陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

ビットコインバブルが弾けて米ドルは底打ち!? 複数サイン点灯、確証は今晩雇用統計後! ブログ

ビットコインバブルが弾けて米ドルは底打ち!? 複数サイン点灯、確証は今晩雇用統計後!

■米ドル安一服の気配、底打ちのサインも点灯! 米ドル安一服の気配が出ている。

 ジャクソンホール会議で米ドル安が一段と進み、今週火曜(8月29日)の朝、北朝鮮のミサイル発射でピークに達したが、当日反転してきた。ドルインデックスも米ドル/円も、まだ初歩的な段階にすぎないが、底打ちのサインが点灯していることは見逃せない。

ドルインデックス 4時間足(出所:Bloomberg)

米ドル/円 4時間足(出所:Bloomberg)

 実際、8月29日(火)の北朝鮮の挑発は、まったく想定されなかったサプライズではなかったものの、日本上空(と言っても宇宙空間)を通過し、事前通告なしだったのは19年ぶりの出来事でもあったので、やはり、それなりのショックをもたらした。

 いつもの反応パターンである「有事の円買い」、そして、最近の反応パターンである「有事の米ドル売り」が見られたのも自然の成り行きと思われ、さらにこれが進んでいくだろうと思われた。

 ゆえに、8月29日(火)当日、米ドル/円は8月安値を再更新してから一転して大幅反騰、また、ユーロ/米ドルは高値更新してから一転陰線で引けたことが、多くの市場参加者にとってややサプライズであったのではないかと思う。

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

ユーロ/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)

 筆者は8月29日(火)当日、ユーロの頭打ち、すなわち米ドル全体下げ一服の可能性を警戒していた。8月29日(火)18時に配信したレポートの一部は以下のような内容だった。

ユーロ/ドルは1.2関門を乗せ、ブルトレンドの一段高を示唆している。ユーロの強気一辺倒、ドル全体の弱気一辺倒を意味しているが、ドルインデックスの日足を見る限り、強気ダイバージェンスのサインが煮詰まりつつあることが分かる。

言ってみれば、年初来ドル全体の下落はすでに最終段階におり、対応してユーロ/ドルの上昇も最終段階に入っている。従って、ユーロ/ドルのオーバーボート、またRSIが示している弱気「ダイバージェンス」の築が「ホンモノ」のサインとなり、これからユーロの上値余地を限定しよう。

実際、目先の高値トライがすでに上値ターゲットを達成したか、上値ターゲットに近づいている。1.2077は目先の上限、更なる高値トライがあっても、またオーバーボートの極みで1.2160までの「行き過ぎ」も考えられるが、調整なしの直進はなかろう。いずれにせよ、強気一辺倒の目下だからこそ、頭打ちの可能性を警戒しておきたい。

 8月29日(火)当日、ユーロ/米ドルの高値は17時過ぎに付けた1.2070ドルだった。その後反落し、「塔婆」風陰線を引き、そして8月30日(水)は続落した。

ユーロ/米ドル 日足(クリックで拡大)(出所:FXブロードネット)

 8月28日(月)から「宵の明星」を形成していたのは、上のチャートに示したとおりだ。RSIのダイバージェンスのサインが点灯し、やっと効いてきたといえる。

■米ドル底打ちを見込んでいた、いくつかの判断基準 ところで、時間の制限で当日のレポートに書き尽くせなかったことも多かった。詰まるところ、オシレーター系指標のダイバージェンスのサインが煮詰まりつつあるからと言って必ず効いてくるとは限らないから、当然のように、判断の基準はそれだけではなかった。

 ユーロ/米ドルの頭打ち、すなわちドルインデックスの底打ちを見込んでいたポイントは、以下に挙げたようにいくつかあり、また、そちらの方がより重要であった。

 まず、ユーロ/米ドルのロングポジションは過大に積み上げられ、直近のCFTC(米商品先物取引委員会)統計では6年ぶりの水準に膨らんでいたこと。

 次に、ジャクソンホール会議で欧米とも金融政策に関する示唆がなかったものの、ユーロは惰性的に買われていたこと。

 最後に、地政学リスクの浮上で、行きすぎた市況が一段と増していたこと、である。

 言い換えれば、北朝鮮のミサイル発射はサプライズだったとはいえ、その効果を最大限に織り込み、行きすぎの上にさらに行きすぎていたのが当日(8月29日)の市況だったので、いったん修正される公算もかなり高かった。ドルインデックスがほぼ一本調子の下落で、一時、2016年安値を割り込んでいたことも大きなサインであった。

 ここで強調したいのはジャクソンホール会議中、また、その後の米ドル売りの進行だ。前述のように、これは理由のない惰性的な米ドル売りなので、トレンド進行の強さが示された一方、トレンドの行きすぎ、また、クライマックスに近いことを示唆するサインであった。

 よって、地政学リスクの浮上でトレンドをさらに押し進めていく市況自体がクライマックスであり、そのため偏ったポジションの利益確定につながったわけだ。

 米ドル/円の状況は、ユーロ/米ドルほどではないとしても…
ビットコインバブルが弾けて米ドルは底打ち!? 複数サイン点灯、確証は今晩雇用統計後! ブログ

ビットコインバブルが弾けて米ドルは底打ち!? 複数サイン点灯、確証は今晩雇用統計後!

