【取材】EVM互換の国産ブロックチェーン「Japan Open Chain」β版公開。G.U.が電通、みんなの銀行、ピクシブらと

「Japan Open Chain」β版公開

国内のブロックチェーン関連スタートアップであるG.U.テクノロジーズ(G.U.Technologies)が、イーサリアム・バーチャル・マシン(EVM)互換チェーンである「Japan Open Chain」のβ版を4月5日に公開した。

G.U.テクノロジーズはブロックチェーン技術を通じた社会課題解決を目的として2020年に設立された企業。BaaS製品やイーサリアムウォレット、ブロックチェーンビジネスに関するコンサルティングや開発支援サービスを提供している。

「Japan Open Chain」の開発背景には、現在のイーサリアムやイーサリアム互換ネットワークで問題となっている取引スピードの遅さ、手数料の高さ、51%攻撃のリスク、法的な不確実性などの解消への思いがあるとのこと。

「Japan Open Chain」は運営者ノードであるバリデータ、ノード、サーバのすべてを日本国内で運用することで、法的・技術的に安心して利用できるブロックチェーン・ネットワークを構築することを目指すという。このネットワークの共同運用者として電通、みんなの銀行、ピクシブ、京都芸術大学、コーギアが参加している。

また「Japan Open Chain」では技術安定性確保のためにクライアントソフトウェアとしてGo Ethereum(Geth)を採用しており、コンセンサスアルゴリズムには低電力かつ高速な取引を実現可能なPoAを採用している。

将来的にはバリデータを「日本で誰もが馴染みのある企業」が務めることで信頼性を担保するとのことだ。また信頼のおけるバリデータによってチェーンを管理することにより、安定した状況下でブロックチェーン・ビジネスを行うことが可能になることを目指しているようだ。

現在はベータ版のため参加者を制限しているが、今後は国内外問わず誰でも利用できるようになる予定とのことだ。

なお「Japan Open Chain」を開発するG.U.Technologiesは、今年3月にコーラルキャピタル(Coral Capital)と自然キャピタル合同会社から2億6000万円の資金調達を実施している。

G.U.Technologies 代表取締役 近藤秀和氏へ取材

「あたらしい経済」編集部はG.U.Technologies株式会社代表取締役の近藤秀和氏へ取材を行なった。

−−なぜ「Japan Open Chain」を開発、運用しようと考えたのでしょうか?

イーサリアムメインチェーンは世界中で数万台のノードサーバが稼働するPoW方式の特性上、スピードが平均15tps(Transaction per second)と遅く、電力消費量などの環境負荷も高く、さらに手数料も高騰していることから、1回のプログラム実行に数千円から場合によっては数十万円単位のコストがかかってしまう状況となっています。

これの解決のために近年イーサリアム互換チェーン(EVMチェーン)へ急速に世界中で注目が集まっており、既にいくつかのチェーンは実験的に世界で稼働し始めています。

しかしながら、日本の法律上違法な組織が運営していたり、コミュニティが小さいのにPoSを採用していたり(51%Attack等のリスクがある)、独自ソフトウェアを利用しているため十分なソフトウェア監査がされていないなど、それぞれにおいて技術・法的にまだまだ問題点が多く、本格的なビジネス利用においては問題が多いです。

そして誰もがノード参加できるPoWやPoSなどのオープン・ノード・サーバ型チェーン(パーミッションレス型チェーン)にも法的問題が多いです。

たとえば世界中でノードが運用されるオープンノード型のチェーンを利用することは、書き込むデータによってはEUや中国など各国のデータ保護に関する法律違反になる可能性が高いですが、それを止める術はありません。

さらに経済制裁などで特定国への資産送金が禁止されるような状況においては、オープン・ノード・サーバ型チェーンでは対処が難しく、そのチェーンの上で金融商品をつくることは将来法律面、事務面において大きなリスクを負う可能性が高いです。

イーサリアム上で発行されるトークンについても、暗号資産に関してはルールが策定されてきたものの、NFTやセキュリティ・トークンなどの法律や税制については、まだ米国をはじめとする世界各国の金融当局の整理がこれから発展的に進む見通しであるため、ビジネス利用がしにくいです。

例えばNFTは米国では証券と分類される可能性もあり、安易に世界中につながるチェーンでNFTを発行することは、各国法において将来的に法律・事務面において大きなリスクを生む可能性があります。 これらを解決するために「Japan Open Chain」を開発・運用していく形になります。

−−「Japan Open Chain」の展望について教えていただけますでしょうか?

まずは技術的・法的に、日本のみならず世界中から安心・安全に利用できるチェーンにしていきたいと考えております。その上で、なるべくオープンなNFT基盤やステーブルコイン実験などを通じて、実際に個人の創造性を生かしたプロダクトはもちろん、法人でも安心して利用できる環境を整えていきたいと考えております。

すでに各社の実証実験がこれから開始していくことになっておりますが、定期的に勉強会なども開いていきたいと考えておりますので、チェーン参加希望の方はどんどんご連絡いただければ幸いです。

関連ニュース

G.U.テクノロジーズ、Coral Capitalや自然キャピタルから2.6億円調達

ビットフライヤー創業者の加納裕三氏ホワイトナイト募集、投資ファンドの買収報道受け

イーサリアムL2開発Optimism、Paradigmやa16zから約178億円調達

プロ野球独立リーグ「ルートインBCリーグ」がFiNANCiEでクラブトークン発行

アスター(ASTR)、Crypto. comに上場

 

images:iStocks/young84・metamorworks

参照元:ニュース – あたらしい経済

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です