発表しました。これにより、仮想通貨を含む資金流通全体に対する監視体制が一層強化される見通しです。

こうしたマネーロンダリング対策と制度整備の両輪により、オーストラリアは仮想通貨を取り巻く金融環境の健全化と実用化の両立を本格的に推進しています。

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Source:Block Earner公式発表
サムネイル:AIによる生成画像

参照元:ニュース – 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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