■米ドル安一服の気配、底打ちのサインも点灯! 米ドル安一服の気配が出ている。

 ジャクソンホール会議で米ドル安が一段と進み、今週火曜(8月29日)の朝、北朝鮮のミサイル発射でピークに達したが、当日反転してきた。ドルインデックスも米ドル/円も、まだ初歩的な段階にすぎないが、底打ちのサインが点灯していることは見逃せない。

ドルインデックス 4時間足(出所:Bloomberg)

米ドル/円 4時間足(出所:Bloomberg)

 実際、8月29日(火)の北朝鮮の挑発は、まったく想定されなかったサプライズではなかったものの、日本上空(と言っても宇宙空間)を通過し、事前通告なしだったのは19年ぶりの出来事でもあったので、やはり、それなりのショックをもたらした。

 いつもの反応パターンである「有事の円買い」、そして、最近の反応パターンである「有事の米ドル売り」が見られたのも自然の成り行きと思われ、さらにこれが進んでいくだろうと思われた。

 ゆえに、8月29日(火)当日、米ドル/円は8月安値を再更新してから一転して大幅反騰、また、ユーロ/米ドルは高値更新してから一転陰線で引けたことが、多くの市場参加者にとってややサプライズであったのではないかと思う。

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

ユーロ/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)

 筆者は8月29日(火)当日、ユーロの頭打ち、すなわち米ドル全体下げ一服の可能性を警戒していた。8月29日(火)18時に配信したレポートの一部は以下のような内容だった。

ユーロ/ドルは1.2関門を乗せ、ブルトレンドの一段高を示唆している。ユーロの強気一辺倒、ドル全体の弱気一辺倒を意味しているが、ドルインデックスの日足を見る限り、強気ダイバージェンスのサインが煮詰まりつつあることが分かる。

言ってみれば、年初来ドル全体の下落はすでに最終段階におり、対応してユーロ/ドルの上昇も最終段階に入っている。従って、ユーロ/ドルのオーバーボート、またRSIが示している弱気「ダイバージェンス」の築が「ホンモノ」のサインとなり、これからユーロの上値余地を限定しよう。

実際、目先の高値トライがすでに上値ターゲットを達成したか、上値ターゲットに近づいている。1.2077は目先の上限、更なる高値トライがあっても、またオーバーボートの極みで1.2160までの「行き過ぎ」も考えられるが、調整なしの直進はなかろう。いずれにせよ、強気一辺倒の目下だからこそ、頭打ちの可能性を警戒しておきたい。

 8月29日(火)当日、ユーロ/米ドルの高値は17時過ぎに付けた1.2070ドルだった。その後反落し、「塔婆」風陰線を引き、そして8月30日(水)は続落した。

ユーロ/米ドル 日足(クリックで拡大)(出所:FXブロードネット)

 8月28日(月)から「宵の明星」を形成していたのは、上のチャートに示したとおりだ。RSIのダイバージェンスのサインが点灯し、やっと効いてきたといえる。

■米ドル底打ちを見込んでいた、いくつかの判断基準 ところで、時間の制限で当日のレポートに書き尽くせなかったことも多かった。詰まるところ、オシレーター系指標のダイバージェンスのサインが煮詰まりつつあるからと言って必ず効いてくるとは限らないから、当然のように、判断の基準はそれだけではなかった。

 ユーロ/米ドルの頭打ち、すなわちドルインデックスの底打ちを見込んでいたポイントは、以下に挙げたようにいくつかあり、また、そちらの方がより重要であった。

 まず、ユーロ/米ドルのロングポジションは過大に積み上げられ、直近のCFTC(米商品先物取引委員会)統計では6年ぶりの水準に膨らんでいたこと。

 次に、ジャクソンホール会議で欧米とも金融政策に関する示唆がなかったものの、ユーロは惰性的に買われていたこと。

 最後に、地政学リスクの浮上で、行きすぎた市況が一段と増していたこと、である。

 言い換えれば、北朝鮮のミサイル発射はサプライズだったとはいえ、その効果を最大限に織り込み、行きすぎの上にさらに行きすぎていたのが当日(8月29日)の市況だったので、いったん修正される公算もかなり高かった。ドルインデックスがほぼ一本調子の下落で、一時、2016年安値を割り込んでいたことも大きなサインであった。

 ここで強調したいのはジャクソンホール会議中、また、その後の米ドル売りの進行だ。前述のように、これは理由のない惰性的な米ドル売りなので、トレンド進行の強さが示された一方、トレンドの行きすぎ、また、クライマックスに近いことを示唆するサインであった。

 よって、地政学リスクの浮上でトレンドをさらに押し進めていく市況自体がクライマックスであり、そのため偏ったポジションの利益確定につながったわけだ。

 米ドル/円の状況は、ユーロ/米ドルほどではないとしても…
ドラギ総裁が3年ぶりにジャクソンホールへ。 その意味は?あえて賭ければドル安一服に! ブログ

ドラギ総裁が3年ぶりにジャクソンホールへ。 その意味は?あえて賭ければドル安一服に!

■ジャクソンホール待ちで市場は総じて保ち合い 夏バテというか、ジャクソンホール会議(年次経済シンポジウム)待ちなので、マーケットは総じて保ち合いの基調を保ち、静かな値動きを繰り返している。

 ユーロ/米ドルは高値圏、米ドル/円は安値圏をそれぞれキープしており、イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長やドラギECB(欧州中央銀行)総裁の講演待ち、という気配を市場関係者なら誰でも無視できないから、事前に無闇な仕掛けもなさそうだ。

(※編集部注:ジャクソンホール会議でのイエレンFRB議長の講演は日本時間で8月25日(金)23時から、ドラギECB総裁の講演は日本時間で8月26日(土)早朝4時からある)

【参考記事】

●8月25日(金)■『ジャクソンホール会議での[米)イエレンFRB議長の発言]及び[欧)ドラギECB総裁の発言]』と『主要な株式市場&米国の長期金利&原油価格の動向』、そして『注目度の高い米国の経済指標の発表』に注目!(羊飼い)

