【2025年1月】NFT市場動向|12月はブルーチップNFTが市場を牽引!
2024年最後となった12月、NFT市場は年末に向けて活発な動きを見せ、多様なプロジェクトが注目を集めました。
特に、時価総額で上位に位置するアートやコレクティブルNFTの取引高が増加傾向にあり、前月に行われた米大統領選の影響が大きいと考えられます。
本レポートでは、2024年12月のNFT市場における主要トレンドやプロジェクト動向、取引データの分析を通じて、今後の市場予測や注目ポイントを解説します。
2025年の動向をいち早くキャッチしたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
- 2024年12月におけるNFTの月間売上高は約8億8,700万ドル(前月比+58%)
Pudgy Penguinsが市場を牽引:月間取引高+616.81%、フロアプライス+144.19%
イーサリアムNFTの月間売上高は4億6,743万ドル(前月比+53.48%)、市場シェア52%超を占める
Base NFTの月間売上高は約402万ドル、前月比312.21%の増加
取引高や総取引者数などでOpenSeaに代わり、Blurが首位に浮上
AzukiやDoodlesなど11月に動きが見られなかったプロジェクトが活発化
国内では日産やNTTドコモなど大手のNFT活用が続々と誕生
BerachainやAbstractChainなど新興チェーンのNFTも注目を集める
NFT市場の概要
12月のNFT市場は11月に引き続き、大きな成長を見せました。
NFTデータアグリゲーターのCryptoSlamによると、2024年12月におけるNFTの総売上高は、約8億8,700万ドルに達しています。
この数値は同年3月以来の高値であり、前月比では約58%の増加となります。
市場参加者数(Unique SellersとUnique buyersの合計値)は約2.6%の増加、総トランザクション数(Ttotal Txns)は約2.4%の減少とほぼ横ばいの結果です。
これに対して、大きな変化を見せているのが平均売上高(Avg Sale)です。
12月の平均売上高は$170.24、前月比で約61.2%の上昇という結果になりました。
上記の結果になっている要因として考えられるのは、以下の3点です。
- 暗号資産市場の資金がNFT市場にも流入し始めた
- イーサリアム価格の上昇
- 時価総額上位を維持するイーサリアムNFTの続伸
前月に行われた米大統領選では、トランプ氏が再選を果たしたことで、暗号資産市場に大きな資金流入が見られました。この資金の一部がNFT市場にも流れ始めているものと考えられます。
加えて、12月にはイーサリアム価格が急騰し、一時は大台となる$4,000を突破しました。(1/8時点では$3,365)
このイーサリアムをベースとする、CryptoPunksやPudgy Penguinsなど時価総額で上位に位置するプロジェクトの取引量増加が大きく影響しているのでしょう。
チェーン別動向
ブロックチェーン別で見たNFTの月間売上高では、首位を走るイーサリアムが大きな伸びを見せました。
イーサリアムNFTの月間売上高は約4億6,743万ドルで53.48%の増加、全体では52%以上のシェアを占めます。この数値は2024年3月以来の記録となります。
一方、前月に大きな成長を見せたビットコインの売上高はかえって減少しています。
11月の売上高が99.86%の増加であったのに対し、12月は19.75%の減少で終わっています。
前月はビットコイン価格の急騰を受け、Ordinals市場が大きく盛り上がったものの、12月はNFTの原点と言えるイーサリアム市場に資金が集中しているように感じられます。
また、もう一つ注目すべきがBase市場の成長です。
Baseチェーンは、暗号資産取引所の大手コインベースが開発したイーサリアムのL2で、低コストかつ高速なトランザクション処理が特長です。
【関連】コインベースのブロックチェーン「Base」とは?特徴や将来性を徹底解説
12月におけるBase NFTの月間売上高は約402万ドル、全体では9位に位置しますが、前月比では312.21%という驚異の成長率です。
NFTのデータアグリゲーターであるNFTScanも、Base NFT市場の成長を取り上げていました。
#NFTScanInsights: Base NFT Market Analysis – 30 Days Activity
— NFTScan (@nftscan_com) January 7, 2025
The @base network has demonstrated substantial market traction in the NFT space, recording $24.4M in trading volume across 392,050 transactions during the past 30 days, according to data available on @nftscan_com.… pic.twitter.com/Z5DQt8Ja77
以下、上記ツイートの一部をまとめたものです。
- 過去30日間で392,050件の取引を通じて2,440万ドルの取引高を記録
- UAW(ユニークアクティブウォレット)は225,800
- 全取引の99.8%をOpenSeaが占める
