陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

米国株に出遅れているドル/円や日経平均 はまもなく上昇? ターゲットはどれくらい? ブログ

米国株に出遅れているドル/円や日経平均 はまもなく上昇? ターゲットはどれくらい?

■米ドルと円がともに反落 米ドル高は一服し、円は売られている。

ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)

世界の通貨VS円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)

 いつものように、ここでは米ドルといえば、米ドル全体(ドルインデックス)の話だが、米ドルの反落に円の反落を伴っているため、リスクオンといった解釈がまた浮上してきた。

 つい先週末(6月1日)までリスクオフ云々の解釈が主流だったので、市場センチメントの変化は値動き次第だといえる。

 そして、肝心の値動きはといえば、前回のコラムの指摘どおり、「リスクオフで米長期金利低下なら米国株の堅調に寄与し、結局、リスクオンと化しやすい」となった結果の円安といえる。

【参考記事】

●リスクオフで米長期金利低下なら米株安泰で結局リスクオンに? 米ドル/円は底打ちか(2018年6月1日、陳満咲杜)

 さらに、「円安の進行があったから、市場センチメントがリスクオンに傾いた」という側面も大きいから、因果関係は言われるほど単純ではないことにも注意が必要だ。

 つまるところ、先週(6月1日)のコラムでは「米国株次第だ」と喝破したかったのだが、6月4日(月)、米ナスダックの終値は史上最高値を更新し、アマゾンやアップルなど大型株の上場来高値更新と相まって、米国株の堅調さを示している。

ナスダック 日足(出所:Bloomberg)

 また、米4月雇用動態調査統計では、統計が開始された2000年以降、初めて求人数が失業者数を上回り、米景気好調で歴史的な労働力不足に直面していることを示唆している。このような状況は、歴史を遡ってみると、1969年、あのベトナム戦争時(若い男が徴兵された時期)しか発生しなかったので、米景気の堅調ぶりがうかがえる。

 だから、前回のコラムで強調していたのだ。

【参考記事】

●リスクオフで米長期金利低下なら米株安泰で結局リスクオンに? 米ドル/円は底打ちか(2018年6月1日、陳満咲杜)

■クロス円は当面の円の高値を付けた 確かに諸リスク要素がくすぶるが、表面上の出来事ばかり捉えていると、本質を見誤りがちだ。

 新興国通貨危機にしても、米中貿易戦争にしても、また、ドイツ銀行問題などなどの出来事にしても、米長期金利を上昇させるのではなく、押し下げる材料であれば、むしろ米国株市場に「歓迎」されるはずである。

 なぜなら、米国株の上昇自体が米景気拡大を反映するものなので、利上げ周期における長期金利の上昇スピードが抑えられる場合、株式市場にとって一番「居心地のよい」時期になるはずだからだ。

 ゆえに当面、米国株のブル(上昇)基調は維持され、リスクオンのムードが続くだろう。クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)を含め、リスクオフの円高といった市況はすでに過ぎており、一直線に全面かつ大幅な円安局面には進まないものの、総じて5月高値をもって円高は一服し、また、当面の円の高値を付けたとみる。

世界の通貨VS円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)

■日経平均も米ドル/円も総じて押し目買いのスタンスで となると、日経平均も5月高値を更新していくだろう。5月高値を更新するまで、なお紆余曲折が想定されるが、5月安値を下回らない限り、もはや時間の問題であるとみる。

日経平均 日足(出所:Bloomberg)

 米ドル/円と日経平均の値動きの相関性の高さから考えて、このような見方はそのまま米ドル/円にも通用するから、米ドル/円も日経平均も総じて押し目買いのスタンスで臨むべきであろう。

米ドル/円 日足(出所:IG証券)

 実際、NYダウを見ればわかるように、すでに5月高値を更新しており、日経平均や米ドル/円のパフォーマンスが出遅れている感じが強い。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 日経平均はいつもリスク要素を過敏に反映する傾向が強いから、G7に米朝首脳会談、そして、FOMC(米連邦公開市場委員会)などなどの「リスク」を「忖度」しているのではないかとさえ思われる。

 しかし、こういった材料自体がリスクになるかどうかは関係なく、通過すれば、また米国株に追随という習性に戻るから、早晩5月高値を更新していくだろう。

 さらに、前述のように結局、米国株次第なのだが…
リスクオフで米長期金利低下なら米株安泰 で結局リスクオンに? 米ドル/円は底打ちか ブログ

リスクオフで米長期金利低下なら米株安泰 で結局リスクオンに? 米ドル/円は底打ちか

■ユーロ/円、英ポンド/円が下値ターゲット達成 前回のコラムでは、「リスクオン・オフの市場センチメントと関係なく、近々ユーロ/円の125円割れ、英ポンド/円の144円割れを覚悟しておきたい」と指摘していたが、市況はそのままになり、また、ターゲットを達成するまでほぼ一本調子の下落となった。

