ビットコイン否定の投資大手バンガード、BTC最大保有企業ストラテジー社の筆頭株主に

ビットコイン否定派のバンガード、MSTR筆頭株主に

2025年7月14日、米資産運用大手バンガード・グループが、ビットコイン(BTC)を最も多く保有する企業として知られる米ストラテジー社(旧マイクロストラテジー)の筆頭株主となったことが明らかになりました。

ブルームバーグによると、バンガードはストラテジー社の株式を2,000万株以上保有しており、これは発行済株式の約8%に相当します。

この動きが注目される背景には、バンガードが以前からビットコインに対して否定的な姿勢を示してきた経緯があります。

同社はビットコインを「未成熟な資産クラス」と見なし、2024年には価格変動の大きさを理由に、自社プラットフォーム上での現物ETFの提供を見送っていました。

ただし、この出資はバンガードが仮想通貨を積極的に支持した結果ではなく、あくまでインデックスファンドの運用方針に基づいて自動的に組み込まれた持ち株構成の一部に過ぎないとの指摘もあります。

一方で、バンガードが大口株主となったストラテジー社は、マイケル・セイラー会長の下でビットコインを企業資産の中核に据える戦略を取っています。現在の保有量は約601,550 BTC(約704.5億ドル/約10.4兆円相当)に達しており、これは全ビットコインの供給量のおよそ2.86%に相当します。

バンガードがストラテジー社の筆頭株主となった背景

インデックス投資が生んだ保有構造

バンガードによるストラテジー社への大規模な出資は、同社が進めているパッシブ運用(指数連動型ファンド)の拡大によって生じたものとされています。

ブルームバーグによると、バンガードは指数連動ファンドへの資金流入によって運用資産を10兆ドル超にまで拡大し、S&P500に採用されている約400社で筆頭株主の地位を占めました。

ストラテジー社はS&P500の構成銘柄ではないものの、2024年12月にNasdaq100指数に採用されました。その結果、バンガードは同指数に連動するファンドを通じて、ストラテジー社の株式を大量に保有する形となっています。

バンガードの矛盾した投資姿勢に業界からの指摘

一方、バンガードは依然として、ビットコインを含む仮想通貨への投資に慎重な姿勢を維持しています。

競合する資産運用大手ブラックロックは、ビットコインETF「iShares Bitcoin Trust(IBIT)」を提供し、急速に資産を集めています。これに対してバンガードは、自社顧客にビットコイン現物ETFへの投資機会を開放しておらず、仮想通貨は長期投資に適さないとの見解を示しています。

こうしたバンガードのスタンスについては、専門家の間から「行動と主張が矛盾している」との批判も上がっています。

米投資会社バンエック(VanEck)のデジタル資産部門責任者であるマシュー・シーゲル氏は、X(旧Twitter)にて「自ら否定する資産に90億ドルを投じるのは戦略ではなく矛盾だ」と投稿し、バンガードの姿勢を批判しました。

バンガード:「ビットコインは未熟で価値がない」

しかしその一方で、ビットコイン強気派の筆頭であるMSTRの株を2,000万株も購入し、筆頭株主に。

公然と否定していた約90億ドル規模の資産にインデックス投資とは──これは戦略ではなく、もはや機関投資家の痴呆と言えるのでは?

ブルームバーグのシニアETFアナリストであるエリック・バルチュナス氏も「神様にもユーモアのセンスがある証拠だ」と皮肉を交え、今回の事例を評しました。

同氏はさらに「インデックスファンドでの運用では、好むと好まざるとに関係なく全銘柄を組み入れなければならない。その中には、個人的に好ましくない銘柄も含まれる」との見解も述べています。

否定派のJPモルガンがビットコイン取扱いを表明

ビットコインに対して懐疑的な立場を取ってきた金融機関の代表例として、米大手銀行JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOの一連の発言が業界で注目を集めました。

BTC購入サービスを顧客に提供へ

5月19日に行われたJPモルガンの年次投資家デーにて、ダイモン氏は、顧客がビットコインを購入できる新たなサービスを提供する方針を明らかにしました。

ダイモンCEOは株主に対し「JPモルガンとして皆さんがビットコインを購入できるようにするつもりだ」と語りました。一方で、同行がビットコインのカストディ(資産管理)サービスを提供する予定はないとも述べています。

この発表は、長年ビットコインに否定的な姿勢を示してきたダイモン氏による大きな方針転換と受け止められ、業界内で大きな話題となりました。

BTCに対する否定的な立場は継続

ただし、ダイモン氏自身は依然としてビットコインに否定的な見解を崩していません。

今回の対応について、ダイモン氏は「喫煙は推奨しないが吸う権利は認める」との比喩を用いて説明しました。そのうえで、ビットコインが人身売買やマネーロンダリングなどの犯罪に悪用されている現状を指摘し「支持はできない」との立場を改めて示しています。

ジェイミー・ダイモン氏はこれまで一貫してビットコインを批判しており、2017年9月には「ビットコインは詐欺だ(Bitcoin is a fraud)」と公言して自社のトレーダーがビットコインを取引していたら即座に解雇するとまで述べています。

BTCを否定し続けたダイモンCEOの決断

その後、発言の一部を撤回したものの、否定的なスタンスは変わらず、2021年には「ビットコインには価値がない」と主張するなど、長期にわたり仮想通貨に対して懐疑的な見解を示してきました。

しかし近年、市場の成長や顧客ニーズの高まりを受けて、JPモルガンは方針を転換しました。これに伴い、ダイモン氏は自身が「好まない」とするビットコインの購入を顧客に認める決断を下すに至りました。

ビットコインに否定的な立場を取ってきた大手金融機関が、次第に仮想通貨市場との距離を縮めつつあるなかで、伝統的投資機関の動向が今後の仮想通貨市場に与える影響に注目が集まっています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.60 円)

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Source:ブルームバーグ報道
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

参照元:ニュース – 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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