
ビットコイン分野で初の二国間協力が実現
2025年7月16日、エルサルバドルとパキスタンが正式に国交を樹立し、ビットコイン(BTC)分野での協力に合意したことが明らかになりました。
パキスタンの地元メディアによると、エルサルバドルの首都サンサルバドルで、ナジブ・ブケレ大統領とパキスタンの仮想通貨担当国務大臣ビラル・ビン・サキブ氏が初めて顔を合わせたと伝えられています。
両国はビットコイン関連の取り組みに関する協力覚書(LoI)に署名し、仮想通貨分野では初となる公式な二国間協力関係が築かれることとなりました。
会談では、ビットコインや仮想通貨分野での協力が主な議題となり、ビットコインマイニング、エネルギー資源の有効活用、国家戦略としてのビットコイン準備金の創設、さらに教育分野での連携強化について意見が交わされたと報じられています。
パキスタン、戦略的BTC準備金を設立
ビットコイン外交で両国の連携強化
エルサルバドルが国際支援を表明
エルサルバドルとパキスタンの発表によれば、今回の協力関係はブケレ大統領が提唱する国際的な「ビットコイン外交(Biplomacy)」を具体化した取り組みと位置づけられています。
パキスタンのビラル・ビン・サキブ国務大臣は「エルサルバドルの大胆なビットコイン実験は世界各国の政府に大きな刺激を与えた」と評価し、この訪問が「イノベーション、包摂、そして相互学習に基づく戦略的関係の出発点だ」と語りました。
ブケレ大統領も会談を歓迎し、ビットコインを金融主権の手段として導入しようとする各国に対して、エルサルバドルとして積極的に支援する姿勢を表明しています。
パキスタン、政府主導のBTC導入が本格化
パキスタンでは現在、仮想通貨分野の規制整備に向けた取り組みが急速に進められています。
政府は仮想通貨の規制機関「PVARA(パキスタンデジタル資産規制機関)」の新設を発表するとともに、国家戦略としてビットコインを準備資産として保有する方針を示しました。
サキブ氏は5月に米国ラスベガスで開催されたカンファレンス「Bitcoin 2025」に登壇し、政府主導でビットコイン準備金を創設する方針を明らかにしています。
さらに、国内のマイニング産業を育成するため、2,000メガワットの余剰電力を優先的に割り当てる計画にも言及しました。
サキブ氏によると、パキスタン国内ではすでに1,500万〜2,000万人が仮想通貨を保有していると推定されています。こうした潜在市場を活用するため、政府は受け入れ体制の整備を本格化させています。
仮想通貨政策に対するIMFの懸念
パキスタンは2024年から2027年にかけて、約70億ドル(約1兆円)規模のIMF支援プログラムの対象となっています。
その中で、仮想通貨マイニング事業者への電力優遇措置について、国際通貨基金(IMF)は特定事業者に対する優遇が市場の公正な競争環境を損なう可能性があるとして懸念を示しています。
エルサルバドル、BTC含み益が急増
新興国で進むビットコイン準備資産政策
新興国でも仮想通貨を国家の準備資産として導入する動きが加速しており、法整備や制度構築に向けた政策が進められています。
中央アジアのカザフスタンでは2025年6月末、政府が押収した仮想通貨や国営マイニングの収益を活用し、国家仮想通貨準備金を創設するとの方針を明らかにしました。
ウクライナでも2025年6月、ビットコインなどの仮想通貨を外貨準備資産に組み入れる法案が議会に提出されました。戦時下における経済安定と将来的なデジタル経済の強化を見据えた動きとして、国際的な関心を集めています。
こうした新興国の動きは、仮想通貨が単なる投資対象から国家戦略や金融インフラの一部へと発展していることを示しており、今後の国際的な仮想通貨政策の動向に注目が集まっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=148.32 円)
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Source:パキスタン地元メディア「The News International」
サムネイル:AIによる生成画像






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