 もちろん、イタリア政局の混乱でリスクオフだったので、当然の成り行きといえるが、それにしてもスピードが速かったと思う。

【参考記事】

●米朝首脳会談の中止で円高になったわけではない! 円高になった真の理由とは?(2018年5月25日、陳満咲杜)

ユーロ/円 日足(出所:IG証券)

英ポンド/円 日足 

(出所:IG証券) 

■リスクオン・オフが先か、ファンダメンタルズ上の材料が先か ここからの焦点は、やはり、リスクオフのムードが続くかどうかにあるだろう。イタリア政局に加え、中国のみならずEU(欧州連合)、日本とも貿易戦争を辞さないトランプ政権の政策やスタンスから考えると、これからもリスクオフムードが続くといった結論が出やすいだろう。

 しかし、筆者の考えはやや違っている。断定的な結論には達しないが、必ずしもリスクオフが続くとは限らないと思う上、また、リスクオン・オフはいわゆるファンダメンタルズ上の材料によって決まるものではないとみる。

 世間一般の常識では、材料があって値動きが形成され、また、値動きの連続でトレンドが形成される。しかし、市場の歴史を振り返ってみるとわかるように、このような「規律正しい」相場の反応パターンは、むしろ少ない方だと気づく。

 多くの場合はその逆で、だいぶトレンドが形成され、その途中か最終段階においてトレンドを証左、あるいは加速させる材料が出てくる、というパターンがよく見られる。今回も然り。ユーロ/米ドルの例で見るとおわかりいただけるだろう。

■イタリア国債暴落のニュースより先にユーロは下落していた ユーロ/米ドルは2月にて頭打ち。その後、4月末まで保ち合いを形成し、3月安値を割り込んだのが4月26日(木)であった。その時、イタリア政局云々の材料は浮上しておらず、あるいはあっても市場関係者には語られていなかった。

ユーロ/米ドル 日足(出所:IG証券) 

 3月安値を割り込んだあと、ユーロはほぼ一本調子に下落。イタリア混乱の材料が5月下旬に入ってから重く受け止められ、また、イタリア国債暴落のニュースがモニターにて確認されたのも、5月25日(金)あたりからだ。

 つまるところ、「ユーロが下落したからイタリア政局が不穏になった」というロジックと因果関係はないが、逆に「ユーロ売りの原因はイタリア政局の不穏にあった」と解釈されるのも正しくない。

 むしろ、イタリア云々が巷で広く語られ、また周知されたところ、一種の「出尽くし」もあって、トレンドにおけるスピード調整(場合によっては反転)が行われやすかったかと思う。

 ユーロが5月30日(水)から反騰してきたのも、ほかならぬ、トレンドがだいぶ進行し、また、イタリア云々が広く人口に膾炙されたところ、猫も杓子もユーロ売り(4月前半まで猫も杓子もユーロ買いであった状況と正反対だ)を仕掛けたため、「出尽くし」が生じたからだ。

ユーロ/米ドル 日足(出所:IG証券) 

 この意味では、往々にしてトレンドの途中や最終段階において…
米朝首脳会談の中止で円高になったわけ ではない! 円高になった真の理由とは? ブログ

米朝首脳会談の中止で円高になったわけ ではない! 円高になった真の理由とは?

■米ドル/円の反落は米ドル全体の調整を先行した値動き 「米ドル高はホンモノだが、行きすぎの疑いがあり、いったん調整するだろう」といった判断が、前回のコラムの主張だった。

【参考記事】

●米ドル/円週足8連陽でトランプラリー超え!米ドル高を当てた正解者さえ困惑する強さ(2018年5月18日、陳満咲杜)

 今週(5月21日~)に入ってから米ドル/円は急落し、この判断を裏付ける値動きとなったが、ユーロ、英ポンドなど主要外貨の安値更新は、米ドル全体の行きすぎがなお修正されていないことを示しているので、判断の正誤も半々だったと思われる。

米ドルVS世界の通貨 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)

 しかし、米ドル/円の反落を先行した値動きとみれば、米ドル全体の調整も間近であると判断すべきであろう。言ってみれば、米ドル高と円高の同時進行自体が1つのサインと化しており、また、このサインが前回コラムにて提示したロジックを証左するものであるとみるべきだ。

【参考記事】

●米ドル/円週足8連陽でトランプラリー超え!米ドル高を当てた正解者さえ困惑する強さ(2018年5月18日、陳満咲杜)

■リスクオン・オフは米ドル全体の高安の理由にならない? 米ドル高と円高の同時進行はリスクオフの表れ、というのが一般的な解釈だ。しかし、つい最近(2018年第1四半期)まで、リスクオフの値動きと言えば、典型的なパターンは米ドル安・円高であったことは記憶に新しい。

