トランプ氏、ビットコイン準備金・CBDC禁止などの大統領令に署名|内容と注目ポイントまとめ

トランプ氏、ビットコイン準備金・CBDC禁止などの大統領令に署名|内容と注目ポイントまとめ(Trump signs executive orders banning Bitcoin reserves, CBDCs, etc.)

トランプ大統領が仮想通貨関連の大統領令に署名

アメリカのドナルド・トランプ大統領は日本時間2025年1月24日に、仮想通貨業界で期待されていた「ビットコイン準備金・仮想通貨諮問委員会・中央銀行デジタル通貨(CBDC)の禁止」などに関する内容を含む大統領令に署名しました。

トランプ大統領の大統領令に関するニュースはホワイトハウスの公式サイトでも随時更新されており、暗号資産やCBDCに関する内容は「デジタル金融技術における米国のリーダーシップ確立に向けた大統領令」や「デジタル金融技術におけるアメリカのリーダーシップ強化」という記事に記されています。

なお、トランプ氏が大統領令に実際に署名している映像はYouTubeなどでも公開されていて、トランプ氏が大統領令について説明を受けながら署名する様子が公開されています。

暗号資産・デジタル資産に関する大統領令の内容

トランプ大統領が署名した仮想通貨関連の大統領令は、実際には「デジタル資産」や「デジタル金融技術」という表現を用いたものとなっており、暗号資産・デジタルトークン・ステーブルコイン中央銀行デジタル通貨(CBDC)などといったブロックチェーン技術や分散型台帳技術を用いた資産が「デジタル資産」と表現されています。

ビットコイン準備金・仮想通貨諮問委員会・中央銀行デジタル通貨(CBDC)の禁止などに関する内容は、このデジタル資産・デジタル金融技術に関する大統領令に記されていて、具体的には以下のような内容が記載されています。

仮想通貨に関する大統領令の概要

  • トランプ大統領は、デジタル金融技術に関する規制の明確化を図り、米国がデジタル資産経済の世界的リーダーとしての地位を確立するための大統領令に署名した。これによりイノベーションとすべての米国民に対する経済的機会が促進される。
  • 大統領令では、米国のデジタル金融分野におけるリーダーシップを強化することを目的とした「デジタル資産市場に関する大統領作業部会」の設立を定めている。
  • 作業部会はステーブルコインを含むデジタル資産を規定する連邦規制の枠組みを構築し、国家的な戦略的デジタル資産準備金の創設を評価する任務を負う。
  • この作業部会ではホワイトハウスAI & 暗号資産担当特別顧問が議長を務め、財務長官・SEC委員長・その他関連省庁の責任者が参加する。
  • ホワイトハウスAI & 暗号資産担当特別顧問は、連邦政府外のデジタル資産および市場分野の専門家を招き、作業部会の取り組みが広範な専門知識に基づいて進められるようにする。
  • 大統領令は、各省庁および機関に対して、デジタル資産分野に影響を及ぼす規制や措置の中で廃止または修正すべきものを特定し、作業部会に勧告するよう指示している。
  • 大統領令は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の設立・発行・促進を行ういかなる措置も省庁に禁じている。
  • 大統領令は、イノベーションを抑制して米国の経済的自由およびデジタル金融における世界的リーダーシップを弱体化させるものとなっていた前政権の「デジタル資産に関する大統領令」および「国際的なデジタル資産対応のための財務省フレームワーク」を撤廃する。
  • トランプ大統領は、米国を「地球上の暗号資産の中心地」にするという約束を実現する。
  • トランプ大統領は、前政権下での過剰な規制と厳しい執行措置によって阻害されてきた暗号資産のイノベーションを復活させ、米国をデジタル金融技術革新の中心地とする取り組みを推進する。

大統領令の目的と方針

デジタル資産業界は、米国のイノベーション・経済発展・国際的リーダーシップにおいて重要な役割を果たしているため、トランプ政権の方針として、以下の事項を通じて、デジタル資産・ブロックチェーン技術・関連技術の責任ある成長と利用を経済のすべての分野で支援する。

  • 国民および民間企業が、オープンで公共性の高いブロックチェーンネットワークにアクセスし、合法的な目的で利用する権利を保護・促進する。これには、ソフトウェアの開発や導入、マイニングやバリデーションへの参加、検閲を受けない取引、デジタル資産の自己保管が含まれる。
  • 米ドルの主権を保護・促進し、合法で正当なドル連動型ステーブルコインの開発と成長を世界的に支援する。
  • 法を遵守する個人および民間企業に対し、公平でオープンな銀行サービスへのアクセスを保護・促進する。
  • 技術中立的な規制、透明性のある意思決定、明確な規制権限の枠組みに基づく規制の明確化と確実性を提供し、デジタル経済やデジタル資産、許可不要型ブロックチェーン、分散型台帳技術におけるイノベーションを支援する。
  • 中央銀行デジタル通貨(CBDC)のリスクから米国民を保護するため、金融システムの安定性、個人のプライバシー、米国の主権を脅かすCBDCの設立・発行・流通・使用を禁止する。

