世界最大の暗号通貨取引所バイナンス(Binance)の6月の動向
本コラムでは世界最大の暗号資産取引所であるバイナンス(Binance)の6月の動向を概観します。バイナンスは2017年に創業して、その後、短期間で現物の取引高でトップの取引所に躍り出て、執筆時点までその地位を維持している世界最大の取引所です。ローンチしてからほとんど毎月のように競合他社以上に数多くのアップデートを行い、目覚ましく進化する同社の直近の状況をキャッチアップしましょう。
バイナンスの取引エンジンがアップデート
This is the largest upgrade to date. We switched the matching engine to a new programming language (and re-wrote all code from scratch, as required). That's as big an upgrade as you can get. 2 years in the making, all for faster performance. Readying for the next wave… #BUIDL
— CZ Binance (@cz_binance) June 28, 2020
基盤となる取引マッチングエンジンの過去最大級のアップデートを実施。エンジン自体は10~100倍程度のスケーリングが可能になったと最高経営責任者(CEO)のCZは主張しています。
取引所ビジネスは基本的にポジティブフィードバックを生み出せるビジネスで、流動性が流動性を生みますが、その際に注意すべきなのはハッキング被害とシステムダウンです。日本の取引所のいくつかがハッキング被害にあった結果、長らくの停滞を余儀なくされたことは記憶に新しいですが、最近出来高が急落しているビットメックス(BitMEX)も相場変動時のシステムダウンとそれに伴う清算の連鎖でユーザー離れを引き起こしています。
バイナンスはシステムのセキュリティ、ユーザーへの補償、システムの改善の点で盤石といえ、当面のあいだ規制当局からの強い圧力でもない限りは最強の取引所であり続けることを予感させます。
バイナンスにとってのリスクは、当局からの規制圧力によりオフショアからオンショアビジネスへの切り替えを強制されること、そして中国国内でのポジションを活かしたビジネス展開を行うHuobiやOKExと中国人マネーの推進力が組み合わさりバイナンスを上回るだけのポジティブフィードバックが生まれるケースです。
バイナンスがイギリスに取引所を開設
バイナンスはイギリス以外にもジャージー島とアメリカで展開しています。いずれも本家バイナンスに比べると出来高は1%程度です。ちなみに英国でのビジネス展開は英金融行動監視機構の監督の元行われる予定です。
COMPを取扱開始
DeFiのレンディングプロトコルであるコンパウンド(Compound)の独自トークン「COMP」の取扱を開始しました。バイナンスにしてはDeFi関連銘柄を上場させるスピードが異様に早く、その他の取引所でも続々と取り扱いが始まっている点に異変を感じます。Compoundについては下記コラムから参照できます。
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いかがだったでしょうか?バイナンスは他にも「Binance Smart Chain」など独自ブロックチェーンの大型ローンチも控えています。未だ、同社は今後の展開が見逃せない取引所となっています。
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参照元:CoinChoice