 「米ドル安・円高」と表記すると、当たり前のことを書いているだけと思われるかもしれないが、ここで言う“米ドル”とはすべて米ドル全体の話を示している。だから、ユーロ高・円高と言い換えれば、よりわかりやすいかと思う。

 要するに、リスクオフの反応パターンとして円高は当たり前で変わらないが、米ドル全体の高安はトレンド次第ということだ。

 米ドル安がメイントレンドとして定着する場合は、リスクオンの時はもちろん、リスクオフの時も米ドルが売られ、反対に米ドル高がメイントレンドとして定着すれば、リスクオン・オフを問わず、米ドルが買われるわけだ。

 つまるところ、円と違って、米ドル全体の高安をリスクオン・オフという理由で説明すること自体が、適切ではないかもしれない。

 あえてこういった言い方をする目的は、他ならぬ、米ドル高がメイントレンドとして定着しており、また、米ドル高自体がホンモノであることを強調したいからだ。

 したがって、「米朝会談がキャンセルされるのでは…」という懸念が浮上すると、円高のみが進行していたのも納得できるだろう。ユーロ/円、英ポンド/円をはじめ、主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の大幅下落もその一環と見なせば、わかりやすいかと思う。

世界の通貨VS円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)

 それにしても、円の独歩高は重要なメッセージであり…
米ドル/円週足8連陽でトランプラリー超え! 米ドル高を当てた正解者さえ困惑する強さ ブログ

米ドル/円週足8連陽でトランプラリー超え! 米ドル高を当てた正解者さえ困惑する強さ

■市場心理から見る「強いトレンド」とは? 米ドル高の勢いは止まらず、米ドル全面高が続いている。

ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)

 すでに強いトレンドを形成しており、また、これからも米ドル高の余地が拡大する、といった視点は、筆者が今まで繰り返し指摘してきたとおりなので、いまさら理由付けしなくてもよいかと思う。

【参考記事】

●米ドル「1人勝ち」の状況は当面続く! 高金利三兄弟の新興国通貨はキケン!?(2018年5月11日、陳満咲杜)

●米中貿易戦争は緩和どころか激化している! なぜ、それでドル全面高になっているのか?(2018年5月2日、陳満咲杜)

 ところで、強いトレンドとは何かと聞かれると、テクニカルの検証よりも市場心理から見れば、よりわかりやすいかと思う。

 いつものように、米ドル全体が低迷し、また、安値圏での保ち合いが続いていた頃、市場センチメントは米ドル安に傾き、米ドル高の見方に総じて懐疑的であった。

 そして、米ドル高になればなるほど、市場センチメントも米ドル高に傾き始め、ウォール街も米ドル高のターゲットを大きく掲げ、そういった見通しにいろいろ理由を付け加えている。

 筆者が5月2日(水)の本コラムにて指摘したユーロの長期ターゲットである「パリティ割れ」が、今やウォール街大手のレポートに同じように書かれている。これがまた、いつものように、これから市場センチメントの形成に大きく寄与していくだろう。

【参考記事】

●米中貿易戦争は緩和どころか激化している!なぜ、それでドル全面高になっているのか?(2018年5月2日、陳満咲杜)

■「セルインメイ」は下火に、米長期金利3.1%超えるも株堅調 すでに5月下旬に近づいてきたこともあって、巷で持てはやされた「セルインメイ」の論調はすっかり下火になった。

 また、同じ5月2日(水)のコラムにて指摘したように、「米長期金利が3%を超えると米国株下落」といった見方は単なる都市伝説にすぎず、足元の米長期金利(米10年物国債利回り)はすでに3.1%を超えているにもかかわらず、米国株はむしろ月初めの安値から持ち直し、地合いが好転しつつある状況だ。

NYダウ 日足(クリックで拡大)(出所:IG証券)

■「正解者」すら困惑する状況こそ、強いトレンドの証明材料 当然のように、市場センチメントも修正されつつあり、また、これからも修正されていくと思うが、強いトレンドを証左するには、単に市場センチメントの変化という総論だけでなく、もう少し細かい論議をする必要がある。

 何しろ、市場センチメントは同じ見方や見通しのみでなく、当然のように反対の見方や思惑も含めて形成される。言い換えれば、市場というものは常に反対意見や反対売買があるからこそ成立するわけだから、市場センチメントは市場参加者の「総意」にすぎず、それだけでは詳細にはわからないはずだ。

 では、トレンドの強弱を測る市場心理として何が一番有効かというと、ズバリ「正解者」たちの心理が挙げられる。

 正解者の定義は少しややこしいが、簡単に言うと、「トレンド転換の前からトレンドの転換を予測でき、また、転換されたトレンドに乗り、利益を叩き出した者」だとすればわかりやすいかもしれない。が、強調したいところは正解者たちが自らの判断に自信をもち、また、それで利益を出したにもかかわらず、トレンドの進行に困惑し始めたら、それは1つのサインだといいうことだ。