米ドル/円 4時間足 

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足) 

ユーロ/米ドル 4時間足 

 (リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足) 

■ドラギECB総裁の3年ぶりの参加に大注目の理由は? ドラギECB総裁の講演がより注目される。

 なにしろ、ECBの政策転換(正常化)に関する示唆の有無が市場の関心事である上、氏は3年ぶりのジャクソンホール経済シンポジウム参加であり、また、講演時間はイエレン氏の倍を予定(イエレン女史は30分程度、ドラギ氏は1時間の予定)しているだけに、何か大きな示唆を与えてくれるのでは…と市場関係者たちは固唾をのんで見守っている状態だ。

 というのも、2014年にドラギ氏は同じくジャクソンホールにてQE(量的緩和)政策を示唆し、翌年(2015年)、ECBが量的緩和を開始した経緯があった。だから、QE政策終了の発表があるならば、今回のジャクソンホールがぴったりの場所では…と思われるのだ。

 もちろん、「3年ぶり」ということは、前回の参加が2014年ということを意味する。ドラギ総裁のジャクソンホール訪問はただの講演で終わらない、という思惑があるのもそこがミソである。

 

前回(2014年)参加時に、QE政策を示唆したドラギECB総裁。そこから今回のジャクソンホール訪問は、ただの講演で終わらないのでは…という思惑を持たれている (C)Bloomberg/Getty Images

■イエレン・ドラギ両氏の行動に対する予測は3パターン 実際、WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)紙はこのようなロジックを展開して、ドラギ氏の講演を重視し、ドラギ氏による政策正常化宣言を予想している。

 反面、ロイターはイエレン氏もドラギ氏も大したヒントをくれず、平穏な講演を予想しているから、どちらもあり得る。

 ところで、最近第三の見方も浮上してきた。すなわち、ドラギ氏は慎重に政策を推進していくから、政策転換について言わず、ユーロ高を牽制してくる可能性がある。逆にイエレン氏の任期は来年(2018年)1月までなので、大胆な発言ができるのでは…といった予想だ。

任期が来年(2018年)1月までのイエレンFRB総裁は、大胆な発言ができるのではないかといった予想も出ている (C) Bloomberg/Getty Images

 イエレン氏の大胆な発言とは何か?と聞かれれば、利上げを正常化する発言になる可能性が高いから、それは米ドルを押し上げる材料になりそうだという。

 いずれにせよ、以上の見方はすべて推測、あるいは思惑にすぎないから、FRBやECBトップの話を聞かないとわからない、というのが実情だ。

 ちなみに今回、黒田日銀総裁もジャクソンホール会議に参加するが、講演の予定がないので、心配の余地はない上、仮に講演の予定があっても従来の主張を繰り返すと予想されやすいから、サプライズにはならないだろう。

 となると、足元の相場は完全にと言っていいほど…
ドラギ総裁が3年ぶりにジャクソンホールへ。 その意味は?あえて賭ければドル安一服に! ブログ

ドラギ総裁が3年ぶりにジャクソンホールへ。 その意味は?あえて賭ければドル安一服に!

■ジャクソンホール待ちで市場は総じて保ち合い 夏バテというか、ジャクソンホール会議(年次経済シンポジウム)待ちなので、マーケットは総じて保ち合いの基調を保ち、静かな値動きを繰り返している。

 ユーロ/米ドルは高値圏、米ドル/円は安値圏をそれぞれキープしており、イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長やドラギECB(欧州中央銀行)総裁の講演待ち、という気配を市場関係者なら誰でも無視できないから、事前に無闇な仕掛けもなさそうだ。

(※編集部注:ジャクソンホール会議でのイエレンFRB議長の講演は日本時間で8月25日(金)23時から、ドラギECB総裁の講演は日本時間で8月26日(土)早朝4時からある)

【参考記事】

●8月25日(金)■『ジャクソンホール会議での[米)イエレンFRB議長の発言]及び[欧)ドラギECB総裁の発言]』と『主要な株式市場&米国の長期金利&原油価格の動向』、そして『注目度の高い米国の経済指標の発表』に注目!(羊飼い)

米ドル/円 4時間足 

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足) 

ユーロ/米ドル 4時間足 

 (リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足) 

■ドラギECB総裁の3年ぶりの参加に大注目の理由は? ドラギECB総裁の講演がより注目される。

 なにしろ、ECBの政策転換(正常化)に関する示唆の有無が市場の関心事である上、氏は3年ぶりのジャクソンホール経済シンポジウム参加であり、また、講演時間はイエレン氏の倍を予定(イエレン女史は30分程度、ドラギ氏は1時間の予定)しているだけに、何か大きな示唆を与えてくれるのでは…と市場関係者たちは固唾をのんで見守っている状態だ。

 というのも、2014年にドラギ氏は同じくジャクソンホールにてQE(量的緩和)政策を示唆し、翌年(2015年)、ECBが量的緩和を開始した経緯があった。だから、QE政策終了の発表があるならば、今回のジャクソンホールがぴったりの場所では…と思われるのだ。

 もちろん、「3年ぶり」ということは、前回の参加が2014年ということを意味する。ドラギ総裁のジャクソンホール訪問はただの講演で終わらない、という思惑があるのもそこがミソである。

 

前回(2014年)参加時に、QE政策を示唆したドラギECB総裁。そこから今回のジャクソンホール訪問は、ただの講演で終わらないのでは…という思惑を持たれている (C)Bloomberg/Getty Images

■イエレン・ドラギ両氏の行動に対する予測は3パターン 実際、WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)紙はこのようなロジックを展開して、ドラギ氏の講演を重視し、ドラギ氏による政策正常化宣言を予想している。

