日本の年金基金:運用資産の多様化に向け「ビットコイン・暗号資産」などの情報提供依頼
革新的な運用戦略の調査研究に役立てる方針
日本の国民年金と厚生年金の積立金を管理・運用している公的機関である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2024年3月19日に、運用資産の多様化に向けてビットコイン(BTC)などの暗号資産を含む様々な資産の情報提供やアイデア募集を開始したことを発表しました。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は「長期的な視野から基本ポートフォリオに関する理論と革新的な運用戦略を調査研究するためのプロジェクト」を今後5年間の調査研究計画の中核として立ち上げるとのことで、今回はこの調査研究に役立てるための情報やアイデアを募集すると発表されています。
情報提供依頼が出されているのは「低流動性資産等に関する情報やアイデア」で、情報やアイデアには「学術研究、投資手法、投資技術、システム、インデックス、分析ツール」などが含まれると説明されています。
GPIFの運用資産に暗号資産が組み込まれる可能性?
GPIFは現在「国内債券、国内株式、外国債券、外国株式、不動産、インフラストラクチャー、プライベートエクイティ」を運用対象資産として考慮しているとのことで、今回はこれ以外の資産に関する情報提供が求められています。
具体的な例としては「森林、農地、金」などが挙げられていますが、この中には「暗号資産(ビットコイン等)」も含まれているため、仮想通貨業界では『GPIFが運用資産に仮想通貨やビットコインを含める可能性がある』として注目が集まっています。
なお、公式発表では「募集する内容」について以下のように説明されています。
2.募集する内容
低流動性資産等に関する情報を広く募集します。
ご提供いただきたい情報(下記項目は例示です):
- インフラストラクチャー、不動産、プライベートエクイティを含む低流動性資産等の基本的な情報(市場環境、市場規模、売買高、投資対象の種類、学術的な知見・論文に関する情報)
- インフラストラクチャー、不動産、プライベートエクイティを含む低流動性資産等の測定方法(期待リターン、リスク、パフォーマンス評価、ESG 評価に関する測定方法)
- 現在当法人が運用対象資産として考慮している資産(国内債券、国内株式、外国債券、外国株式、不動産、インフラストラクチャー、プライベートエクイティ)以外の低流動性資産等に関する基本的な情報(例えば、森林、農地、金、暗号資産(ビットコイン等)など)に関する基本的な情報、海外年金基金の投資事例・投資哲学・組織体制、機関投資家がどのようにポートフォリオへ組み込んでいるかなど)
GPIFは世界最大規模の機関投資家
今回の情報提供依頼はあくまでも調査研究の検討に役立てるためのものであり、ビットコインなどの暗号資産が運用資産に組み込まれることが確定したわけではないものの、GPIFは220兆円以上の運用資産を誇る世界最大規模の機関投資家であるため、今回のニュースは世界的に注目を集めています。
なお、募集されている情報の中には「これらの調査研究に必要となる費用の概算」や「その他GPIFが留意すべき事項など」が含まれていて、募集期間は「2024年4月19日まで」とされています。
ビットコイン(BTC)はすでに世界中の様々な場面で資産運用に役立てられており、エルサルバドルは「毎日1BTC購入戦略」を実施、アメリカ・アリゾナ州では「退職金制度の投資ポートフォリオにビットコインETFを組み込むこと」が検討されています。
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(GPIF発表)