 要するに、事前にトレンドの転換を予測できず、また、トレンドに乗ってこなかった方々、さらには逆張りして損してしまった者がトレンド進行の勢いに困惑するのは当たり前で、取り上げる価値さえない。

 しかし、最初からトレンドの転換にかけ、また、いち早くトレンドに乗り、さらに途中でも追撃、そして、当然のようにすでに相当の利益を計上した者までトレンドの強さに「困惑」し始めたら、これこそ強いトレンドの証明材料になるのではないかと思う。

 仮に最初からトレンドに乗っていたとしても、その多くはすでに利益を確定し、押し目を狙って再度エントリーのチャンスを狙う。ところが、「押し目待ちに押し目なし」といった状況が続き、最初の正解者さえトレンドが「強すぎるのでは…」と思い始めたら要注意だ。

 このような市場心理の出現自体が、強いトレンドを証左するもっとも強力な材料だと強調しておきたい。

 言うまでもないが、足元の状況はまさにそのとおり…
米ドル「1人勝ち」の状況は当面続く! 高金利三兄弟の新興国通貨はキケン!? ブログ

米ドル「1人勝ち」の状況は当面続く! 高金利三兄弟の新興国通貨はキケン!?

■米ドル全面高につれ、市場に著しい変化が2つ! 米ドル全面高の勢いは、一服の兆しが見えたものの、総じて堅調な基調を保ち、昨年(2017年)年初来の下落トレンドに対する修正が続くだろう。

 もしも、米ドル全面高の調整が先行するならば、それはより健全な上昇波の形成につながるから、むしろ歓迎されるべきかと思う。

ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)

 米ドル全面高につれ、マーケットには著しい変化がもたらされた。特に以下の2点が鮮明である。

 まず、米ドル高で新興国通貨危機の様相を呈していること。

 次に、市場センチメントが米ドル安一辺倒から修正されていること。

■新興国通貨危機はミセス・ワタナベにとっても一大事 新興国通貨危機については、アルゼンチンペソ安を止めるべく、アルゼンチン中央銀行が市中金利を40%へ引き上げたのが象徴的な出来事だ。

【参考記事】

●デフォルト常習犯のアルゼンチンが緊急利上げ連発で政策金利40%に! 一体なぜ?

 米ドル高は、米利上げ余地の拡大や米長期金利の上昇と連動する側面が強まり、新興国どころか、香港ドルの下落で見られたように、一部先進国や地域の通貨も軒並み切り下げ、国際資金の米国還流の流れを示唆。また、これからさらに本格化していく可能性が大きい。

 ミセス・ワタナベ(日本の個人投資家)さんにとっても他人事ではない。なにしろ、スワップ金利を狙うトレード、すなわちキャリートレードの流行りといえば、最近の傾向はトルコリラやメキシコペソ、南アフリカランドだ。

 この「高金利三兄弟」のロングが代表的であり、好まれているが、トルコリラの売りが凄まじく、メキシコペソの下落や南アフリカランドの頭打ちに照らして考えると、キャリートレードの環境はこれからさらに悪化していく可能性がある。

トルコリラ/円 日足(出所:IG証券)

■利上げに関して、米国は当面「孤高」の道を行くだろう トランプ政権になって以来、米国株の変動率が拡大し、また、今年(2018年)に入ってからさらに波乱の展開となってきたが、米経済成長自体は軌道に乗っており、軌道から外れずにいるのは確かだ。

 4月米失業率はこの17年半で最低の水準を記録し、財政収支は史上最高レベルの黒字となっており、6月利上げもほぼ懸念なしなので、単純に利上げ見通しで判断するなら、米ドル「1人勝ち」の状況が当面続く、という可能性は無視できない。

 なにしろ、昨日(5月10日)、英中銀の金利据え置きが物語るように、利上げ周期に入った英国さえ足踏み状態なのだから、米利上げは当面「孤高」の道を行くだろう。

 ECB(欧州中央銀行)の金融政策正常化には、マーケットから過大な期待が寄せられたものの、期待先行で、また、過剰だった分、今はそれが剥落していく段階にあり、日銀に至っては、早期出口模索という観測自体、もはや憶測になりつつある。

 したがって、金利差の拡大を織り込んでいくなら、米ドル高の余地はまだまだ広がると思う。

■市場センチメント自体がトレンドを加速する役割も だからこそ、市場センチメントも変わりつつある。

 米ドル安が続いているうちは、市場関係者の見方もさらなる米ドル安に傾き、また、共通認識となって米ドル安一辺倒になりやすいが、米ドルの反転や上昇につれ、米ドル安一辺倒のセンチメントが修正されたのはもちろん、米ドル高の見方も増えてきた。今では米ドル高の「理由や根拠」が探し始められ、また、「後付け」で米ドル高の理由が理路整然と語られ始めている。

