BINANCE CEO「保有するFTXトークン(FTT)を全て売却する」と発表
大手暗号資産取引所「BINANCE(バイナンス)」のCEOであるChangpeng Zhao(チャンポン・ジャオ)氏は2022年11月7日に、同社が保有する全てのFTXトークン(FTX Token/FTT)を売却することを決定したことを明らかにしました。
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バイナンスCEO「保有するFTTを全て売却する」と発表
BINANCE(バイナンス)のCEOであるChangpeng Zhao(チャンポン・ジャオ)氏は2022年11月7日のツイートで、同社が保有する全てのFTXトークン(FTX Token/FTT)を売却することを決定したことを明らかにしました。
バイナンスは2021年にFTXの株式から撤退した際に「約21億ドル(約3,090億円)相当のBUSDとFTT」を受け取っていたとのことですが、今回の発表では『最近明らかになった事実に基づいて、帳簿上に残っているFTTを清算することを決定した』と報告されています。
なお、今回のツイートでは「市場への影響を最小限にとどめるために数ヶ月間をかけてFTTを売却していく」ということも説明されており、売却理由については「FTXが競合他社である事が理由ではない」と説明、FTXの親会社にあたる「Alameda Research(アラメダ・リサーチ)」のバランスシートの状況が要因としてあることを示唆しています。
As part of Binance’s exit from FTX equity last year, Binance received roughly $2.1 billion USD equivalent in cash (BUSD and FTT). Due to recent revelations that have came to light, we have decided to liquidate any remaining FTT on our books. 1/4
— CZ Binance (@cz_binance) November 6, 2022
昨年BINANCEがFTX株式から撤退した際に、BINANCEはおよそ21億ドル相当の現金(BUSDとFTT)を受け取りました。最近明らかになった事実により、私たちは帳簿上に残っているFTTを清算することを決定しました。
市場への影響を最小限に抑える方法で行うように努めます。市場の状況や流動性が限られているため、売却完了までに数ヶ月はかかると思われます。
BINANCEは常に業界関係者間のコラボレーションを奨励しています。これが競合他社に対する動きであるかどうかという憶測については、そうではありません。私たちの業界はまだ発展途上であり、プロジェクトが公に失敗するたびに、全てのユーザーと全てのプラットフォームに損害を与えます。
私たちは通常、トークンを長期的に保有しています。そしては私たちはこのトークンをこれだけ長く持ち続けています。和たちは自分たちの行動の透明性を保っています。
「最近明らかになった事実」とは?
今回のツイートで理由として挙げられている「最近明らかになった事実」は、今月2日にCoinDeskが報じた「Alameda Researchのバランスシートの現状」のことを指しているものと見られています。
FTXのCEOであるSam Bankman-Fried(サム・バンクマン=フリード)氏は「FTX」と「Alameda Research」の両方を所有していますが、CoinDeskが入手したAlameda Researchの非公開財務書類には『Alameda Researchは2022年6月30日時点で約146億ドル(約2.1兆円)の資産を保有していたものの、その多くはFTXによって発行されたFTXトークンであった』ということが記されていたと報告されています。
Alameda Researchの資産の中でも最大の資産は「36億6,000万ドルのロック解除されたFTT」であったとのことで、3番目に大きな割合を占める資産は「FTT担保の21億6,000万ドル」となっていた他、80億ドルの負債の中には「2億9,200万ドルのロックされたFTT」が含まれ、バランスシート上のその他の重要な資産には「2億9,200万ドルのロック解除されたSOL」「8億6,300万ドルのロックされたSOL」「SOL担保の4,100万ドル」など、Solanaブロックチェーンのネイティブトークンが多数含まれていたと報じられています。
仮想通貨企業が関連会社のトークンを保有していることは不思議なことではないものの、アラメダ・リサーチの場合は「保有資産の多くが流動性の低い関連会社トークンである(FTTは大半がFTXとAlamedaなどグループ間で取引されているとの報告あり)」という状態になっているため、業界関係者からは財務上のリスクが指摘されており、『バランスシートの構成に深刻な問題がある』といった指摘や『FTXとAlameda Researchの資金源・資金用途は不透明だ』といった意見も出ています。
Alameda側は反論「22ドルで買い取る」ともコメント
なお、Alameda ResearchのCEOであるCaroline Elliso(キャロライン・エリソン)氏は2022年11月6日のツイートで『リークされた資産はバランスシートの一部である』と説明しており、『実際には数十億ドル相当の資産が他にある』『リークされたバランスシートにはAlameda最大のロングポジションが含まれていない』『Alamedaはヘッジ資産も有している』『過去に融資を受けた分のほとんどは返却している』とも説明しています。
また、Caroline Elliso氏は「BINANCEのFTT売却」についてもコメントしており、今回のツイートを行ったChangpeng Zhao氏に対して『もしあなたがFTT売却による市場への影響を最小限に抑えたいのであれば、Alamedaは喜んで本日22ドルで全てのFTTを買い取ります』とコメント、実際にFTT価格は記事執筆時点で22ドル付近のサポートラインをキープし続けています。
@cz_binance if you're looking to minimize the market impact on your FTT sales, Alameda will happily buy it all from you today at $22!
— Caroline (@carolinecapital) November 6, 2022
2022年10月31日〜2022年11月7日 FTT/USTの1時間足チャート(画像:TradingView)
CZは「陰でロビー活動するような人は応援しない」とも発言
Changpeng Zhao(CZ)氏は7日のツイートで『FTTの清算はLUNAの一件で学んだ撤退後のリスクマネジメントに過ぎない』と説明した上で『私たちは誰に対しても反対派しないが、陰で他の業界関係者を妨げるようなロビー活動を行うような人は応援しない』ともコメントしています。
Liquidating our FTT is just post-exit risk management, learning from LUNA. We gave support before, but we won't pretend to make love after divorce. We are not against anyone. But we won't support people who lobby against other industry players behind their backs. Onwards.
— CZ Binance (@cz_binance) November 6, 2022
FTTの清算はLUNAの一件で学んだ撤退後のリスクマネジメントに過ぎません。私たちは以前までは支援していましたが、離れた後は愛し合うふりをするつもりはありません。私たちは誰に対しても反対派しませんが、陰で他の業界関係者に対するロビー活動を行うような人は応援しません。
FTX USが先月20日に公開した暗号資産資産規制草案『考えられるデジタル資産業界標準』には業界から批判の声が集まっていたため、今回の決別はこのような草案なども影響している可能性があると見られています。
また、BINANCEはここ最近で日本を含めた様々な国で本格的に事業展開するための取り組みを進めているため、一部では「そのような取り組みを妨げるようなロビー活動が行われていたこと」などを指摘する声なども出ています。
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