トランプ氏が失脚してもしなくてもドル安は 続かず。大統領辞任なら大幅なドル高に!
■ドルインデックス全幅戻しでトランプ・ラリー終焉! トランプ米大統領が弾劾されるかもしれない、といったリスクの浮上で市場は混乱している。一昨日(5月17日)の米国株の急落とともに、米ドル全体は続落、円は大きく買い戻され、昨日(5月18日)いくぶん緩和されたものの、米ドル全体の弱気変動が続く。
NYダウ 4時間足(出所:Bloomberg)
世界の通貨VS円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)
ドルインデックスでみると、一昨日(5月17日)、97.33まで下落、昨年(2016年)11月9日(水)終値の97.58と照らして考えると、ある状況がしっかり確認されたことがわかる。すなわち、「トランプ・ラリー」の「全幅戻し」だ。
ドルインデックス 4時間足(出所:Bloomberg)
トランプ氏が大統領に当選したのは2016年11月9日(水)であり、当日の金融市場が非常に高い変動率をもって反転したことは、記憶に新しい。
ここまで下落してくると、少なくとも為替市場における「トランプ・ラリー」の終焉を意味する。「トランプ・ラリー」はもはや過去のものだから、米ドル安が続くのでは…とウォール街の大手投資銀行を含め、多くの市場関係者たちは米ドル安のシナリオに傾き始めている。
ユーロ/米ドルの見通しに関して、ちょっと前に「パリティ、パリティ」と連呼した者が一転して1.15ドルや1.17ドルへの上昇を予測し、「君子豹変」ぶりをうかがわせる。
■「トランプ・ラリー終焉」と「米ドル高基調終焉」は別物! はたして、そうなるのだろうか。
市場の行方は誰も事前に断定できないが、為替市場が大きな分岐点に差し掛かっていることは確かだ。
仮に米ドル全面安のトレンドがこれからも続くなら、足元で確認すべき前提条件があると思う。言い換えれば、この前提条件を確認できていないうちに、米ドル高の終焉を認定するのは性急であり、また、リスキーな判断だと思う。
それはほかならぬ、記憶に新しいあの「トランプ・ラリー」が始まった2016年11月9日(水)の値動きだ。
ユーロ/米ドルでいえば、当日1.1299ドルまで一時急伸し、そのあと1.0906ドルまで急落したほどの逆転相場であり、波乱相場だったので、「トランプ・ラリー」が終焉したとはいえ、本格的な米ドル安相場の到来は、やはり、当日高値1.1299ドルの更新が前提条件になるのではないだろうか
ユーロ/米ドル 日足(出所:Bloomberg)
逆説的になるが、今はトランプ氏の辞任があり得るかも…といった「トランプ・ショック」の真っ只中だから、もし、米ドル安トレンドが本物なら、ユーロ/米ドルは当日の高値を突破していくのも当然の成り行きだと思われる。
だからこそ、ドルインデックスの当日安値(2016年11月9日安値95.89)割れの有無を確認してから、米ドル高の終焉を判断しても遅くないと思う上に、この安値を割り込まない限り、米ドル高基調の終焉は認定できないとみる。
ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)
「トランプ・ラリー」が終焉したとはいえ、米ドル高基調が終焉したとは限らないので、このあたりを区別することが重要であると思う。
もっとも、「トランプ・ラリー」は行きすぎていた、だからこそ、それに対する反動も大きかった。しかし、その反動自体も最終段階にある疑いが大きく、今「トランプ・ショック」と騒がれているからこそ、そろそろ米ドル全体が底打ちするタイミングが近いのではないかと思う。
■トランプ氏が辞任となれば当選時と同じ値動きに!? なにしろ、今回の騒動が仮にトランプ氏の弾劾、あるいは辞任で収束するとすれば、それこそ米共和党の「思うツボ」だと思われる。
トランプ氏は共和党から出馬していたが、そもそも商人出身で政治人脈が薄く、また、選挙当初から党内での軋轢が続いていた。言ってみれば、共和党には「勝てる人物」がいなかったから、共和党はトランプ氏を支持していたのだ。トランプ氏があらゆる意味合いにおいて伝統的な「共和党人」でなかったこと、また、いわゆる「政治家」でなかったことは、今となってはもはや周知の事実だ。
トランプ氏が辞任すれば、副大統領のマイク・ペンス氏、あるいは下院議員のポール・ライアン氏の大統領就任が想定されるが、両氏はともにベテランの政治家である。よって、米両院を支配する共和党にとっては、「異人・怪人」で「問題児」とされるトランプ氏を外してもらった方が政策推進しやすい、というメリットが大きいと言える。
だから、トランプ氏が弾劾され、また辞任となれば、マーケットの反応は2016年11月9日(水)と同じく、最初は米ドル売りが進み、その後、すぐ逆転し、大幅な米ドル高になるのではないかと推測される。
ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)
言ってみれば、トランプ氏の辞任があっても米国が困ることはほとんどなく、政策推進しやすく、また、米国内における政治対立を緩和するのにむしろ好都合だから、市場はそれを好感し、米ドル高・株高につながると推測される。