 反面、ロイターはイエレン氏もドラギ氏も大したヒントをくれず、平穏な講演を予想しているから、どちらもあり得る。

 ところで、最近第三の見方も浮上してきた。すなわち、ドラギ氏は慎重に政策を推進していくから、政策転換について言わず、ユーロ高を牽制してくる可能性がある。逆にイエレン氏の任期は来年(2018年)1月までなので、大胆な発言ができるのでは…といった予想だ。

任期が来年(2018年)1月までのイエレンFRB総裁は、大胆な発言ができるのではないかといった予想も出ている (C) Bloomberg/Getty Images

 イエレン氏の大胆な発言とは何か?と聞かれれば、利上げを正常化する発言になる可能性が高いから、それは米ドルを押し上げる材料になりそうだという。

 いずれにせよ、以上の見方はすべて推測、あるいは思惑にすぎないから、FRBやECBトップの話を聞かないとわからない、というのが実情だ。

 ちなみに今回、黒田日銀総裁もジャクソンホール会議に参加するが、講演の予定がないので、心配の余地はない上、仮に講演の予定があっても従来の主張を繰り返すと予想されやすいから、サプライズにはならないだろう。

 となると、足元の相場は完全にと言っていいほど…
“アレ”に比べたら北朝鮮リスクもトランプ氏 のゴタゴタも小粒! クロス円は一巡後上昇へ ブログ

“アレ”に比べたら北朝鮮リスクもトランプ氏 のゴタゴタも小粒! クロス円は一巡後上昇へ

■最大の米ドル圧迫要因はトランプ大統領 トランプ政権のゴタゴタが続いている。

 マーケットは明らかにトランプ氏の政権運営能力を疑問視し、また、失望しているので、トランプ大統領自身が最大の米ドル圧迫要因だと思われる。よって、市場関係者の多くは「大統領がお辞めになれば米ドル買いだ」と言っており、それはもはや冗談で済まず、現実味を帯びたものになってきたと言える。

 経済界の大物揃いだったトランプ氏の助言機構、「戦略・政策フォーラム」と「製造業評議会」が解散され、氏の求心力が一段と低下したことが浮き彫りになった。人種差別につながる問題が発端であっただけに、トランプ氏にとって大きな痛手に違いない。

 さらに、国家経済会議委員長のコーン氏も辞任の意向とウワサされ、トランプ政権の経済政策実行能力への懸念が高まり、昨日(8月17日)米国株は大きく下げてきた。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 コーン氏は税収改革などを主導してきたと言われるだけに、ウワサのインパクトが大きかったわけだ。

 このような雰囲気の中、スペインのテロ発生も市場の心理を悪化させ、目先、円が買われるのも自然の成り行きだ。ユーロ/円、英ポンド/円は揃って7月~8月高値を起点として反落し、下落波動が続いている。

ユーロ/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)

英ポンド/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足)

 肝心の米ドル/円は109円台前半に再度沈み、さえない値動きを見せている。

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

■やはり、リスクオフの円高再来なのか? 北朝鮮の地政学リスクが消えていないうちに、トランプ政権の混乱が続いたため、米国株の続落と相まって、リスクオフの円高の再来が想定されやすく、またその可能性も大きい。よって、前回の当コラムの主張、すなわち「本格的なリスクオフの状況ではない」という結論は否定されたのだろうか。

【参考記事】

●トランプ氏の“ご乱心”に市場は過剰反応。今回の「リスクオフ」はホンモノではない!(2017年8月14日、陳満咲杜)

 状況は流動的で、断定的な言い方はできないが、冷静に考えてみれば、前回の結論はなお維持できるかと思う。

 要するに、足元の円高傾向は、なおスピード調整の範疇に留まり、ここから本格的な円高トレンドが展開されるというのは早計である。

 米国株の動向が気になるが、これまでの米国株の上昇ぶりから考えると、昨日(8月17日)の大幅反落があっても、目先なおスピード調整の範疇に留まることがわかる。

NYダウ 月足(出所:Bloomberg)

 だいぶ上昇し続けてきたので、この程度の反落をもってたちまちブル(上昇)トレンドが終焉したといった判断は、テクニカル上の根拠を持たない。

 実際、リーマンショック以降、米国株が反落するたびに、トップアウト、そしてトレンド反転の推測や思惑が盛り上がってきた。しかし、それらが、ことごとく否定されてきた経緯があるからこそ、今までのブルトレンドが作り上げられたわけだから、今回も性急な判断は避けるべきではないかと思う。

 もっとも、トランプ政権が発足して以来…
“アレ”に比べたら北朝鮮リスクもトランプ氏 のゴタゴタも小粒! クロス円は一巡後上昇へ ブログ

“アレ”に比べたら北朝鮮リスクもトランプ氏 のゴタゴタも小粒! クロス円は一巡後上昇へ

■最大の米ドル圧迫要因はトランプ大統領 トランプ政権のゴタゴタが続いている。

 マーケットは明らかにトランプ氏の政権運営能力を疑問視し、また、失望しているので、トランプ大統領自身が最大の米ドル圧迫要因だと思われる。よって、市場関係者の多くは「大統領がお辞めになれば米ドル買いだ」と言っており、それはもはや冗談で済まず、現実味を帯びたものになってきたと言える。

 経済界の大物揃いだったトランプ氏の助言機構、「戦略・政策フォーラム」と「製造業評議会」が解散され、氏の求心力が一段と低下したことが浮き彫りになった。人種差別につながる問題が発端であっただけに、トランプ氏にとって大きな痛手に違いない。