- 月間取引高トップのコレクション
- Oracle Patron NFT
- Onchain Gaias
- Kemonokaki
- Truth Seeker Patron NFT
- Virtuals Waifus
- OpenSeaへの集中はマーケットプレイスの多様化の潜在的な機会を強調する
ただ、この盛り上がりに比べて、国内でBase NFTを話題にする人は少なかったように感じられます。
マーケットプレイスの動向
下記は、DApps情報提供プラットフォームとして知られるDappRadarのデータを引用したもので、NFTマーケットプレイスごとの月間データを表しています。
12月はOpenSeaに代わり、Blurが首位に躍り出ました。
Blurでの平均取引額は5,340ドルで86.16%の上昇、総取引者数は46.73%の上昇、取引高は約5億9,300万ドルで248.12%の上昇と全体的な成長を見せています。
高額NFTの取引が増加している(後述)ことを踏まえると、手数料・ガス代を抑えたいと考えた人がBlurを利用しだしたのだと考えて良いでしょう。
【関連】Blur(ブラー)とは?NFTマーケットプレイスの使い方やOpenSeaとの違いを紹介
続くOpenSeaも依然としてNFT市場で大きな存在感を放っています。
上記画像を見れば、平均取引額や総取引者数、取引高など諸々の項目で上昇していることがわかります。
OpenSeaは11月に新たなプラットフォームの公開を発表し、12月には「OpenSea Foundation」というXのアカウントにて初の投稿をするなどして話題を集めています。(下記参照)
ocean enters the chat
— OpenSea Foundation (@openseafdn) December 20, 2024
SNS上ではトークンのローンチを期待する声も多く見られるので、今後の動向にも引き続き注目していきたいところです。
主要NFTコレクションの動向
続いて、主要NFTコレクションの動向について見ていきます。
今回は上記プロジェクトの中から、下記6つの動きを見ていきます。
- CryptoPunks
- Pudgy Penguins
- Lil Pudgys
- Azuki
- Azuki Elements
- Doodles
CryptoPunks
前月のNFT市場をリードしたCryptoPunksのフロアプライスは88.27%上昇、12月2日には44ETHを突破し、同年4月以来の高値を記録しました。一方で、月間取引高は55.41%減の約2,700万ドルとなりました。
取引者数も減少していることから、長期的な目線で保有する人が多い可能性が高いと言えるでしょう。
Pudgy Penguins
これに対して、取引量の点で12月に首位に躍り出たのが、ずんぐりむっくりなペンギンことPudgy Penguinsです。
Pudgy Penguinsのフロアプライスは前月比で144.19%の上昇を見せ、15日には34.95ETHを記録。そして、月間取引高は616.81%増の約2.6億ドルでした。
これには、Pudgy Penguinsのネイティブトークンである、$PENGUが大きく影響しているものと考えられます。
$PENGUはPudgy Penguinsチームが発表した公式トークンであり、17日にBybitやBinance等の大手取引所に上場しました。
トークンの一部はエアドロップに割り当てられ、700万を超えるウォレットアドレスが対象になったことで大きな話題に。
エアドロップ実施後はフロアプライスが大きく下落したものの、依然として高水準を維持しています。
Lil Pudgys
そして、Pudgy Penguinsの姉妹コレクションであるLil Pudgysも、優れたパフォーマンスを示しています。
Lil Pudgysのフロアプライスは前月比で154.89%の上昇、月間取引高に至っては1,057.25%の増加です。
フロアプライスは一時4.9ETHと過去最高値を大幅に更新しました。
上述したPENGUトークンのエアドロップ対象には、Lil Pudgysホルダーも含まれていたことから、上記のような結果になったのではないかと考えられます。
Azuki
Azukiのフロアプライスは前月比67.03%の上昇、月間取引高は445.75%増の8,843万ドルです。
12月1日時点では、6.249ETHだったフロアプライスが、21日以降は2倍近い12.5ETH付近を推移しています。
AzukiはAzuki Elementsの発表を発端として、フロアプライスが暴落し長らく低迷していましたが、今回の上昇は暴落以前の水準に迫る勢いを見せています。
Azuki Elements
Azuki Elementsは、Azukiのセカンドコレクションです。Azukiチームから発表された新コレクションとして大きく注目されていたものの、デザインがAzukiと酷似しており、価値の希薄化を懸念したホルダーが投げ売りを行ったことでフロアプライスは暴落。Azukiと同様、長い間低迷していました。
しかし、12月に入ってからはAzukiに釣られるようにフロアプライスが急騰。一時は1.73ETHを記録し、過去最高値を上回る結果となりました。
さらに、月間取引高に関しては1,193.18%もの増加を記録しています。
Doodles