場合によっては、氏の辞任があっても米ドル売りになるタイミングさえなく、一気に米ドル高の局面となることもあり得る。
逆にトランプ氏がこの困難な局面を乗り越えれば…
NYダウ 4時間足(出所:Bloomberg)
世界の通貨VS円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)
ドルインデックスでみると、一昨日(5月17日)、97.33まで下落、昨年(2016年)11月9日(水)終値の97.58と照らして考えると、ある状況がしっかり確認されたことがわかる。すなわち、「トランプ・ラリー」の「全幅戻し」だ。
ドルインデックス 4時間足(出所:Bloomberg)
トランプ氏が大統領に当選したのは2016年11月9日(水)であり、当日の金融市場が非常に高い変動率をもって反転したことは、記憶に新しい。
ここまで下落してくると、少なくとも為替市場における「トランプ・ラリー」の終焉を意味する。「トランプ・ラリー」はもはや過去のものだから、米ドル安が続くのでは…とウォール街の大手投資銀行を含め、多くの市場関係者たちは米ドル安のシナリオに傾き始めている。
ユーロ/米ドルの見通しに関して、ちょっと前に「パリティ、パリティ」と連呼した者が一転して1.15ドルや1.17ドルへの上昇を予測し、「君子豹変」ぶりをうかがわせる。
■「トランプ・ラリー終焉」と「米ドル高基調終焉」は別物! はたして、そうなるのだろうか。
市場の行方は誰も事前に断定できないが、為替市場が大きな分岐点に差し掛かっていることは確かだ。
仮に米ドル全面安のトレンドがこれからも続くなら、足元で確認すべき前提条件があると思う。言い換えれば、この前提条件を確認できていないうちに、米ドル高の終焉を認定するのは性急であり、また、リスキーな判断だと思う。
それはほかならぬ、記憶に新しいあの「トランプ・ラリー」が始まった2016年11月9日(水)の値動きだ。
ユーロ/米ドルでいえば、当日1.1299ドルまで一時急伸し、そのあと1.0906ドルまで急落したほどの逆転相場であり、波乱相場だったので、「トランプ・ラリー」が終焉したとはいえ、本格的な米ドル安相場の到来は、やはり、当日高値1.1299ドルの更新が前提条件になるのではないだろうか
ユーロ/米ドル 日足(出所:Bloomberg)
逆説的になるが、今はトランプ氏の辞任があり得るかも…といった「トランプ・ショック」の真っ只中だから、もし、米ドル安トレンドが本物なら、ユーロ/米ドルは当日の高値を突破していくのも当然の成り行きだと思われる。
だからこそ、ドルインデックスの当日安値(2016年11月9日安値95.89)割れの有無を確認してから、米ドル高の終焉を判断しても遅くないと思う上に、この安値を割り込まない限り、米ドル高基調の終焉は認定できないとみる。
ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)
「トランプ・ラリー」が終焉したとはいえ、米ドル高基調が終焉したとは限らないので、このあたりを区別することが重要であると思う。
もっとも、「トランプ・ラリー」は行きすぎていた、だからこそ、それに対する反動も大きかった。しかし、その反動自体も最終段階にある疑いが大きく、今「トランプ・ショック」と騒がれているからこそ、そろそろ米ドル全体が底打ちするタイミングが近いのではないかと思う。
■トランプ氏が辞任となれば当選時と同じ値動きに!? なにしろ、今回の騒動が仮にトランプ氏の弾劾、あるいは辞任で収束するとすれば、それこそ米共和党の「思うツボ」だと思われる。
トランプ氏は共和党から出馬していたが、そもそも商人出身で政治人脈が薄く、また、選挙当初から党内での軋轢が続いていた。言ってみれば、共和党には「勝てる人物」がいなかったから、共和党はトランプ氏を支持していたのだ。トランプ氏があらゆる意味合いにおいて伝統的な「共和党人」でなかったこと、また、いわゆる「政治家」でなかったことは、今となってはもはや周知の事実だ。
トランプ氏が辞任すれば、副大統領のマイク・ペンス氏、あるいは下院議員のポール・ライアン氏の大統領就任が想定されるが、両氏はともにベテランの政治家である。よって、米両院を支配する共和党にとっては、「異人・怪人」で「問題児」とされるトランプ氏を外してもらった方が政策推進しやすい、というメリットが大きいと言える。
だから、トランプ氏が弾劾され、また辞任となれば、マーケットの反応は2016年11月9日(水)と同じく、最初は米ドル売りが進み、その後、すぐ逆転し、大幅な米ドル高になるのではないかと推測される。
ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)
言ってみれば、トランプ氏の辞任があっても米国が困ることはほとんどなく、政策推進しやすく、また、米国内における政治対立を緩和するのにむしろ好都合だから、市場はそれを好感し、米ドル高・株高につながると推測される。
場合によっては、氏の辞任があっても米ドル売りになるタイミングさえなく、一気に米ドル高の局面となることもあり得る。
逆にトランプ氏がこの困難な局面を乗り越えれば…