 さらに、国家経済会議委員長のコーン氏も辞任の意向とウワサされ、トランプ政権の経済政策実行能力への懸念が高まり、昨日(8月17日)米国株は大きく下げてきた。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 コーン氏は税収改革などを主導してきたと言われるだけに、ウワサのインパクトが大きかったわけだ。

 このような雰囲気の中、スペインのテロ発生も市場の心理を悪化させ、目先、円が買われるのも自然の成り行きだ。ユーロ/円、英ポンド/円は揃って7月~8月高値を起点として反落し、下落波動が続いている。

ユーロ/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)

英ポンド/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足)

 肝心の米ドル/円は109円台前半に再度沈み、さえない値動きを見せている。

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

■やはり、リスクオフの円高再来なのか? 北朝鮮の地政学リスクが消えていないうちに、トランプ政権の混乱が続いたため、米国株の続落と相まって、リスクオフの円高の再来が想定されやすく、またその可能性も大きい。よって、前回の当コラムの主張、すなわち「本格的なリスクオフの状況ではない」という結論は否定されたのだろうか。

【参考記事】

●トランプ氏の“ご乱心”に市場は過剰反応。今回の「リスクオフ」はホンモノではない!(2017年8月14日、陳満咲杜)

 状況は流動的で、断定的な言い方はできないが、冷静に考えてみれば、前回の結論はなお維持できるかと思う。

 要するに、足元の円高傾向は、なおスピード調整の範疇に留まり、ここから本格的な円高トレンドが展開されるというのは早計である。

 米国株の動向が気になるが、これまでの米国株の上昇ぶりから考えると、昨日(8月17日)の大幅反落があっても、目先なおスピード調整の範疇に留まることがわかる。

NYダウ 月足(出所:Bloomberg)

 だいぶ上昇し続けてきたので、この程度の反落をもってたちまちブル(上昇)トレンドが終焉したといった判断は、テクニカル上の根拠を持たない。

 実際、リーマンショック以降、米国株が反落するたびに、トップアウト、そしてトレンド反転の推測や思惑が盛り上がってきた。しかし、それらが、ことごとく否定されてきた経緯があるからこそ、今までのブルトレンドが作り上げられたわけだから、今回も性急な判断は避けるべきではないかと思う。

 もっとも、トランプ政権が発足して以来…
トランプ氏の“ご乱心”に市場は過剰反応。 今回の「リスクオフ」はホンモノではない! ブログ

トランプ氏の“ご乱心”に市場は過剰反応。 今回の「リスクオフ」はホンモノではない!

■地政学リスクの急浮上で「リスクオフの円買い」に? 地政学リスクの急浮上で米ドル/円とクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の多くは下落、「リスクオフの円買い」といった様相を呈している。

世界の通貨vs円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)

 しかし、今回の「リスクオフ」自体がホンモノかどうかを検証する余地があるかと思う。

 事の発端はトランプ米大統領の発言にあった。北朝鮮を牽制し、また警告を与えるつもりだったが、感情的なトランプ氏は「世界が見たことがないような炎と怒りに直面する」と言い、その後、この言葉が「物足りない」と強調していた。北朝鮮は直ちに応酬し、米軍基地のあるグアム島周辺の海上に弾道ミサイルを発射する計画を策定中と宣言した。

トランプ氏は「世界が見たことがないような炎と怒りに直面する」と発言し、北朝鮮を牽制した

(C) Chip Somodevilla/Getty images

 これによって市場関係者が動揺し、米国株の下落とともに円が買われた、といった反応パターンはもはや定番だった。

 なにしろ、トランプ氏の発言はトルーマンの原爆投下演説に似ていると思われる節があるから、核戦争まで連想する者がいてもおかしくなかろう。

 認められてはいないものの、北朝鮮がれっきとした核兵器保有国になった以上、核戦争の可能性を否定できないからだ。

■今回の騒動は単なる「殿のご乱心」のようなもの しかし、冷静に考えてみれば、奇妙なところも多かった。

 まず、トランプ氏の言葉、すなわち「世界が見たことがないような炎と怒りに直面する」といった表現が、北朝鮮の名物アナの口から出るならまったく違和感がないが、米大統領の口から出るのは異例だ。出た以上、普通は何らかの具体的なプランに基づいて、相手に具体的な要求をして、それが通らなければ、最後通告をするといった手順が想起される。

 が、米政権当局者は大統領の言葉について、「計画された発言ではなく、自発的なものだった」と釈明、トランプ氏から何らかの具体的な要求やプランも続かなかった。

 さらに今月(8月)初頭、米国務長官は「米国が北調整の体制を変えたり、北朝鮮の統一を加速させたりなどはしない」と宣言し、北朝鮮が核開発を放棄すれば、米国として対話の用意がある、という姿勢を示したばかりだ。トランプ氏の発言が北朝鮮に対話を迫るためであったなら、明らかに逆効果で、計画されたものではなかった。

 したがって、今回の騒動は単にいわゆる「殿のご乱心」に近い、トランプ氏の気まぐれにすぎなかったのではないだろうか。

 トランプ氏の人柄や素質からみれば、「北朝鮮管制アナ」調の話が出ても、北の核開発のレベル向上といった事の重大さを考えてのことというよりも、単にトランプ氏個人の「怒り心頭」を表しただけであり、米政府の計画が必ずしも裏付けられたとは限らないだろう。

 そして、北もメンツのため、グアム沖へミサイル発射などと軽々しく宣言し、口先の攻撃を強めたわけだ。

■今回の騒動に対する市場の反応はやや「行きすぎ」 しかし、北朝鮮の独裁政権は政権維持、すなわち、金政権の安全を第一に考えるから、政権転覆につながる米軍への先制攻撃を仕掛けるはずはない。