 こういった市場センチメントの変化は今、始まったものではなく、繰り返し行われてきたことだから、別に今さらサプライズになるわけではないが、強調したいのは、市場センチメント自体が、トレンドを加速する役割が大きいから、これも米ドル高を一段と押し上げる可能性があることだ。

 マーケットには自己実現性がある。

 行きすぎたトレンドにならない限り、米ドル高を予測する、また、望む市場参加者が多ければ多いほど米ドルが買われ、米ドル高になるから、さらに米ドル高の予測を高め、米ドルがさらに買われるといった循環が起こりやすい。

 昨年(2017年)年初から一貫して下落した米ドル安のトレンドにおいて、これとは逆の循環が効いたから、2月安値まで米ドル全体は売られてきたと言える。

 が、足元は再び逆転し始め、まだまだ初歩段階なので、米ドル高はこれからだと思う。

ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)

 米ドル高の可能性は、政治力学の視点からでも…
米中貿易戦争は緩和どころか激化している! なぜ、それでドル全面高になっているのか? ブログ

米中貿易戦争は緩和どころか激化している! なぜ、それでドル全面高になっているのか?

■ドルインデックスが200日線を上抜けし、米ドル安局面終焉 米ドル全面高が続いている。ドルインデックスは200日移動平均線(200日線)をブレイクしたが、これは昨年(2017年)4月以来初めてのことで、昨年(2017年)年初から一貫して展開された米ドル安局面の終焉を示している上、4月20日(金)に本コラムが指摘したように、今回の米ドル高はホンモノであることが証左されている。

【参考記事】

●このままなら民主主義は全体主義に敗北の運命!? ドルは既に底打ったか底打ちが近い(2018年4月20日、陳満咲杜)

ドルインデックス 日足(クリックで拡大)(出所:IG証券)

■ユーロ/米ドルは200日線割れで、ユーロ高終焉 対極として位置づけられるユーロ/米ドルの200日線割れも昨年(2017年)4月以来の出来事であり、これが2017年4月安値から引かれたメインサポートラインを割り込んだのに続いて起こったことから考えて、ユーロ高はすでに終焉、ここからはしばらく下落していくだろうと推測される。

ユーロ/米ドル 日足(クリックで拡大)(出所:IG証券)

■英ポンド/米ドルのダブル・トップ完成が、米ドル底打ちを証左 「米ドル全面高」という言い方のとおり、米ドルの反騰は、対円、対英ポンド、対豪ドルなど、主要外貨に対して、すべて確認されており、大きなポイントとなっている。

 対円で110円の心理的大台に接近したほか、対英ポンドや対豪ドルの「ダブル・トップ」というフォーメーションの形成や下放れの確認は印象的で、また、重要なサインを灯していると思う。

 英ポンド/米ドルも同じく、まずは2017年3月安値から引かれたメインサポートラインを割り込み、目先200日線の割り込みをもって英ポンド高の終焉、また、これから反落変動が継続することを示している。

英ポンド/米ドル 日足(クリックで拡大)(出所:IG証券)

 日足における「ダブル・トップ」のパターンが、3月安値の割り込みで確認された以上、ごくシンプルな見方でこれから「倍返し」目標の1.3ドルの大台打診にトライしやすいだろう。

 もちろん目先を含め、途中ではスピード調整があると思うが、メイントレンドが確認された以上、戻りがあればむしろ売りの好機と捉えるべきであろう。

 ちなみに、英ポンドは主要外貨のうち、4月に入って高値をいったん更新した通貨なので、4月20日(金)コラムの指摘どおり、英ポンド/米ドルの「ダブル・トップ」の構造、そして下放れを果たしたことは、米ドル高の可能性を証左、米ドルの底打ちがすでに完了したと言える根拠でもある。

【参考記事】

●このままなら民主主義は全体主義に敗北の運命!? ドルは既に底打ったか底打ちが近い(2018年4月20日、陳満咲杜)

■最も弱かったのは豪ドル、ここから大幅に下落か 主要外貨のうち、最も弱かったのは豪ドルである。今年(2018年)1月高値と昨年(2017年)9月高値で形成された大型「ダブル・トップ」は、昨年(2017年)12月安値の割り込みをもって確立され、ここから大幅に下落余地を拡大するだろう。

豪ドル/米ドル 日足(クリックで拡大)(出所:IG証券)

 途中のリバウンドは、4月高値を形成したが、これが200日線に制限されていたことに注目すれば、ここからベア(下落)トレンドを修正するにはハードルがかなり高いと言える。