Doodlesは、ポップなデザインが特徴のコレクティブNFTです。
フロアプライスは前月比で207.58%の上昇、20日には過去最高値に迫る7.7ETHを記録しました。そして、月間取引高も265.7%もの増加を見せています。
要因として考えられるのは、下記ツイートの内容です。
DoodlesのCofounder @burnttoast がトークンの発行を匂わせてますね
— ようすけ (@nm54043665) December 23, 2024
意味ないかもですが、一応ZORAでDoodlesの作品いくつかmintしておきましたhttps://t.co/Dy7Gcqg33E https://t.co/WIFu0hlCK5 pic.twitter.com/0IqP9DC6iy
DoodlesのCo Founderがトークン発行の匂わせをしたことで、フロアプライスも上がったのではないかと考えられます。
国内のNFT市場動向
海外のNFT市場が活発化する一方で、国内はいまいち盛り上がりに欠けるように感じられます。
下記は、国内NFTの売り上げランキングサイト「NFTRanking」の月間データを引用したものです。国内発のNFTプロジェクトの中で、12月における取引量が多いコレクション順にランキング付けされています。
12月には、Shinsei GalverseとAnimeLootの2つが新たにランクインしました。
他の8プロジェクトは11月にもランクインしていたため、各項目の変動率を表にまとめてみました。(小数点第三位以下は四捨五入)
名前 | 取引量 | 取引数 | 平均価格 | 最低価格 |
Murakami Flowers Official | +195.76% | +126.4% | +162.5% | +450% |
San FranTokyo Visions | +76.96% | +3.41% | +66.67% | +600.00% |
SnpitCameraNFT | -6.32% | +144.15% | -62.50% | -50.00% |
CNP/CryptoNinja Partners | -8.12% | -1.33% | -3.85% | 0% |
San FranTokyo Genesis Pass | -9.18% | -42.40% | +66.67% | +266.67% |
NOT A HOTEL - MEMBERSHIP S | -41.23% | -33.33% | -11.84% | 0% |
MANEKINEKO Genesis | -25.28% | +138.10% | -69.05% | -16.67% |
SNIPT Mint Scroll | -53.23% | -5.02% | -50.00% | 0% |
Murakami Flowers OfficialやSanFran Tokyoなど、国内だけでなく海外人気も高いNFTプロジェクトは、全体的にプラスになっている一方、それ以外は大きな変動が見られず、むしろマイナスになっているものも多く見られます。
しかし、NFT市況の発信を行うルク氏のツイートを見ると、出来高で見た時に12月に入って少し復調しているように見られます。
【NFT関係の方・興味ある方、必見!】
— ルク|FiNANCiEなど市況発信 (@ruku_practice) January 3, 2025
2024年1月〜12月の日本のNFT市況を数字振り返り
・日本のNFTの年間の出来高ってどれぐらい?
・出来高が大きかったPJは?
・価格の状況は?
ーーー… pic.twitter.com/L9m5DrSBRw
そして、12月には下記のように、国内の大手企業によるNFT活用事例が続々と増えています。
国内ではアートやコレクティブというよりも、NFTを活用したビジネスが増えていることから、意識せずともNFTを利用するシーンが増える可能性があります。
その他NFT関連の動向・注目ニュース
ここからは、その他NFT関連で話題になったニュースや、注目トピックをご紹介します。
- ナイキ傘下のRTFKTが事業を終了
- 新興チェーンの盛り上がり
それぞれ詳しく解説します。
ナイキ傘下のRTFKTが事業を終了
ナイキ傘下のRTFKTは、2024年12月3日に事業の打ち切りをXで発表しました。
— RTFKT (@RTFKT) December 2, 2024
RTFKTは、2020年1月に立ち上げられたファッションブランドです。
フィジカルとデジタルを掛け合わせたスニーカーを軸にビジネスを展開し、村上隆氏とのコラボプロジェクト「CloneX」で注目を集めました。
RTFKTはXにて2025年1月までに、同社のWeb3サービスを段階的に終了すると発表しています。
新興チェーンの盛り上がり
12月は、以下2つの新興チェーンがSNS上で注目を集めました。
- Berachain
- AbstractChain
それぞれの特徴を詳しく説明します。
Berachain
Berachainは、EVM互換のレイヤー1ブロックチェーンです。
PoL(Proof of Liquidity)と呼ばれる独自のコンセンサスメカニズムを採用しており、こちらはPoSの問題点を解決する仕組みとして知られています。
BerachainはDeFiを中心としたプロジェクトではありますが、NFT市場でも度々話題になっています。