 米軍から攻撃されない限り、北朝鮮が手を出すことはほぼないが、いったん攻撃されると必死に反発するのも容易に想定される。

 なにしろ、独裁者や独裁政権は、己の崩壊とともに世界を道連れにしてやる、といった狂った思想を持つのが普通で、北の核武装自体がそもそも最終手段を確保しておくという意味合いが大きいといえる。

 ゆえに、万全な計画なしでは米国は安易に手を出さず、ましてや北朝鮮の裏に中露両大国の利益や思惑が潜んでいるから、米国はたやすく北に軍事行動を取れる立場ではない。

 だから、トランプ氏の発言は少なくとも目先、単に「狂言」にすぎなかったと思う。言ってみれば、事の重大さは巷で言われるほど深刻ではなく、今回の市場の反応もやや行きすぎていると思う。

 では、表面上のファンダメンタルズではなく…
トランプ氏の“ご乱心”に市場は過剰反応。 今回の「リスクオフ」はホンモノではない! ブログ

トランプ氏の“ご乱心”に市場は過剰反応。 今回の「リスクオフ」はホンモノではない!

■地政学リスクの急浮上で「リスクオフの円買い」に? 地政学リスクの急浮上で米ドル/円とクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の多くは下落、「リスクオフの円買い」といった様相を呈している。

世界の通貨vs円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)

 しかし、今回の「リスクオフ」自体がホンモノかどうかを検証する余地があるかと思う。

 事の発端はトランプ米大統領の発言にあった。北朝鮮を牽制し、また警告を与えるつもりだったが、感情的なトランプ氏は「世界が見たことがないような炎と怒りに直面する」と言い、その後、この言葉が「物足りない」と強調していた。北朝鮮は直ちに応酬し、米軍基地のあるグアム島周辺の海上に弾道ミサイルを発射する計画を策定中と宣言した。

トランプ氏は「世界が見たことがないような炎と怒りに直面する」と発言し、北朝鮮を牽制した

(C) Chip Somodevilla/Getty images

 これによって市場関係者が動揺し、米国株の下落とともに円が買われた、といった反応パターンはもはや定番だった。

 なにしろ、トランプ氏の発言はトルーマンの原爆投下演説に似ていると思われる節があるから、核戦争まで連想する者がいてもおかしくなかろう。

 認められてはいないものの、北朝鮮がれっきとした核兵器保有国になった以上、核戦争の可能性を否定できないからだ。

■今回の騒動は単なる「殿のご乱心」のようなもの しかし、冷静に考えてみれば、奇妙なところも多かった。

 まず、トランプ氏の言葉、すなわち「世界が見たことがないような炎と怒りに直面する」といった表現が、北朝鮮の名物アナの口から出るならまったく違和感がないが、米大統領の口から出るのは異例だ。出た以上、普通は何らかの具体的なプランに基づいて、相手に具体的な要求をして、それが通らなければ、最後通告をするといった手順が想起される。

 が、米政権当局者は大統領の言葉について、「計画された発言ではなく、自発的なものだった」と釈明、トランプ氏から何らかの具体的な要求やプランも続かなかった。

 さらに今月(8月)初頭、米国務長官は「米国が北調整の体制を変えたり、北朝鮮の統一を加速させたりなどはしない」と宣言し、北朝鮮が核開発を放棄すれば、米国として対話の用意がある、という姿勢を示したばかりだ。トランプ氏の発言が北朝鮮に対話を迫るためであったなら、明らかに逆効果で、計画されたものではなかった。

 したがって、今回の騒動は単にいわゆる「殿のご乱心」に近い、トランプ氏の気まぐれにすぎなかったのではないだろうか。

 トランプ氏の人柄や素質からみれば、「北朝鮮管制アナ」調の話が出ても、北の核開発のレベル向上といった事の重大さを考えてのことというよりも、単にトランプ氏個人の「怒り心頭」を表しただけであり、米政府の計画が必ずしも裏付けられたとは限らないだろう。

 そして、北もメンツのため、グアム沖へミサイル発射などと軽々しく宣言し、口先の攻撃を強めたわけだ。

■今回の騒動に対する市場の反応はやや「行きすぎ」 しかし、北朝鮮の独裁政権は政権維持、すなわち、金政権の安全を第一に考えるから、政権転覆につながる米軍への先制攻撃を仕掛けるはずはない。

 米軍から攻撃されない限り、北朝鮮が手を出すことはほぼないが、いったん攻撃されると必死に反発するのも容易に想定される。

 なにしろ、独裁者や独裁政権は、己の崩壊とともに世界を道連れにしてやる、といった狂った思想を持つのが普通で、北の核武装自体がそもそも最終手段を確保しておくという意味合いが大きいといえる。

 ゆえに、万全な計画なしでは米国は安易に手を出さず、ましてや北朝鮮の裏に中露両大国の利益や思惑が潜んでいるから、米国はたやすく北に軍事行動を取れる立場ではない。

 だから、トランプ氏の発言は少なくとも目先、単に「狂言」にすぎなかったと思う。言ってみれば、事の重大さは巷で言われるほど深刻ではなく、今回の市場の反応もやや行きすぎていると思う。

 では、表面上のファンダメンタルズではなく…
「すこぶるリスクオン」の中、理屈上では反転 してもよいのにドル安が延々続くのはなぜ? ブログ

「すこぶるリスクオン」の中、理屈上では反転 してもよいのにドル安が延々続くのはなぜ?

