ヴァンエック、初のアバランチ(AVAX)現物ETFを米SECに申請|審査延期の影響は?
初のAVAX現物ETFを申請
大手資産運用会社「VanEck(ヴァンエック)」は2025年3月14日に、初となるアバランチ(AVAX)現物ETFの登録申請書をSEC(米国証券取引委員会)に提出しました。
提出された申請書(S-1)によると、この「VanEck Avalanche ETF」は、アバランチのネイティブトークンであるAVAXの価格に連動する金融商品で、同信託の運営費用を差し引いたAVAX価格のパフォーマンスを反映することを目的としています。
また、同ETFは投資家にAVAXへの直接的なエクスポージャーを提供する形で設計されており、信託は保有するAVAXの保有量を基に価値が算出されます。
なお、現時点で取引所やティッカーシンボルは明らかになっていませんが、一部のAVAX資産をステーキングして報酬を得る可能性があることも記載されています。
なぜアバランチ(AVAX)?
アバランチ(AVAX)は時価総額約80億ドル(約1兆円)とされる主要仮想通貨の1つであり、高い処理能力やイーサリアム仮想マシン(EVM)互換性を備えたブロックチェーン基盤として知られています。
同プラットフォームは既に伝統的金融分野での活用例もあり、フランクリン・テンプルトンは米国政府債券のトークン化マネーファンドをアバランチ上で展開しています。こうした実需での利用実績やエコシステムの成熟は、AVAX現物ETFの承認審査においてプラスに働く可能性があるものと見られています。
VanEckは昨年、ソラナETFの申請を行っており、ビットコイン・イーサETFに続く形で、アバランチを含む複数のアルトコイン型ETFの商品化に踏み出しています。
アバランチをもっと詳しく
アルトコインETF競争の激化
今回のアバランチETF申請は、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)以外の「アルトコイン」を対象としたETF申請が活発化する中で行われました。
資産運用大手フランクリン・テンプルトンは、2025年2月にソラナ(SOL)現物ETFの申請をしており、3月にはリップル(XRP)の現物ETFも申請しています。
さらに複数の資産運用会社がソラナやライトコイン(LTC)、ドージコイン(DOGE)など様々な仮想通貨に連動するETFを相次いで申請中となっています。
ビットコインに続き2024年7月にはイーサリアム現物ETFも解禁され、機関投資家マネーが流入したとされており、各社は「次の有望トークン」を対象とした新商品で投資家を惹きつけようとしています。
アルトコインETFの承認確率を予想
XRP・SOLのETF審査、SECが延期を決定
規制当局であるSECはこれまで仮想通貨ETFに慎重姿勢を崩しておらず、市場操作リスクや投資家保護の観点から長らく現物型ETFを拒否してきた経緯があります。
しかし直近では、政権交代に伴う規制当局のスタンスに大きな変化が見られています。SECはビットコインETFの承認以降、イーサリアム関連商品の解禁にも踏み切っており、市場では「ついにアルトコインETFにも門戸が開かれつつある」との期待感が広がっています。
ただし、SECは現在申請中のXRPやSOLのETFについて、審査期間の延長を決定し結論を5月まで先送りしている状況で、AVAX ETFの審査にも時間を要する可能性があります。
なお、延期となった理由は公表されていないものの、ブルームバーグのETFアナリストであるジェームズ・セイファート氏は「新SEC委員長のポール・アトキンス氏がまだ正式に承認されていないことが要因の1つだろう」とX(Twitter)に投稿しており、特に問題視する必要はないとの見解を示しています。
Yes, the SEC just punted on a bunch of alt coin ETF filings including Litecoin, Solana, XRP & DOGE. It's expected as this is standard procedure & Atkins hasn't even been confirmed yet. This doesn't change our (relatively high) odds of approval. Also note that the final deadlines…
— James Seyffart (@JSeyff) March 11, 2025
SECはライトコイン、ソラナ、XRP、ドージコインを含む複数のアルトコインETFの申請について判断を先送りしました。これは予想通りの展開で、通常の手続きの一環です。
さらに、ポール・アトキンス氏の承認もまだ行われていないため、特に驚くことではありません。
この延期によって承認の可能性(比較的高いと見ています)が変わるわけではありません。また、最終判断の期限は2025年10月まで残っているため、現時点では結論が出るまで時間があります。
アバランチETF承認の期待感
仮想通貨市場全体では調整局面が続いており、既にローンチ済みのビットコインETFですら直近5週間連続で資金流出超となるなど、投資マインドは慎重になっているものと見られています。
一方、J.P.モルガンの分析によればアルトコインETFの承認は潜在的に数十億ドル(数千億円)規模の新規資金流入を呼び込む可能性があるとされ、特にソラナやXRPなど既存の主要アルトコインには機関投資家の強い関心が示されています。
アバランチも承認が実現すればこうした資金流入が発生する可能性があり、仮想通貨エコシステム全体の拡大に寄与するとの期待も高まっています。
VanEckのAVAX現物ETF申請は、市場の幅広い需要に応える新たな試みとして注目されており、SECの審査結果が仮想通貨投資商品の今後の展開を左右するとして関心を集めています。
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Souce:SEC提出書類
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
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