 もちろん、足元では200日線とかなり離れているから、近々いったんスピード調整(切り返し)があってもおかしくないが、米ドル全面高の基調が確認された以上、戻りがあれば、戻り売りの好機と見なすのも自然な成り行きだ。

 目先の米ドル全面高、そしてまた、これから米ドル全面高が継続…
なぜ「セルインメイ」は起こらない可能性が 高い? ここからはユーロの一人負けを覚悟 ブログ

なぜ「セルインメイ」は起こらない可能性が 高い? ここからはユーロの一人負けを覚悟

■米ドル全面高の市況が鮮明に 米ドル全面高の市況が鮮明になりつつある。「米長期金利(10年物国債の利回り)が3%に乗せたことが米ドルを押し上げた」といった解釈が多いが、その解釈の正誤はともかく、少なくとも米ドルのパフォーマンスと米金利の相関性が回復してきたことは確かだ。

 最も鮮明になっているのは米ドル/円だろう。米ドル/円と米長期金利の相関性は、2017年年末から2018年2月後半頃まで一転して逆相関、つまり米金利が上昇すると逆に米ドルが下落していくといった現象が目立っていた。

米長期金利VS米ドル円 日足(出所:Bloomberg)

 マーケットの値動きのすべてが正しいという原則論もあるが、やはり、米金利上昇につれ、米ドルも上昇しやすいといった反応パターンがわかりやすく、また「正常」な値動きとして理解されやすいかと思う。この視点から言えば、足元の市場は「正常」に近い状況にあるのではないかと思われる。

■米金利3%突破でも、米国株が堅調なのはなぜ? ところで、米長期金利(米10年物国債利回り)が3%を突破したら米国株が暴落するだろうといった話をよく聞き、そして「セルインメイ」といったアノマリー的な話も巷にあふれている。こういった「常識」というか、市場センチメントを捉えれば、第一四半期における米国株、そして、世界株式市場の波乱が理解でき、「セルインメイ」に関しても落ち着いて対応できるだろう。

 米長期金利が早晩3%に乗せるだろうといった認識は、2017年後半のマーケットのコンセンサスであった。したがって、米国株の大きな調整が2018年年明けの1月後半から始まり、3月いっぱいまで続いていたことは、前述の「金利上昇→株下落」といったロジックに当てはまる。

NYダウ 日足(出所:Bloomberg)

 換言すれば、米金利上昇自体ではなく、金利上昇の予測が米国株の大調整をもたらした要因であったと認識すべきだ。

 「ウワサで買って、事実で売る」という相場格言はよく知られている。第一四半期における米国株の大調整、また、これからの値動きは、その逆のパターンとなり得るだろう。つまり、「ウワサの売りで事実の買い」だ。

 実際、あんなに「長期金利が3%に乗せたら、大変、大変」と言われた米国株は、足元むしろ堅調な戻りを見せている。ここからどれぐらい買われるかはまだ流動的で判定できないが、少なくとも米長期金利が3%に乗せたという理由で大きく売られるリスクはずいぶん後退したと言えるだろう。

■「セルインメイ」も杞憂に終わる可能性大 となると、同じロジックで考えれば、今年(2018年)は「セルインメイ」も杞憂に終わる可能性が高いのではないだろうか。何しろ、第一四半期においてすでにずいぶん「セル」されたから、今さら「インメイ」を危惧しなくてもよいかと思う。

 とはいえ、誤解されないように言い加えておくが、そのアノマリーの影響がまったくないとは言い切れない。今年(2018年)もアノマリーのとおり、相場が動く可能性があるが、前述のロジックで言えば、あってもインパクトが限定される公算が大きい、ということを申し上げたい。

 為替市場のこれからの動向に関しては、米国株…
このままなら民主主義は全体主義に敗北の 運命!? ドルは既に底打ったか底打ちが近い ブログ

このままなら民主主義は全体主義に敗北の 運命!? ドルは既に底打ったか底打ちが近い

■トランプ氏の影響による市場の値動きは「ホンモノ」である 前回のコラムでは、「トランプ氏のような変わった者でなければ、冷徹かつ狡猾な長期戦略を持つ中露などの全体主義国に対抗できない恐れが大きいから、米大統領に選ばれたこと自体が歴史的な必然性を表し、また、トランプ米大統領が歴史を作っていく。ゆえに、市場における値動きも歴史の一部であり、『ホンモノ』である」ということを強調した。

【参考記事】

●トランプ氏の言動は乱心ではなく計算ずく!? 変な指導者でなければ中露に対抗できない!(2018年4月13日、陳満咲杜)

 中露との対抗は、貿易など実務的な側面が目立つが、本質的にはイデオロギーの競争と言える。究極的に言えば、民主主義と全体主義の対抗と競争であり、西側の民主主義制度自体が、統制が効く全体主義との競争に弱いところがたくさんある。