■「すこぶるリスクオン」の中、米ドル安が一段と進む 米ドル安が一段と進み、ドルインデックスは一時92.55にトライ、昨年(2016年)5月安値(91.92)に接近している。

ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)

 相応するように、ユーロ/米ドルは一時1.1910ドルの高値にトライ、1.2ドルの心理的大台も射程圏に入っている。

ユーロ/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)

 米ドル安が続く背景には、「ロシアゲート」疑惑の深まり、トランプ政権の内紛、北朝鮮の地政学リスクなどの要素が挙げられるが、リスクオフ云々というのは勘違いであろう。

 何しろ、一昨日(8月2日)、NYダウが2万2000ドルの大台へ史上初めて乗せたことに象徴されるように、少なくとも米国株をはじめ、欧米日株式市場は堅調な推移を保っているから、足元は明らかにリスクオンの環境にある。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 ちなみに、トランプ政権誕生前から計算すると、NYダウは2割も上昇しているから、すこぶるリスクオンと言っても過言ではなかろう。

■米金利の「異常な低下」が米ドル安の最大の要因 ゆえに、米ドル安になっているのは、昨年(2016年)年末まで続いた「トランプラリー」の行きすぎに対する反動といった側面が大きい上、明らかに他の要素が働いていると思われる。

 米金利の「異常な低下」が最も大きな原因ではないかと考えられる。換言すれば、米債券バブル(債券高は金利低下と連動)が米ドルを押し下げている要因であることは見逃せない。

米長期金利(米10年物国債の利回り) 日足(出所:Bloomberg)

 だから、あのグリーンスパン氏(元FRB(米連邦準備制度理事会)議長)も「株価ではなく債券バブルの破裂に用心しろ」と警告を出し(8月1日ブルームバーグ報道)、米ドル安が米国株高に寄与していると説明できる一方、米景気とかけ離れた低金利はいつ反転してもおかしくないから、これがこれからのリスク要因になると指摘した。

■ユーロ高騰はECB政策転換に伴う金利上昇傾向が要因 さらに、米金利の低迷が、その他の主要外貨との金利差の縮小を招いているところも大きい。

 マイナス金利であるユーロが高騰してきたのは、他ならぬ、ECB(欧州中央銀行)の政策転換に伴う金利上昇傾向が要因だと思われる。

 実際にユーロが米ドルの金利水準まで迫ってくることは、あったとしてもだいぶ先であるが、マーケットには先取りして値動きを形成するメカニズムがある。足元まで目一杯、金利差縮小の傾向を織り込んできた結果が、足元のユーロ高につながっていると言える。

■テクニカル的には「オーバーボート」がキーワード テクニカルの視点では、前回のコラムでも述べたように、そもそも為替市場における価格形成メカニズムでは、ロング筋・ショート筋のバランスが大事だから、トレンドをさらに進行させるには、順張り派のみでなく、逆張り派の存在が必要不可欠な存在だ。

【参考記事】

●売り材料のないFOMC後になぜ米ドル安? 気をつけろ! それは相場反転のサインだ(2017年7月28日、陳満咲杜)

 ユーロ/米ドルを例としてみると、先週のコラムでも指摘していたように、すでにかなりの「オーバーボート(買われすぎ)」のサインを点灯していたにもかかわらず、足元までさらに買われているのには、わけがあった。解読のキーワードはやはり「オーバーボート」である。

 すでにオーバーボート(オシレーター系指標をもって測るのが一般的)のサインが点灯し、また、それが深刻化するにつれ、そのことが逆張り派(この場合、ユーロ/米ドルの売り)の新規参入を呼ぶ。

 その際、オーバーボートのサインが点灯しているわけだから、逆張り派の多くは「根拠があり、確率の高いトレード」と思って参入してくるわけだ。

 その結果、すでにオーバーボートであったにもかかわらず、トレンドは往々にしてさらに延長され、さらなるオーバーボートにつながるケースが多い。

 というのは、往々にしてトレンドに沿った方向でファンダメンタルズの材料は続出する傾向にあり、また、トレンドに沿う方向のものしか材料視されないため、逆張り派は一段と踏み上げられる確率が高いからだ。

 その結果、一段とオーバーボートの深刻化を招き、サインが鮮明化、深刻化するにつれ、より多くの逆張り派の参入をもたらす、といった循環ができるわけだ。

■相場は理外の理、ただし、永遠に続くトレンドはない 先週末(7月28日)以降のユーロ/米ドルはその好例と言える。

 FX会社の中には、顧客のポジション比率情報などを開示している会社もあるから、その内情を見る限り、大まかに言って、逆張りの「売り」が70%も占める状況が多かった。

 だから、理屈上は相場がいつ反転してもおかしくないが、なかなか反転できず、ユーロ高・米ドル安のトレンドが続いているわけだ。

 相場は理外の理、という言葉はこのような現象を指しているとも思われ、相場は芸術だと言われるゆえんでもある。そしてそれこそ、相場は憎い存在でありながら、いつまでも我々トレーダーを魅了し、虜にするという、根本的なところではないかと思う。

 とはいえ、永遠に続くトレンドはない。トレンドが強ければ強いほど、また、トレンドが長ければ長いほど、逆張り派の失敗が重なるから、最後はどこかの時点で新規逆張り派の大幅減少を招く。

 そうなると、トレンドも最終段階にあるか、少なくとも1回大きなリバウンドをもって、バランスの構築を図るはずだ。

 この場合、往々にして何らかの材料の出現をもって調整が始まるが、残念ながら、事前にはなかなかその材料とは何かを言い当てられない。

 では、今晩(8月4日)の米雇用統計はどうだろう…
「すこぶるリスクオン」の中、理屈上では反転 してもよいのにドル安が延々続くのはなぜ? ブログ

「すこぶるリスクオン」の中、理屈上では反転 してもよいのにドル安が延々続くのはなぜ?