デジタル資産・ブロックチェーン・CBDCの定義

今回の大統領令における「デジタル資産・ブロックチェーン・CBDC」の定義は以下の通り。

  • デジタル資産
    分散型台帳に記録された価値のデジタル表現(仮想通貨、デジタルトークン、ステーブルコインを含む)
  • ブロックチェーン
    「ネットワーク全体で共有され、参加者間で検証済みの取引や情報を記録する公共台帳を作成する。暗号技術を使用して公共台帳の整合性を維持し、その他の機能を実行する。ネットワーク参加者に自動的に分配され、公共台帳やその他の機能の状態を同時に更新する。ソースコードが公開されている。」という条件を満たす技術。
  • 中央銀行デジタル通貨(CBDC)
    国の会計単位で表されるデジタル形式の通貨または価値で、中央銀行の直接的な負債であるもの。

大統領令14067および財務省フレームワークの撤回

  • 2022年3月9日付の「デジタル資産の責任ある発展を確保するための大統領令(14067号)」を撤回する。
  • 2022年7月7日に発行された財務省の「デジタル資産に関する国際協力のフレームワーク」を直ちに撤回するよう財務長官に指示する。
  • 第14067号大統領令および財務省のフレームワークに基づいて発行されたすべての方針、指令、ガイダンスは、本命令の条項と矛盾する場合、財務長官によって撤回される。
  • 財務長官は、本命令で設定された方針の遵守を確保するために適切な措置を講じる。

デジタル資産市場に関する大統領作業部会の設立

  • 国家経済会議内に「デジタル資産市場に関する大統領作業部会(作業部会)」を設立する。
  • 作業部会ではAI & 暗号資産担当特別顧問が議長を務め、財務長官、司法長官、商務長官、国土安全保障長官、管理予算局長、大統領補佐官(国家安全保障担当)、大統領補佐官(国家経済政策担当)、大統領補佐官(科学技術担当)、国土安全保障顧問、証券取引委員会(SEC)委員長、商品先物取引委員会(CFTC)委員長の責任者またはその指名者が参加する。
  • 議長は、必要に応じて、適用される法律に従い、他の省庁や機関の長、または大統領府内の他の高官を、彼らの専門知識や責任の関連性に基づいて作業部会の会議に招待することができる。
  • 財務省・司法省・SEC・関連機関は、今回の命令から30日以内にデジタル資産分野に影響を与えるすべての規制・指針・命令・その他項目を特定し、60日以内に撤回または改訂の提案を議長に提出する必要がある。
  • 作業部会は今回の命令から180日以内に命令で確立された政策を推進するための規制および立法提案を含む報告書を大統領に提出する必要がある。
  • 作業部会は、デジタル資産(ステーブルコインを含む)の発行・運用を規制する連邦規制の枠組みを提案する必要がある。作業部会の報告書は、市場構造・監視・消費者保護・リスク管理に関する条項を考慮する必要がある。
  • 作業部会は、デジタル資産準備金の作成・維持の可能性を評価し、連邦政府が法執行活動を通じて合法的に押収した暗号資産に由来する可能性のある準備金を確立するための基準を提案する必要がある。
  • 議長は、作業部会の日常業務を調整する責任を負う事務局長を任命する必要がある。国家安全保障に影響を及ぼす問題については国家安全保障会議と協議する必要がある。
  • 作業部会は必要に応じて法律に従いながら公開ヒアリングを開催し、デジタル資産・デジタル市場のリーダーから個別の専門知識を受け取る必要がある。

中央銀行デジタル通貨(CBDC)の禁止

  • 法律で義務付けられない限り、CBDCの設立・発行・促進に関与する行為を禁止する。
  • 米国内でCBDCの計画や取り組みを即座に終了させ、それ以上の措置を禁止する。

仮想通貨に関する大統領令の注目ポイント

トランプ大統領が署名した仮想通貨関連の大統領令には、仮想通貨業界で以前から注目されていた「ビットコイン準備金・仮想通貨諮問委員会・中央銀行デジタル通貨(CBDC)の禁止・仮想通貨関連の権利保護・反仮想通貨的な既存ルールの撤廃」などの内容が含まれています。

しかし、その内容や表現には若干の違いがあり、ビットコイン準備金は「デジタル資産準備金」、仮想通貨諮問委員会は「デジタル資産市場に関する大統領作業部会」と表現されています。

デジタル資産準備金に関しては「連邦政府が法執行活動を通じて合法的に押収した暗号資産に由来する可能性のある」と記載されているため、以前から報じられていたように、米政府が押収した仮想通貨がそのまま準備金に充てられる可能性があります。

しかし、今回の大統領令には「仮想通貨の購入」に関する具体的な内容は記載されていないため、期待されていた「米政府のビットコイン大量購入」に関しては続報を待つ必要があります。

ただ、ビットコイン準備金ではなく「デジタル資産準備金」と表現されていることを考慮すると、トランプ政権で複数のアルトコインが準備金として採用される可能性もあると予想されるため、アルトコイン準備金を期待していた人にとっては朗報であるとも考えられます。

今後は今回の大統領令に基づく各機関からの報告書が提出され、具体的な政策内容が徐々に明らかにされていくことになると予想されるため、引き続きトランプ政権に関するニュースに注目です。

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執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

参照元:ニュース – 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ

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