 全体主義の国は、自らの長所をよく知り、また、武器として使用してきたから、同じ武器が使えない民主主義国家としては、トランプ氏のような、乱暴かつ朝令暮改のように見えて、実は巧みな戦略や不屈の意志を持つ「変わり者」がリーダーにならないと、この厳しい競争に負ける可能性が大きい。こういった見方が、前回のコラムの骨子だ。

■最近の市場の値動きを見る上で重要なポイント2点 政治的な話はさておき、相場の話を優先するが、まず強調しておきたいのは、最近の市場の値動きを観察する上で、以下の2つのポイントを忘れてはいけないということだ。

 1つは、ファンダメンタルズ上、いろいろな材料が続出したが、リスク緩和(北朝鮮と会談など)の材料があれば、リスクオフにつながる材料(森友問題、米中貿易戦争、シリア空爆、ロシア経済制裁強化などなど)も圧倒的に多かったから、外部環境は総じて不安定であるということ。

 もう1つは、トランプ氏が中露の通貨政策を攻撃したように、トランプ政権は相変わらず米ドル安志向にあり、また、それを隠そうとしていない、ということである。

■米ドルはすでに底打ちしたか、底打ちに近い? ところで、相場の値動きをみる限り、こういった外部要素につられた米ドル全面安にはなっていないことがわかる。トランプ政権の米ドル安志向からすると、むしろ底固いという率直な感想さえある。前回のコラムにて強調していたように、不確実性の高い相場も相場なので、こういった外部要素に左右されそうな相場だからこそ、重要なシグナルを発してくれているかと思う。

【参考記事】

●トランプ氏の言動は乱心ではなく計算ずく!? 変な指導者でなければ中露に対抗できない!(2018年4月13日、陳満咲杜)

 それは他ならぬ、米ドル全体(ドルインデックス)にしても、米ドル/円にしても、すでに底打ちしたか、底打ちに近い状況が暗示されていることではないかと思う。

ドルインデックス 日足(出所:Bloomberg)

米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)

 米ドル/円に関しては、「アベグジット」、すなわち安倍内閣退陣でアベノミクスの終焉といったリスクが完全には織り込まれていないと思うが、それにしてもここから仮に安倍総理の退陣が現実になっても、「底割れ」が生じるほど、インパクトが強いとは限らないだろう。

 言ってみれば、相場はいつも先見性をもって将来の出来事を予測しつつ値段を形成していくので、多くの不確実性も想定されればされるほど、現実になった場合のインパクトは低下していく。したがって、米ドル/円の「底割れ」のリスクも低下しつつあるとみる。

 一方、「底割れ」の定義にもよるが、一体どの水準をもって…
トランプ氏の言動は乱心ではなく計算ずく!? 変な指導者でなければ中露に対抗できない! ブログ

トランプ氏の言動は乱心ではなく計算ずく!? 変な指導者でなければ中露に対抗できない!

■最近の市況はトランプ氏のツイートに支配されている マーケットはトランプ米大統領に翻弄されている。正確に言うと、最近の市況はトランプ氏のツイートに左右され、また支配されていると言っても過言ではなかろう。

 歴代米大統領の発言がマーケットに多大な影響を与えること自体は、サプライズではなく、むしろ正常なファンダメンタルズ上の材料として市場に重視されてきたが、トランプ氏のように、ツイッターというツールをもって米国策と思われるツイートを連発し、かつ、それをコロコロ変えるような前例はない。サプライズというか、驚きというか、そのインパクトは大きく、また、前代未聞なので、市場関係者は困惑気味だ。

 中国に強硬な態度で臨むかと思いきや、「習氏とは永遠の友達」とつぶやいてトランプ氏が緩和ムードを作り出すと、そのツイートを好感して、米国株や米ドルはいったん買われた。

President Xi and I will always be friends, no matter what happens with our dispute on trade. China will take down its Trade Barriers because it is the right thing to do. Taxes will become Reciprocal & a deal will be made on Intellectual Property. Great future for both countries!

— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2018年4月8日 かと思えば、今度はシリア情勢で「ミサイルが飛ぶぞ」と緊張をあおり、今すぐにでもロシアと全面対決かと思わせてマーケットにリスクオフをもたらし、米国株や米ドルは下落した。

Russia vows to shoot down any and all missiles fired at Syria. Get ready Russia, because they will be coming, nice and new and “smart!” You shouldn’t be partners with a Gas Killing Animal who kills his people and enjoys it!

— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2018年4月11日 「有事の金(ゴールド)」という連想から、金が一時急騰していたところに、今度は「ミサイル攻撃の時期を言えるはずはない」、「ロシアが経済発展に専念すれば我々は助けてあげる」とまったく違うニュアンスのツイートを投稿して緊張ムードを一気に後退させ、金の逆V字型反落をもたらした。

Never said when an attack on Syria would take place. Could be very soon or not so soon at all! In any event, the United States, under my Administration, has done a great job of ridding the region of ISIS. Where is our “Thank you America?”

— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2018年4月12日 さらに、「TPPに復帰する可能性を検討するよう、政府部門に指示」と突然つぶやき、市場センチメントを大きく転換させたことが、昨日(4月12日)の米国株や米ドルの切り返しにつながった。

 ここまで国策をつぶやく指導者はなかった上、ここまで話がよく変わり、また、時にはかなり感情的な発言を繰り返す米大統領もいなかった。

 市場関係者にとって、トランプ氏のような大統領は確かに「迷惑な存在」で、右往左往するような市場の値動きも市場関係者の困惑を表している。

 ただ、そういった困惑は別に市場関係者に限定される話ではない。無理もない、世界にとっても「米殿のご乱心」は「迷惑」なはずであり、米政府内部でも不満が多いと聞く。

■トランプ氏のイメージはすべて計算された戦略? しかし、トランプ氏の「君子豹変」ぶりや前後矛盾した態度に腹を立て、トランプ氏のわがままを、氏の「歪んだ人格」あるいは「精神的に病的」なせいにするのは、幼稚すぎる見方だ。

 『交易の芸術』(the art of the deal)というトランプ氏の代表的な著作のタイトルのとおり、氏は交渉のコツに長けた商人であり、また、大統領になっても商人のまま、商人の思考や手腕で自分の政策を推し進めようとしている。だから、政治家とはほど遠いイメージができたわけだ。

 換言すれば、「気の短いバカ」とさえ思われるトランプ氏のイメージは、自ら計算して作り上げたものであり、また、それをもって国際交渉に有利なポジションを確保する策略にすぎない、という可能性は大きい。

 もちろん、このように計算高くやれるのは、トランプ氏自身の性格や性質によるところも大きい。しかし、大統領になった際に前任のオバマ氏のように「インテリをぶって」振る舞うことぐらいは十分可能なはずであろう。

 が、ここが肝心なところであるが、トランプ氏のような…
「まるで子どものケンカ」の米中貿易戦争を 市場は無視!? 今晩の雇用統計が試金石に ブログ

「まるで子どものケンカ」の米中貿易戦争を 市場は無視!? 今晩の雇用統計が試金石に

■まるで子どものケンカ! 米中貿易制裁合戦 米中貿易戦争は、一段と拡大の様相を呈している。

 3月23日(金)に米国が発表した鉄鋼、アルミニウムの対中関税引き上げ案に対抗して、中国は4月1日(日)に豚肉やワインなど農産物を中心に対米課税案を発表、翌日2日(月)から実施した。

 続く4月3日(火)にトランプ政権が航空宇宙関連など約1300品目において総額5兆円超の対中制裁措置を追加したところ、翌日4日(水)にはすぐさま中国が大豆や自動車に飛行機など106品目、総額5兆円超の対米制裁策を打ち出した。

 まるで子どものケンカのように、両国ともWTO(世界貿易機関)のルールを無視した制裁合戦を繰り返している。

■トランプ氏のつぶやきに翻弄される市場だが… 米国株をはじめ、世界株式市場は再び急落し、米中衝突による景気後退懸念を織り込もうとしていたところ、クドロー米NEC(国家経済会議)議長が「米中貿易戦争は起こらない」と発言、加えてトランプ米大統領もツイッターにて「我々は貿易戦争をやっているわけではない」とつぶやき、緩和の兆しを見せ、4日(水)には、米国株はいったん大幅安となったものの、結局反騰をしてきた。

NYダウ 1時間足(出所:Bloomberg)

 その勢いで昨日(4月5日)、NYダウも陽線引けとなったが、市場大引け後の7時台(東京時間)に、NYダウ先物は再度急落してきた。トランプ氏がまたツイッターでつぶやいたからだ。

 今度は、トランプ氏は一転して(トランプ氏らしいが)、「中国の知的財産侵害に対する制裁関税に新たな1000億ドル課税を検討するように米通商代表部に指示した」とつぶやき、さらなる強硬姿勢を示したのだ。

 これで、「次回は中国の番だ」と市場は当然警戒し、株の反落とともに米ドル/円も一時107円の節目を打診した。

米ドル/円 5分足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 5分足)

 とはいえ、執筆中の現時点で、米ドル/円は107円台を維持している。先週(3月26日~)の切り返しに続き、今週(4月2日~)も続伸したので、目先の値動きから考えると、著しいリスクオフの動向は見られていない。

 今晩(4月6日)の米雇用統計もある上…