■「すこぶるリスクオン」の中、米ドル安が一段と進む 米ドル安が一段と進み、ドルインデックスは一時92.55にトライ、昨年(2016年)5月安値(91.92)に接近している。

ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)

 相応するように、ユーロ/米ドルは一時1.1910ドルの高値にトライ、1.2ドルの心理的大台も射程圏に入っている。

ユーロ/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)

 米ドル安が続く背景には、「ロシアゲート」疑惑の深まり、トランプ政権の内紛、北朝鮮の地政学リスクなどの要素が挙げられるが、リスクオフ云々というのは勘違いであろう。

 何しろ、一昨日(8月2日)、NYダウが2万2000ドルの大台へ史上初めて乗せたことに象徴されるように、少なくとも米国株をはじめ、欧米日株式市場は堅調な推移を保っているから、足元は明らかにリスクオンの環境にある。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 ちなみに、トランプ政権誕生前から計算すると、NYダウは2割も上昇しているから、すこぶるリスクオンと言っても過言ではなかろう。

■米金利の「異常な低下」が米ドル安の最大の要因 ゆえに、米ドル安になっているのは、昨年(2016年)年末まで続いた「トランプラリー」の行きすぎに対する反動といった側面が大きい上、明らかに他の要素が働いていると思われる。

 米金利の「異常な低下」が最も大きな原因ではないかと考えられる。換言すれば、米債券バブル(債券高は金利低下と連動)が米ドルを押し下げている要因であることは見逃せない。

米長期金利(米10年物国債の利回り) 日足(出所:Bloomberg)

 だから、あのグリーンスパン氏(元FRB(米連邦準備制度理事会)議長)も「株価ではなく債券バブルの破裂に用心しろ」と警告を出し(8月1日ブルームバーグ報道)、米ドル安が米国株高に寄与していると説明できる一方、米景気とかけ離れた低金利はいつ反転してもおかしくないから、これがこれからのリスク要因になると指摘した。

■ユーロ高騰はECB政策転換に伴う金利上昇傾向が要因 さらに、米金利の低迷が、その他の主要外貨との金利差の縮小を招いているところも大きい。

 マイナス金利であるユーロが高騰してきたのは、他ならぬ、ECB(欧州中央銀行)の政策転換に伴う金利上昇傾向が要因だと思われる。

 実際にユーロが米ドルの金利水準まで迫ってくることは、あったとしてもだいぶ先であるが、マーケットには先取りして値動きを形成するメカニズムがある。足元まで目一杯、金利差縮小の傾向を織り込んできた結果が、足元のユーロ高につながっていると言える。

■テクニカル的には「オーバーボート」がキーワード テクニカルの視点では、前回のコラムでも述べたように、そもそも為替市場における価格形成メカニズムでは、ロング筋・ショート筋のバランスが大事だから、トレンドをさらに進行させるには、順張り派のみでなく、逆張り派の存在が必要不可欠な存在だ。

【参考記事】

●売り材料のないFOMC後になぜ米ドル安? 気をつけろ! それは相場反転のサインだ(2017年7月28日、陳満咲杜)

 ユーロ/米ドルを例としてみると、先週のコラムでも指摘していたように、すでにかなりの「オーバーボート(買われすぎ)」のサインを点灯していたにもかかわらず、足元までさらに買われているのには、わけがあった。解読のキーワードはやはり「オーバーボート」である。

 すでにオーバーボート(オシレーター系指標をもって測るのが一般的)のサインが点灯し、また、それが深刻化するにつれ、そのことが逆張り派(この場合、ユーロ/米ドルの売り)の新規参入を呼ぶ。

 その際、オーバーボートのサインが点灯しているわけだから、逆張り派の多くは「根拠があり、確率の高いトレード」と思って参入してくるわけだ。

 その結果、すでにオーバーボートであったにもかかわらず、トレンドは往々にしてさらに延長され、さらなるオーバーボートにつながるケースが多い。

 というのは、往々にしてトレンドに沿った方向でファンダメンタルズの材料は続出する傾向にあり、また、トレンドに沿う方向のものしか材料視されないため、逆張り派は一段と踏み上げられる確率が高いからだ。

 その結果、一段とオーバーボートの深刻化を招き、サインが鮮明化、深刻化するにつれ、より多くの逆張り派の参入をもたらす、といった循環ができるわけだ。

■相場は理外の理、ただし、永遠に続くトレンドはない 先週末(7月28日)以降のユーロ/米ドルはその好例と言える。

 FX会社の中には、顧客のポジション比率情報などを開示している会社もあるから、その内情を見る限り、大まかに言って、逆張りの「売り」が70%も占める状況が多かった。

 だから、理屈上は相場がいつ反転してもおかしくないが、なかなか反転できず、ユーロ高・米ドル安のトレンドが続いているわけだ。

 相場は理外の理、という言葉はこのような現象を指しているとも思われ、相場は芸術だと言われるゆえんでもある。そしてそれこそ、相場は憎い存在でありながら、いつまでも我々トレーダーを魅了し、虜にするという、根本的なところではないかと思う。

 とはいえ、永遠に続くトレンドはない。トレンドが強ければ強いほど、また、トレンドが長ければ長いほど、逆張り派の失敗が重なるから、最後はどこかの時点で新規逆張り派の大幅減少を招く。

 そうなると、トレンドも最終段階にあるか、少なくとも1回大きなリバウンドをもって、バランスの構築を図るはずだ。

 この場合、往々にして何らかの材料の出現をもって調整が始まるが、残念ながら、事前にはなかなかその材料とは何かを言い当てられない。

 では、今晩(8月4日)の米雇用統計はどうだろう…