というのも、まず同チェーンを立ち上げたのは下記のNFTコミュニティ「Bong Bears」です。
Bong BearsはOpenSea上で取引でき、12月における高額取引された上位10点のうち、2点が同プロジェクトの作品です。
そして、Berachainのエコシステムにはすでに100を超えるコミュニティが存在しており、それぞれが独自の文化を持ちます。
中にはメンバーシップのような意味合いでNFTを発行しているコミュニティも多く見られ、将来的なエアドロップにつながる可能性があるとして、各NFTのフロアプライスも上昇しています。
実際にMagic Edenを見てみても、Berachain上で時価総額で上位10に入るNFTプロジェクトのフロアプライスは全体的に上昇基調にあることがわかります。(下記参照)
現在はテストネットを公開しており、メインネットは間も無くリリースされる予定とのことです。
AbstractChain
AbstractChainは、イーサリアムのレイヤー2ブロックチェーンです。
Pudgy Penguinsの親会社であるIglooが手がけるネットワークで、ブロックチェーン技術と消費者向けアプリケーション間のギャップを埋めることを目的として構築されました。
上述したBerachainと同様、AbstractChainもテストネットが稼働している状況で、2025年1月中にはメインんネットが公開される予定です。
NFTプロジェクト発のネットワークということもあり、NFT市場での注目度は非常に高く、様々なNFTプロジェクトがSNS上で話題になっています。(下記はLoshmi氏の投稿を引用したもの)
中には、CryptoPunksやRunestoneをオマージュして作成されたようなものも見受けられます。
マルチチェーン対応のNFTプラットフォーム「Freee.xyz」であれば、AbstractChainベースのNFTを取引できますので、興味のある方は試しにチェックしてみましょう。
2025年1月以降のNFT市場動向予測と期待、リスク要因
NFT市場は2024年11月に回復の兆しを見せたものの、12月以降も慎重に動向を見守る必要があります。以下に、今後の市場展望や期待される動き、そして潜在的なリスクを整理します。
期待される動向と展望
12月のNFT市場は、暗号資産市場の活発化やイーサリアム価格の急上昇を背景に、NFTの取引高が約8億8,700万ドルに達し、前月比で58%増加しました。これにより、2025年のNFT市場に対する期待が高まっています。
特に注目されるのは以下の3つの動向です。
1.ブルーチップNFTの成長
CryptoPunksやPudgy Penguinsといった主要コレクションは、12月に大幅な取引量増加を記録しました。これにより、投資家の関心が引き続き集中する可能性があります。
2.新興チェーンの台頭
Baseチェーンの記録的成長や、Berachain、AbstractChainといった新興チェーンの発展は、NFT市場にさらなる多様性をもたらしています。これらは低コストや独自の価値提案を武器に、2025年の市場を活性化させる要因となるでしょう。
3.国内外のNFT活用事例の増加
国内では日産やNTTドコモといった企業によるNFT活用が増えています。これにより、NFTがビジネス用途としても浸透し、一般層にも受け入れられる環境が整いつつあります。
さらに、BlurやOpenSeaの競争激化により、市場全体の取引効率が向上する可能性があります。特にBlurは、2024年12月に取引高が約5億9,300万ドルに達し、248.12%の増加を記録。トレーダー向けのプラットフォームとして、引き続き市場の成長を後押しすると考えられます。
潜在的なリスク
一方で、NFT市場には以下のような潜在的なリスクが存在します。
1.ボラティリティと短期的な過熱感
主要コレクションの価格高騰やトークンエアドロップは、短期的な過熱感を生む一方で、投機的な取引の増加を招く恐れがあります。これは、長期的な市場健全性に悪影響を与える可能性があります。
2.規制リスク
暗号資産市場と同様に、NFT市場も規制当局の注目を集めつつあります。特に、NFTを投資商品として扱う場合、法的な課題が浮上する可能性があります。
3.新興チェーンへの過度な依存
BerachainやAbstractChainのような新興チェーンは、将来的な可能性を秘めている一方で、技術的な不具合や採用の遅れが市場全体の期待値を下げるリスクがあります。
4.消費者信頼の低下
12月にナイキ傘下のRTFKTが事業終了を発表したことは、コミュニティからの信頼を損なう事例となりました。同様の動きが他のプロジェクトでも見られれば、市場にネガティブな影響を与える可能性があります。
まとめ
NFT市場は2024年末の成長を踏まえ、2025年も引き続き拡大基調を維持する可能性があります。
BlurやOpenSeaといった主要マーケットプレイス、新興チェーンのBerachainやAbstractChainが注目される中、歴史あるブルーチップNFTが市場を後押ししています。
ただし、規制や市場の集中、短期的な価格変動による影響がリスクとして浮上しており、これらの点に注視しながらNFTと関わる必要があります。
▼過去のレポート記事はこちら
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参照元:NFT Media